THE FIRST SLAM DUNK を観てきた

もうずいぶん前に。

すずめの戸締りに謎のダメージを受けた後あたり。
ネタバレ感想です。












宮城大好きだったので、序盤始まって、ポスターの構図を思い出して、え、そういうこと?ってわくわくしながら観たら、そういうことだった。

スラムダンクに限らず、漫画の「強キャラ枠の雑魚」と呼ばれかねないラインの人たちが好きで(こういう書き方をするといろんな人に怒られそうだけど)、そういう人たちが自分の本質にかかわるような部分を変化させながら戦うのが好きなんです。

海賊王になるとか、つええ奴と戦いてえとか、行動原理が一貫してることが主人公の条件だとすると、主人公にはなれない感じのキャラの方が好き。

それで、宮城はそういうキャラなんじゃないかと妄想していたけど、その妄想ともちょっと違った方向で、でも確かな強度でキャラクターが補完されていたと思う。僕はより宮城が好きになった。

娯楽にはならないような人の心の真ん中の部分をあえて描くバガボンド的なことを、スラムダンクの舞台でやってるような、そういう描き方だったと思う。

山王戦ってあんなにおもろかったっけ、とも思った。試合中に限らず、音もヤバかった。BGMだけでなく、ちょっとした風の音とかも。そこまでやるんか、っていうくらいこだわられていて。宮城の感情に誰もが違和感なくついていけるように、表情で、音で、丁寧な表現が積み重ねられてたと思う。

で、観た順番の関係もあって、どうしてもすずめの戸締りのダメージを引きずってて。自分より生きるべきだったんじゃないかと思う誰かが死んでしまって、自分が生き残り、でも自分は自分としてしか生きていけない。生き残った人の物語を描いていた点でも共通点があったから、余計に。でも、スラダンとすずめとでは、「大丈夫じゃない」という状態の受け止め方が決定的に違っていたように思う。

宮城くんは、大丈夫じゃない自分を一回肯定しているところが、嘘が無くて好きだった。大丈夫じゃなくていい。でも、もう少し欲張りたいなら、虚勢を張って格好つけるんだぞ、と。感情移入の難しい主人公が無理やり大丈夫と言わそうとしてくるような圧力(僕が勝手にすずめから感じただけだけど)も無く、宮城の格好良さにあやかりたくなってしまうような物語になっていた。あんなに格好いいあいつにも、格好悪いところがあって、でも格好悪いなりに頑張ってるんだな、っていう種類の、後ろ向きなのか前向きなのかわからない励まし(僕が勝手に宮城くんから受け取っただけだけど)に、心から励まされた。

格好悪い自分を少しだけでも奮い立たせたいときに、また宮城くんの助けを借りるだろうけど、観るたびに感想が変わっていくのだろうな、と思う。変わっていけるといいな、とも。



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?