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「櫻橋。これだね」 何の変哲もない橋だった。 二車線と左右に歩道がある、都内のどこにでも…
「今のは寝相って言って、猫の寝相が悪いのが……。寝相は悪いけど悪気があるわけじゃなくて……
個室は最上階にあった。病院にこんな部屋があるのか?と驚くくらい、ホテルのようにきれいな部…
「で、どうするつもりだ?あのおじいさん、本気で期待してるぞ。何の手掛かりもないのに」 先…
「こんにちは」と、周囲に会釈をしながら、猫が一番奥の窓際のベッドに向かう。 「やあ来てく…
テルテル坊主わせっか、わせっか……。 小さな声で誰かが掛け声をかけている。わせっか、わせ…
猫の店にたどり着いたときは、ヌシも夏生も息を切らしていた。こんなにまじめに走ったのは久しぶりだ。 その勢いで扉を開ける。 「大丈夫か?」 ヌシも飛び込んでくる。 「……ああ」 酔いが一気に回ったのと、疲れたのとで、夏生はカウンターにつかまったまま、へなへなと座り込んでしまった。 「まあこんなもんだろ?」 お地蔵さんの丸い頭の上で、真っ白な猫が器用に丸くなって寝ている。 「しょうがないな」 倒れた椅子を戻し、床の上に食器が散乱しているのを落ちていた紙袋にまとめる