JNT氏の絵と思考

JNTHEDというイラストレーターがいる。
主にメカデザイナーとして活躍しており、最近だと水星の魔女でガンダムのデザインを担当している。また、一時期は村上隆のカイカイキキでアート系の絵を描いたりしていた。

この方の趣味の絵には独特の際どさがある。
女の子とメカが奇形的にミックスされたような、ちょっとグロテスクというかアバンギャルドというか、闇を感じるような絵が多い。

JNT氏は思考の言語化が多いイラストレーターでもある。
その絵への向き合い方は、かなり独特でストイック。
日々の落書きに時々メイキングのような文章が付記されているのだけど、それをみると、なんだか実験的かつアスリートのような絵の描き方をしている。

たとえば以下の絵について。

「ある日のレシピ◆3Dモデル等を液タブに映しシャーペンで超軽くなぞる◆オレンジ色えんぴつで幾何学足し◆細マーカーで直線15本(点線交え)/アウトラ閉じ気味◆CGで顔直し仕上げ」

絵の中に描かれているメイキング文の書き起こし

上記の文章からは、「ランダム性を絵の中にどう取り入れるか」という試行錯誤の様子がうかがえる。

あるいは、以下の絵。(ちょっとグロテスクなので閲覧注意。







この絵の画像内にもつらつらと言葉が書かれているが、それを読むと、「どう読者の目を惹きつけるか」について非常に意識的で、なんだか強迫観念のようなものを感じる。サムネイルで「映え」を作ること、低コストでそれを実現する処理としての人体クリーチャー化……。

JNT氏はFANBOXもやっていて、そちらでもストイックさが存分に発揮されている。こちらでは絵の方法論よりも自意識とかモチベーション、生存戦略的な問題についての話が多く、興味深い。


JNT氏の場合、お絵描きは明らかにスポーツなのだと思う。あるいはサバイバル。絵でどう生きていくか、どう戦うか。弱りそうな気持ちをどうはねのけるか。いかに毎日コンスタントに描きつづけれられるか。

自分の創作スタンスとはかなり違うけど、これはこれであり…なのかもしれない。


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