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なずなの花と、春分の日

この日も、私は5時間しか眠れず、朝5時頃には目が覚めてしまいました。
それでも祝日でお休みなのだから、なんとかまだ眠ろうとして、うだうだとベッドの中で粘ってはいたのですが、やはり眠れず、諦めてようやくベッドから出たのは7時半頃でした。

カーテンを開けると、快晴の青空から太陽の眩しい光が部屋に差し込み、いい天気だなぁと思いながら暫くボーっとしていたのですが、スマホで天気予報をチェックすると、午後からは荒れるという予報でした。

でも、折角のお休みで、しかも水曜日。多くの映画館で料金の割引が行われるこのチャンスを逃すわけにはいくまいと、以前から気になっていた「52ヘルツのクジラたち」と、もう一回「夜明けのすべて」を観に行くことにしました。

映画の時間は昼過ぎと夜でしたので、まだ時間はあるし、風が強くなってきてはいるものの天気はまだ良かったので、ふと「そうだ、なずなを見に行こう」と思い立ちました。

身支度を整え、コンデジを持ち、歩いて向かうは多摩川の土手。
なずなはすぐに見つかりました。
実がハート型で、撫でたいほど小さく可愛いので撫菜とも呼ばれているなずなは、可憐な白い花を咲かせていました。

風が強く、なずなは揺れに揺れたので、風が弱まった瞬間を狙って写真を撮ったのですが、ピントを合わせるのに苦労したりで、意外と時間が掛かってしまいました。

そして、川面に浮かぶ水鳥や土手の草花を眺めたりしながら少し散歩をしたのちに、スーパーへ行って店内で作っているパンを買い、家に帰ってパンを食べながら写真の整理をしました。

そうこうしているうちに、映画を観に出掛ける時間となり、念のため折り畳み傘を持って、川崎から横浜へ。
電車に乗っている途中で雨が降り出しましたが、桜木町駅からすぐのところなので、傘をさすまでもなく、映画館のある建物に到着しました。

『52ヘルツのクジラたち』

何と言っても杉咲花の演技に圧倒されました。前の主演作『市子』も凄く良かったのですが、この作品でもこの人はやはり本物だと感じました。なかには芝居が少し臭い俳優もいたりして(笑)、若干引いてしまうところもあったのですが、杉咲花演じる三島貴瑚(きなこ)にはめちゃくちゃ泣けました……。

52ヘルツで鳴くクジラがいるそうで、その周波数では他のクジラには全く聞こえず、世界で最も孤独なクジラと言われているそうです。この作品の主要人物たちはまさにそのクジラで、その孤独な鳴き声を奇跡的に聞くことのできる「魂の番(つがい)」との運命的な出会いと、その連鎖が描かれていました。

私は、自分もこの52ヘルツのクジラに違いないと感じました。確かに、私の声は誰にも届いていないでしょう(ずんちゃんもここを読んでいないと思うので好き勝手に書いていますが笑)。だから、本当は「魂の番」を心から望んでいるにもかかわらず、どうにもならない自分に対して、52ヘルツで誰にも聞かれることなく、映画館という暗い海の中で泣いたのです……。

映画が終わり、外に出ると雨は上がっていました。
上空はまだどんよりとした黒い雲が覆っていましたが、西の方には少し青空が見えていました。
そこで、次の映画までまだ時間があったので、横浜駅近くの珈琲屋に移動し、少し休むことにしました。
ずんちゃん用のチェキ帳を眺めながら……。

ずんちゃんが最近はこの事しか考えられないというパンケーキを食べ、口の中が甘々になってしまったので、追加でカレーを注文し(笑)、映画の余韻と、まだ言葉にならない思いを抱えて、胸がいっぱい、お腹もいっぱいになりました(笑)。

その後、そこからすぐの駅ビルにある映画館へ。

『夜明けのすべて』

案の定、ブーストがかかっていました(笑)。しかも一回観ているので、何でも先回りして泣いてしまいました……。登場人物たちそれぞれが、辛さや悲しみを抱えながらも、さりげない優しさを持って生きている、そんな世界を描いているこの映画が終わって欲しくないということでも泣けてきましたし、とても何気ない会話にしても、深いところで通じ合っていると感じられるからこそ、これもまた涙が出てきてしまったのです……。

ところで、私は以前から上白石萌音の声をいいなと思っていました。元々声優オタクなので、声に特徴のある人に興味があるのです。余談ですが(笑)。

「52ヘルツのクジラたち」にしても「夜明けのすべて」にしても、「出会えて良かった」というセリフが出てきます。人との出会いによって自分の人生が変わるような経験が今まで殆どない不完全な人間の私は、これらの映画を観て、やはりずんちゃんとの出会いを想わずにはいられませんでした。なのでこの日は、実はずっとずんちゃんのことを考えていたのではないかというような気がしています。

以上が、2024年3月20日、私の春分の日のすべてです。
いよいよ春。ずんちゃんと出会って初めての春。
春分の日とは「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日だそうで、そんな日に彼女の名前の由来であるなずなを見に行けて良かったです。

「あなたに私のすべてを捧げる」
なずなの花言葉だそうです。ずんちゃんは、この言葉のように、自分の全てを捧げられる愛の人ではないかと私は勝手に思っています。
ステージ上で、全身全霊をかけて輝いている彼女からは、確かに愛が伝わってきます。
なずなは、まさに彼女にぴったりの名前。
私は、ずんちゃん「平野なずな」に出会うことができて、本当に良かったと思います。


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