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25時、ナイトコードで。「キティ」歌詞考察

 当記事をご覧頂き誠にありがとうございます。羽紗と申します。
 5月9日21時15分より公開されました、書き下ろし楽曲「キティ」。もうお聴きになりましたでしょうか。

 前回の「イミシブル・ディスコード」に引き続き、朝比奈家の事情に深く立ち入ったストーリーが展開されていきました。シンセサイザーを廃棄され、パソコンは修理に出したと言い放ち、ニーゴの皆とまふゆを引き離そうとする母親。彼女のその行動は、「歪んだ愛情」という言葉では表現出来るラインを越えつつあります。それでもまふゆは「怖い」と反抗出来ずにいる。
 幼い頃、遊園地ではぐれたあの日。自分が母親を悲しませたあの日の苦い思い出。そして今に至るまでの環境。過去のあらゆる出来事が、彼女を縛り付けてしまっているのでしょうか。

 ニーゴ3名と朝比奈母の対立構図がより鮮明になる中で覚えておいて欲しいのは、まふゆの中では未だに母親は完全悪ではないのです。彼女は、母親は「自分のためを想って」行動してくれる存在なのだと信じていたい。そう考えているからこそ、完全悪なのではないかと疑う事も出来ないし、恐らくそうするつもりも無いのでしょう。
 反抗したいけれど出来ない。そんな彼女を見た瑞希は「逃げても良い」という新たな選択肢を提示。それはまふゆにとっては知らない感覚であったに違いないのです。向き合わないといけない、刃を突きつけなければならない。そうではなくて、一旦考える事を辞めて逃げてしまえば良い。その選択をした時は、必ず力になれるように。そんな想いを込めて、まふゆに言葉を投げかけました。
 まふゆは今後どのような選択をし、どのような物語を歩んでいくのでしょうか。今後のストーリーを期待しましょう。

 さて、前置きが長くなりました。今回は「キティ」の歌詞考察となります。「フォニイ」などでお馴染みのツミキさんによる書き下ろし楽曲です。それでは参りましょう。

歌詞

味気の無い夜に溶けた雪が、言葉を枯らすのは何故?
伝わらない想いだけがこころ染めて、かなしみに溺れたような、
泡沫の爆ずバラッド。

日月さえも孤独な天下で、絡まって解いてを輪廻する愚者の群れ。
まるで、一様に独りと識った反射で
調和を謀る、本能の儘のキティ。

嗚呼、何処にも新世界なんて無い。
独りで愛し、愛されて居たい。
果たして今日は凶なら昨日は如何?
詰まり永遠に不幸ってこと?
其れなら、如何にかしたい次第。
其れでも直視なんて出来ない。
また、劣等と焦燥が睨み合って居る。

逃れることと、眼を逸すこと、何方に価値が有るだろう?
ただ此処で問答・瞑想 じゃあ、突立っても迷走。
さあ点と点を結ぶように、

確かな愛が視たいなら、音に成って今逃げ出して!
偽らなくたって叫んだ旋律がひかりと化して伝うのさ。
此の歌が間違いでも構わないわ。声を枯らして!
掻鳴らせ、ブルウスドライバ・アンド・テレキャスタ。
答は音の中。

午前一時、警鐘亂打に起こす瞼。
あたしは「何がしたい」「何がしたい」と逡巡の間、
余計なことばかりが頭の中絡まっていた。
丹精凝らしたペイパークラフトは着火剤と化した。

劣等感、実感、悲観で、
勝手に喰らってパッシヴィティ。
演奏家皆皆で 喝破する生態系?
それでは、変光星から没個性で
劣化する才が惜しくなってしまう。
不都合等蹴飛ばして 銘銘に踊れや。一、二、三、四。

逃れることと、眼を逸すこと、何方に価値が有るだろう?
ただ此処で問答・瞑想 じゃあ、突立っても迷走。
さあ点と点を結ぶように、

確かな愛が視たいなら、音に成って今逃げ出して!
偽らなくたって叫んだ旋律がひかりと化して伝うのさ。
此の歌が間違いでも構わないわ。声を枯らして!
掻鳴らせ、ブルウスドライバ・アンド・テレキャスタ。
答は音の中。

