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25時、ナイトコードで。「25時の情熱」歌詞考察

 ご無沙汰しております。
 恥ずかしながらサボってました。はい。トワイライトライトを最後に失踪してましたが、またチラホラのんびりとしたペースで書ければなぁーと思っております。
 さて、本日はだいぶん前に開催されました「25時の情熱」の考察となります。いつも自分の想いを殺してしまう奏ちゃん。以前から「自分は幸せになる権利なんてない」と追い詰めてしまう様子が見られていました。KAITOが加入したことによって、また彼が一石を投じる事になるのか、詳細はイベントストーリーをご覧下さい。


歌詞

いつか消えた駅のあのホームの記憶も
熱い志で出会った仲間達も

いつか海になって空になって人になっていく
25時の情熱も恋しくなる日が来る

顔を押し付けた傷だらけの机と
放課後の香りとチャイムの冷たさと
愛の軽さと悲しみの重さと
この夜で僕達は出来ている

大人になったらきっとわかる
許されていた若さ
大人になってもきっと縋る
一夜の思い出

恋してる愛してるこの夜の歌も
いつか奥底で燻る日が来るのかな
ちゃんと綺麗に幸せを愛せるかな
ちゃんと綺麗に人を救えるかな

世界が輝いていること忘れないで
世界が蠢いていること忘れないで
世界に一人じゃないこと忘れないで
情熱を忘れないで

いつか歩く道も
いつか歌う場所も
心の片隅で嫌いになる日が来る

不条理に揉まれて
苦しみに晒され
また何度でもこの夜に帰ってくる

恋してる愛してるこの夜の歌が
いつか愛する人の心に届くのかな
ちゃんと綺麗に人を愛せるかな
ちゃんと綺麗に人を救えるかな

25時の情熱を忘れずにいれるかな

考察

◆いつか消えた駅のあのホームの記憶も
熱い志で出会った仲間達も

 ●いつか消えた駅のあのホームの記憶
  →かつて色々な人に使われていた駅も廃れて消えていく。後述の詞と意味を被せている可能性も。後述参照。
 ●熱い志で出会った仲間達
  =「救われたい」と願って集まったニーゴの皆

いつか海になって空になって人になっていく
25時の情熱も恋しくなる日が来る

 ●海になって空になって人になっていく
  →水の循環(海が水蒸気として雲になり、雲から雨となって地上に落ちていく)を用いた暗喩か
  →海や空のように固形物でない物も、いつか形のある物へと変化していく
  →1人の「人」として立派になっていく
 ●25時の情熱も恋しくなる日
  →ニーゴとして活動していた日々を恋しく(または懐かしく)思うこと。
  =「人」になってから「苦しかったけれど、救いになる場所があったな」と思い返す日が来る
  ★25時の情熱=25時に曲を作る情熱
   →情熱の根源は「曲で人を救うこと」「曲でみんなを笑顔にすること」。つまり、「奏にとって幸せだった日々」が作曲を始めたきっかけであった事は変わることの無い事実である。

 ★ここまでの詞を読むと以下のように感じられる。
 「忘れ去られた時間や物事」:駅のホーム
 =「忘れていた過去の日々」:奏自身の幸せな頃の記憶
   →かつてここに盛んだった駅があったと思い耽る日が来る
   →昔は家族に愛され幸せだった日々があったと思い出す日が来る

 つまり、どちらの歌詞も「忘れてしまった過去を思い出し振り返る」事を意味しているように考えられる。

顔を押し付けた傷だらけの机と
放課後の香りとチャイムの冷たさと
愛の軽さと悲しみの重さと
この夜で僕達は出来ている

 ●顔を押し付けた傷だらけの机
  =まふゆの勉強机のことか
   →母親との葛藤、自分が分からないことへの苦悩で、何度顔を机に伏せていたのだろうか
 ●放課後の香りとチャイムの冷たさ
  =夜間に学校に通う絵名視点のものか
   ・全日制の人達の放課後の時間帯は、彼女にとっては通学時間
   ・彼女にとっての学校生活は刺激の無い退屈なものなのかもしれない
     [参考] 冷淡:同情や熱意を持たない態度
 ●愛の軽さと悲しみの重さ
  =瑞希が今まで味わってきた経験からくる詞か
   ・上辺だけ取り繕って陰口を言うクラスメイトの存在→愛の軽さ
   ・自分の「好き」が異端であると決め付けられる苦悩→悲しみの重さ
 ●この夜で僕達は出来ている
  →上記の苦悩や辛苦と共に、ニーゴという安寧の空間セカイの存在によって「25時、ナイトコードで。」の面々は成り立っている。

◆大人になったらきっとわかる 許されていた若さ
 ●「許されていた若さ」
  →自分1人で十字架を背負い続け、生きている時間の殆どを作曲にあてている事を指しているか。

◆大人になってもきっと縋る 一夜の思い出
 一夜の思い出
  =奏が「奏とおかあさんの、おとうさんだいすきの歌」を作曲したあの日(=父親の誕生日)のこと。
   つまり、奏が初めて曲を作り、褒めて貰えたあの日奏が作曲を始めたきっかけとなった日の事である。
 
