野戦築城
歩兵と戦車の大きな違いは何かと聞かれたら、私は「防護力」と答えるであろう。
TKの特性は「火力」「機動力」「防護力」を高い次元で実現していることにある。
歩兵はどうか。高度に機械化されていないのであれば、手搬可能火器による火力と徒歩+αの機動力のみである。まさに「歩」である。
歩兵に防護力は無い。敵の火力に脆弱である。歩兵には防護力の為の装甲は無いのである。欲しい場合はどうするか。
穴を掘るのである。歩兵にとって地形と掩体は装甲と同義であると考える。
「野戦築城」は基本的に「陣地防御」という戦術行動を選択する場合に行われる。
野戦築城には、掩体構築や障害構成など、細かい事項が内包される。
掩体にも色々ある。歩兵が第一線でちょろっと掘る蛸壺から、指揮所が入るようなものまで大小、軽重さまざまである。
基本的に掩体は、防護力によって区分する。一番下位は露天掩体であり、防護力は限定的(とはいえ暴露より圧倒的にツヨイ)であるが、構築所要が少なく、構築資材・期間が少なくて済むという特性がある。
これ以上は「掩蓋掩体」といい、眼前開口部と出入口の他は蓋をされている形状になり、防護力がウンと上がる。
掩蓋掩体には「簡易掩蓋掩体」「軽掩蓋掩体」「中掩蓋掩体」「重掩蓋掩体」といった種類がある。以下は防護力の程度であるが、記憶ベースで間違えているかもしれない・・・・
簡易掩蓋掩体は、80mm級迫撃砲弾の至近弾に耐えうる。
軽掩蓋掩体は、80mm級迫撃砲弾の直撃(着発)に耐えうる。
中掩蓋掩体は、120mm級榴弾の直撃(着発)に耐えうる。
重掩蓋掩体は、150mm級榴弾の直撃(着発)に耐えうる。
といった感じだったように思う。
軽掩蓋以上のものは、資材や地積がかなり必要なので、末端部隊での訓練ではなかなかお目にかかれないし、作業するのもご免である。
中掩蓋以上は見た事しかない。その構成は様々な材料を用い、幾重にも積み重ねた土木の複合装甲といった具合だ。見てるだけでワクワクしたものである。自分で作るのはご免であるが。
今考えれば、野戦築城は土木そのものであり、人類の英知が詰まったロマンそのものだった。
今はイチドカタで、昔を振り返って、ベースは野戦築城だったのかと気づく。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?