見出し画像

特急宗谷で稚内への旅

北海道旅客鉄道特別急行宗谷(そうや)は札幌から最北の稚内(わっかない)をつなぐ列車です。
07:30札幌発の宗谷に乗るために、ホテルの朝めしを食べずに札幌駅宗谷発番線にあるそば屋兼駅弁屋で、名物で一番の売れ筋「海鮮えぞ賞味」を買い込んで乗り込みました。
駅弁は駅弁たるべくして存在していると思うのです。
電車の中で走る車窓に時々目をやりながら駅弁を食べる。
その駅弁の味は格別で、冷めているのに温かい、そんな感じがするのです。

名物で一番の売れ筋「海鮮えぞ賞味」

北海道の広大な原野をひた走る宗谷本線、ずっと続く原野を見ながら、本当に目的地に到着するのだろうか、あの森には熊がいるのだろうか、冬の暮らしは大変だりうな、などと他愛もないことを考えながら電車の揺れに身を任せる。
シートに体をあずけながら走る電車のかけがえのない時間は心から幸せを感じるのです。
かつて宗谷本線は、樺太(からふと)に向かうメインルートで、それは賑わっていたのだそうですが、今は廃止が囁かれている路線になってしまいました。

特急宗谷はキハ261系4両編成です。
札幌を出ると、岩見沢、滝川、深川、旭川の順に停車し、12:42終点稚内に到着します。
1号車の一部がグリーン車で、北海道で初めての革張りシートを採用したのだそうです。
1号車の一部から3号車までが指定席、4号車は自由席で、全車両禁煙です。

トイレは2号車と3号車に設置されています。
始発から終点まで車内販売はありません。
自動販売機もないので、予め食料と飲料は購入しておく必要があります。

グリーン車のシート

私にとっての旅の醍醐味は、行き帰りの交通機関を楽しむことから始まり、その駅や空港で食事を楽しんだり、駅弁選びを楽しむこと。
目的地の観光を楽しむことは勿論だ。

生活空間とはことなる土地に身を置いて、その土地の空気を感じ、その土地の人たちとふれあい、街、風俗、歴史、食を楽しみ、五感と六感で感じるのです。
普段見えないものが見えてくる、自分自身を客観的に捉えることができるんですね。

北海道の特急が廃止されたり、廃線になったり、北海道だけではありませんね、都市部を除いて全国的に赤字路線が問題になっています。
自家用車の発達と共に廃れてしまった公共交通機関。
時代の流れといえばそれまでですが、これ以上鉄道が廃れて行ってしまうのは見るに堪えません。

駅舎とホームだけ残っていてレールがない廃線跡。
まるで血の通っていない身体のように感じてしまう。
あの切なく虚しい感覚は何とも言えない虚無感に襲われてしまいます。

旭川を過ぎてしばらくすると険しい山岳地帯に入り、峠を越えなくてはなりません。
三浦綾子先生の小説「塩狩峠(しおかりとうげ)」の舞台となった、塩狩峠を越えて行きます。
実話で、暴走機関車を身を挺して止め、乗客の命を守った鉄道員 長野政雄さんが殉職されました。

塩狩駅

鉄道には奥深い歴史があるのです。

季節的なこともあり、晩秋の稚内は淋しく、最北端の納沙布岬は強風で観光客がまったくいない観光地は、食堂も既に多くが閉店していて目当てだったウニ丼をやっとの思いで最後の一杯にありつけたのでした。
北海道のウニは甘くてしっかりしていて、とても美味しかったです。
しかも、その日最後の一杯はまた格別でした。

納沙布岬の食堂
日本の最北端ノシャップ岬
稚内駅

北海道の鉄道は、なぜか懐かしい。
昭和の良き時代の香りがするのです。

■他SNSのフォローもしてくれると嬉しいです。
■ブログも不定期に更新しています。

【YouTube】

【X(旧Twitter)】

【ブログ】 
https://usakichi.net/ 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?