「昔みたいに、よくできたねって・・・・・・今まで、頑張ったねって、褒めてくれるかな」
「今は・・・・・・そう願っても、いいかな・・・・・・」

 
 と考える彼女にとって、その日は一生忘れる事がない思い出の日となっている事だろう。

父親のために初めて曲を作ったあの日を思い出す奏
自分の「幸せ」を祈る。

 そして、今子どもである彼女らが「大人」になった後もまた、いつか何かに縋ってしまう事があるかもしれないという裏の意味もあるようにも感じられ、「大人になっても完璧な存在にはなれないのだから、自分の想いを殺してまで無理をしてはいけない」というメッセージが込められているようにも思える。

恋してる愛してるこの夜の歌も
いつか奥底で燻る日が来るのかな

 ●この夜の歌
  1)ナイトコードで作り続けてきた楽曲のこと
  2)「奏が初めて作曲した楽曲」のこと
   →父母との思い出を愛しく思っている。
今回は1番目の解釈で考察を進めていく。
 ●「燻(くすぶ)る」:文面によって様々な意味があるが、今回は「喜び」(何かが成功した際に用いる)のような意で使われているのではないか。
  =今まで作り続けてきた曲によって、大勢の苦しんでいる人々が救われる日が来るのであろうか

ちゃんと綺麗に幸せを愛せるかな
ちゃんと綺麗に人を救えるかな

 ●綺麗に幸せを愛せるかな
  →「父への贖罪のため」ではなく「自分の幸せのため」に生きられるだろうか。
 ●綺麗に人を救えるかな
  →「罪悪感に苛まれながら作る音楽」ではなく「人を幸せにしたいという純粋な想いで作る音楽」だれかを幸せにできたらいい

世界が輝いていること忘れないで
世界が蠢いていること忘れないで
世界に一人じゃないこと忘れないで
情熱を忘れないで

 →詞を全体的に捉えると「あなたは決して孤独では無い事を忘れないで欲しい」という意味合いが込められているように思える。
 ●「蠢(うごめ)く」:絶えず少しずつ動いている様子。
 ★宵崎奏というキャラクターを知っていればこそ合致のいく点がある歌詞とも考えられる。
  ○奏は自身の幸せを望まないようにしていた。
  ○奏は周りの人間を最優先としている。
  ○奏は自己犠牲の精神の持ち主である。
 これらの特徴を踏まえると、「世界・・・・・・忘れないで」のフレーズが続く歌詞は、奏に向けられたメッセージなのではなかろうか。
 彼女もまた救われる資格がある。
 あなたは1人でいつも全て成し遂げようとしているけれど、全て抱え込んでしまわないで欲しい。
 あなたにも救われて欲しい。そんな意味合いのようにも思える。

 ●情熱を忘れないで
  「情熱」:ここの情熱は恐らく「奏にとっての音楽」。彼女にとって音楽は苦しいものではなく、「純粋に好きなもの」であり「みんなを笑顔にしてくれるもの」であるということ。

いつか歩く道も いつか歌う場所も
心の片隅で嫌いになる日が来る

 →馴染みのあること・ものでも、何かがきっかけとなって「嫌」になる日が来る
  例)昔は母親のことが純粋に好きだったが、母親の愛情が歪んでいるのではないかと感じ、母親のことを心の片隅で避けるようになってしまう

◆不条理に揉まれて 苦しみに晒され
また何度でもこの夜に帰ってくる

 ●不条理に揉まれて 苦しみに晒され
  =理不尽な苦しみに対してもがき続ける日々。
 ★例えるのであれば、自分の好きを貫いているだけで周囲から変な反応を示される瑞希が浮かぶだろうか。
 ●また何度でもこの夜に帰ってくる
  =25時に皆で活動する空間に集まること。

◆恋してる愛してるこの夜の歌が
いつか愛する人の心に届くのかな

 ●「夜の歌」:ニーゴの皆と作った曲
 ●「愛する人」:奏の父親
  →父親はまだ「誰かを救うために作った彼女の曲」を聴けていない
   =あの時のように褒めて欲しい、父親のことも笑顔にしたい。という2つの想い

◆ちゃんと綺麗に人を愛せるかな
ちゃんと綺麗に人を救えるかな

 ●綺麗に人を愛せるかな
  =「人」は自分自身の事も含まれているように感じられる(疑問形になっているのもそのためか)。
 ★無論、自分自身というのは「ニーゴ4人全員」を指す。自分で自分を愛することが出来るだろうか?というような意味合いなのではなかろうか。

 ●綺麗に人を救えるかな
  →自身の曲によって父親を苦しめてしまった事があるがゆえの「疑問形」である。1番同様に、綺麗に救えるかどうかの確信は持てていないようであるが、既に奏はもう1人きりではない

◆25時の情熱を忘れずにいれるかな
 
=ニーゴとして作曲している時の想い(=誰かを笑顔にしたい、幸せにしたい)を忘れずにいられるかな
 ★この一文はニーゴのメンバー全員に当てはまるだろう。
  →いつかニーゴとして活動しなくなったとしても、ちゃんとその時抱いた想いを忘れないようにいたいという未来への想い

さいごに

 いかがだったでしょうか。ストーリーを振り返ってみましたが、やはり何度観ても涙腺が刺激されますね。
 「怒り」の象徴とも言えようKAITOが、優しい温かみのある歌声で歌唱している事が非常に印象的でした。
 いつか25時に集まらなくなる未来を馳せ、改めて「25時」の存在の大切さを噛み締める。過去と未来、両方の側面に触れた楽曲だったのではないかなと感じています。
 彼女たちが少しでも明るい未来へと歩んでいけることを、1ファンとして祈っております。

 それでは、また次回の記事でお会いしましょう。
 ありがとうございました。


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