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ひとりで美術館ハシゴ旅/1.三重県ーArtとTalk㉔ー

皆さんこんにちは、宇佐江です。
今回は新企画!
1つの都道府県に的を絞り、美術館を複数めぐる「ひとりで美術館ハシゴ旅」第1弾をお送りします!!


実は「美術館が多い国ランキング」1位アメリカ、2位ドイツに続いて第3位が日本ってご存知でしたか?以前お世話になった『小峠英二のなんて美だ!』(東京MX)で紹介されて私も初めて知ったのですが…、

「そんな国に生まれたなら、もっと沢山美術館に行きたい!!!」

と、このような旅を考えつきました。

これまでも、東京では美術館ハシゴ旅を何度もしてきましたが(『ArtとTalk』⑲⑳参照)、「地方って、施設が密集していなくて距離があるからハシゴは難しくないかな?」と思っていました。
実際、どのくらいまわれるのか?の参考になればと、この旅では私が実際にハシゴしたタイムスケジュールを毎回、記事にしてお届けして参ります。


お読みになる前に☆
・記事の内容は宇佐江個人の主観や感想に基づくものです。公式なものとは一切関係ありません。
・タイムスケジュール優先の旅ですので、各展の適切な鑑賞時間より短い場合があります。
・美術館に関する情報は、各施設の広報物等を一部参考にしております。
・情報は当時のものです。実際に行かれる際は各公共交通機関や施設の最新情報を必ずご確認ください。


めざせ47都道府県制覇(できたらいいな)!!
初回は最近大好きな、三重県!
それでは出発~。


(本文はエッセイ形式でお送りします)


①10:00~11:00/三重県立美術館

◆開催していた主な展示『西洋美術へのまなざし』『元永定正展』

訪れた日:2022年12月の平日
移動①/近鉄…名古屋駅8:38発→津9:46着

津駅西口から徒歩約10分、県立美術館までは1本道なので方向音痴の私でも迷わず行ける。

1982年に開館した三重県立美術館(岐阜県美術館と同い年!)はちょうど開館40周年で、この日はコレクションの大公開企画をしていた。以前から、「スペイン美術が豊富な美術館だな~」と思っていたけれど、ちゃんと理由があって、三重県とスペイン・バレンシア州が姉妹提携したのをきっかけにスペイン美術を積極的に収集し始めたのだそう。私が特に好きなのは、ゴヤの版画やダリ、ミロのコレクション。そして国内では珍しい、バロック期の巨匠・ムリーリョの作品が所蔵されている。

そして三重県美といえば、本館と繋がっている柳原義達記念館。カラスの作品で有名な彫刻家・柳原義達の作品が2部屋に渡って常設展示されていて見応えがある。この日、ちょうど開催されていたのが「さわって楽しむ柳原義達の作品」。なんと、直接作品を素手(もしくは簡易手袋)で触ることができた。事前にアルコール消毒と、時計やアクセサリーなど手につけているものを外し、撮影も可能だが「作品を触っているうちは控えるように」など係の人の案内が丁寧で、安心して作品を触ることができる。おそるおそる、作品に手をのばすと、触れたブロンズがすごく冷たかった。

津駅に戻り、いつも買う構内のパン屋さんに寄って次の電車を待つ。


②12:05~12:40/ルーブル彫刻美術館

移動②/近鉄…津11:25発→伊勢中川で乗換→榊原温泉口11:55着

「どこ???」

榊原温泉口駅を出て、目的地はすぐ近くのはずなのに、まわりは山とススキ(私の身長よりも高い)ばかりで美術館の気配などどこにもない。それでも案内図を頼りに高架下をくぐり、目の前の道をなんとなく右方向へずんずん進んでいくと…

ん……?

あったーーーーーーー!!!!
うわあああ、想像以上のインパクト!!

