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若林稔弥先生のFANBOXが漫画制作の参考になるという話

何年か前、若林稔弥先生が創作についてのコラムをたくさん書いていた時期がありました。上記の記事ではそのコラムを悩みの種類ごとに整理してあります。

たとえば以下のような感じ。

※リンク先にあるコラムは、ありがたいことに全部無料で全体公開されています。

個人的には悩み③の中の「キャラが何考えてるのかわからない問題」が特に面白かったです。

キャラが何考えてるのかわからない問題

この「キャラが何考えてるのかわからない」っていう問題、とてもありがちなパターンで、「普通に漫画にはなっているし話はわかるんだけど、なんか読んでてイライラする」という場合はだいたいこのパターンだと想っています。

そういえば、藤田和日郎先生も「新人の漫画には、普通のリアクションをするキャラが本当に少ない」と嘆いていました。

主人公は普通のリアクションを取れていれば及第点。残酷なことを見たら「うわあ! かわいそうに」とか、いいことがあったら「今日はいいことあった」とか、困ってるひとがいたら「大丈夫?」とかね。普通の心を描けていれば、かなりいい線いく。新人の原稿には、それが本当に少ないのよ。つまり「ありきたり」を避けようとして、新人の作品の中で「ありきたり」になっちゃってるのよ。わかる?この恐怖(笑)。

読者ハ読ムナ(笑)』より

多分、別に奇をてらっているからとかじゃなくて、「漫画っぽくしよう」と頑張った結果そうなっちゃうんだと思います。ドラマチックなネームを切ろうとすればするほど、この罠にハマる傾向がある。しかも、表面上は一応読めてしまうので、何が駄目なのか非常に気付きづらい。

むしろ漫画を普段読まない人の方がこの種の違和感に対して敏感で、漫画を読み慣れてる人は鈍感になっている可能性があります。

普通のリアクションをどう演出するかが大事

基本的に、キャラのリアクション自体は「徹底的に普通であること」が大事。
その上で、その普通のリアクションをどう自分なりに演出するかを考えるべきなんだと思います。普通のリアクションであっても、演出次第で独創的なシーンになるので。

たとえば、大会で負けて「悔しい」という気持ち(リアクション)をどう表現するか。「悔しいなあ」と言って泣く、というのが普通の演出。「いやー、負けちゃったなあアハハ!しょうがないよね!」と無理に笑ってみせる、でも心は泣いている、というのが、ちょっと凝った演出。

リアクションは普通が良くて、しかし演出は普通ではいけない。
マンガは奥が深い。


kindleにて、創作についての思考をまとめた個人出版本を出しています。kindle unlimitedに入っていればどれも無料で読むことができますので、気になった方はぜひ読んでいただければ幸いです。


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