しかもこれ、なんと裏側にもこの3体があった。
券売所を訪ねると無人で、「すみませーん」と呼ぶ。「は~い」と奥から係員さんが慌てて出てきて、館内のまわりかたなどを丁寧に説明してくれた。ちなみにこの施設は館内も撮影OKだけれど、中の様子は実際に訪れた際のお楽しみにしていただきたいので、載せるの控えます。

1987年に開館した同館。パリのルーブル美術館を訪れて、その美しい彫刻群に感動した竹川勇次郎氏(初代館長)が、現地になかなか観に来ることが難しい日本人のために、何度も渡仏してルーブルと交渉し、熱意が通じ、なんと公認の姉妹館(!)として誕生したのだそう。作品はルーブル美術館の技術陣が完全復刻したもので、ルーブルの作品を直接型取り、館外に出した初めての試みだったという。(※野外の3体は巨大化されていますが、施設内には原寸大のものがちゃんとあります。)

ひとつ疑問だったのは―ルーブル以外のメトロポリタン美術館やその他所蔵の有名作品も展示されているのはともかく―なぜ「仏像」が一緒に展示されているのだろう?ということ。実は、同館の運営・管理は同じ敷地内にある大観音寺が行っているのだそう。

膨大なルーブルコレクションといえど、彫刻に絞った施設なので、おおよそ30分あれば鑑賞できる。個人的には、美大を目指す受験生とかふだんデッサンで石膏を描いている人には(胸像とか首像の)全身バージョンが観られるでオススメ。
三重県出身者に話しても「え?どこそこ?」と知らない人も多い、穴場の観光地である。

ーお昼休憩ー

ここに腰かけて食べた。
個人的「焼きそばパンの正解」と思う津駅のパン。


③15:05~16:10/パラミタミュージアム

◆開催していた主な展示『シダネルとマルタン展』

移動③/近鉄…榊原温泉口13:19発→伊勢中川で乗換→四日市で乗換→大羽根園14:52着

今回の旅いちばんの長い移動で、ちょっと疲れた。しかも大羽根園駅を出ると狐がお嫁に行っていて、傘を買うほどじゃないけれど寒い。
しかし、そんな気分もまぎれるような素敵なサプライズが。

虹!!

すごくきれいに出ていて、しかも道を進むとあたりに建物がなくなるので、生まれて初めて虹のほぼ端から端をみることができた。(ただし撮影の写りがいまいちだったので、画像は半分の方)
ちなみに駅からの道順は、目の前の国道を左へまっすぐ。徒歩約5分で、右手に美術館が見える。

パラミタミュージアムは2003年に、あの「イオン」の創業家である小嶋千鶴子氏が私費を投じて開設。夫である洋画家・小嶋三郎一と集めた美術コレクションが同館所蔵品の基礎となっている。今回、私は大好きな画家・シダネルを目当てに行ったのだけれど(その企画展もすごく良かった!)、別の部屋でちょうど小嶋三郎一・千鶴子夫妻の作品が展示されていて、美術館設立の話をこの時初めて知った。
自身も70代から作陶を始めた小嶋千鶴子さんは、つい先日、2022年5月に106歳の大往生で亡くなった。

山がほんとうにきれいな景色の中にぽつんと建つパラミタミュージアムは、小ぶりな施設だけれど、企画展も毎回面白い。


三重ハシゴ旅の感想

今回訪れた美術館はどこも開館が9時半~と早めなのが有難い反面、閉館も17時もしくは17時半とやや早め。真ん中に挟んだルーブルとパラミタを結ぶ移動が、公共交通機関だとこの便がマストだったので、そのぶん県美の滞在時間がやや短めになってしまった。
三重県にはこのほかにも、猿田彦神社の近くにある女流日本画家「伊藤小坡美術館」や、エキゾチックな「マコンデ美術館」などがあります。

遠方から宿泊込みでいらっしゃる場合は、以前の記事(『おでかけがしたい。⑭』)でご紹介したアクアイグニスがおすすめ。なんと、近鉄湯の山線でパラミタの最寄(大羽根園駅)の隣駅。
次回はパラミタついでに、日帰り温泉だけ寄るのもいいな~。




今週もお読みいただきありがとうございました。
またどこか、ふらっとハシゴに出掛けたら、皆様にもレポートをお届けしたいと思います。

◆次回予告◆
美大日記特別編。思い出の答えあわせ―宇佐江、金沢に帰る。

それではまた、次の月曜に。

※↓三重県立美術館は2023年3月下旬まで改修工事中ですのでご注意ください。

https://www.bunka.pref.mie.lg.jp/art-museum/index.shtm


↓パラミタミュージアム
https://www.paramitamuseum.com/



*美術館好きな人も、そうでない人も。お気軽に。↓





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