そして、あたしの中。


歌詞考察

◆味気の無い夜に溶けた雪が、言葉を枯らすのは何故?
 ○味気の無い夜に溶けた雪が
  ・味気の無い:面白みのない、風情のない
   面白みのない夜→まふゆにとって唯一の楽しみであった、ニーゴの一員として活動出来ない夜
 ○溶けた雪
  =深夜に活動が出来なくなってしまったまふゆの様子。
 ○言葉を枯らすのは何故?
  言葉=歌詞(→まふゆは歌詞担当である)
   ・・・を枯らす=歌詞を綴る事が出来なくなる状態
   →パソコンすら消え、歌詞を届ける事が出来ないまふゆの姿を暗喩
    →それなのに本音を押し殺してしまうのは何故
  
◆伝わらない想いだけがこころ染めて、かなしみに溺れたような、
 ○伝わらない想いだけがこころ染めて
  ・伝わらない想い=「音楽がやりたい」と思うまふゆの意思
   →「音楽がやりたい」と伝えても母親には受け入れてもらえなかったこと(→イミシブル・ディスコード)
  ・こころ染めて=(まふゆの心を)染めていく

◆泡沫の爆ずバラッド。
 ・泡沫:儚く消えやすいもののたとえ
 ・爆ず=「爆ぜる」=(草木の実などが)熟しきって裂ける。割れて飛び散る
 ・バラッド=イギリスなどで伝承されてきた物語や寓意のある歌のこと。ただし、そのほとんどは必然的に破局(=事態が行き詰まり、関係やまとまりが壊れる)が訪れる
  →儚く熟しきって飛び散ってしまうバラッド
   「儚い」存在であるのは「まふゆ」
   「熟しきって」「飛び散」りそうなのは「まふゆの本当の想い」
    →破局してしまう(バラッドの結末が表す)ものは、まふゆと母親の関係か、ニーゴとまふゆの関係か・・・・・・?

◆日月さえも孤独な天下で、絡まって解いてを輪廻する愚者の群れ。
 ・日月:日や月の経過
 ・天下:この上ないこと
  →どんなに月日を過ごしたとしても、孤独な優等生(=本当の自分を知ってくれる人が少ない)である事に変わりはない。
 〇絡まって解いてを輪廻する
  →まふゆ視点で示すのであれば「マリオネット」の糸に掛け合わせたものか。
  →今までのストーリーの流れとして、ニーゴのメンバーがまふゆの気持ちを楽にしている一方、まふゆの母親によって気持ちが絡まって(=束縛されていって)しまっている事が繰り返されている。
 ※輪廻:生き死にを繰り返す
  →まふゆの「心」そのものの生き死にを指すものか
 〇愚者の群れ
  →まふゆ視点で例えるのであれば「良い子のまふゆだけを必要とする者たち」。優等生でいればいるほど、本当の自分が分からなくなってしまう事から。

 もしくは、「愚者の群れ」はニーゴの面々とも捉えられる場合がある。

 〇日月さえも孤独な天下で
  =月日がいくら過ぎようと、この上ないほどに苦悩する(=天下)私たちを、本当に理解しようとしてくれる人も、理解してくれる人も現れるわけが無い
 〇絡まって解いてを輪廻する愚者の群れ
  =「辛い、消えたい」と「救われた気分になった」を永久的にループしている様子。
  →各々の苦悩に対して、本質的には解決する事が出来ていない事に対する皮肉表現。それなのにひたすら救いを求めて足掻く行為を「愚か」として、「愚者」という言葉を用いているか。

◆まるで、一様に独りと識った
調和を謀る、本能の儘のキティ。
 ・一様に独りと識った(反射で)
   一様に:すべて同じ様子であること。普通であること。
   識る=知る
    =本当の想いを知るのは自分自身だけである事を認識する様子
 ・反射で調和を謀る
   =反射的につり合いが整った状態を謀る(=計画・方法を思いめぐらす)様子
    →母親の機嫌を損なわせないように顔色を伺うまふゆの様子
 ・本能の儘のキティ
   本能:生得的にもつ行動様式。
   儘:その状態から変化がないこと。
   キティ=【Kitty】:猫を呼ぶ際の掛け声。猫そのものを意味する事もある。
  ※今回のまふゆの衣装名が【Lost Kitten】(迷子の子猫)である事から、Kitty=まふゆとして考える。
  →本能のまま母親の顔色を伺い続ける朝比奈まふゆ
※例:フェニックスワンダーランドでの一幕
 迷子になったまふゆと、それを見つけた母親の反応(→迷い子の手を引く、そのさきは)
  →その時の母親の様子から、「良い子でいなければならない」と幼心に理解してから、顔色を伺う習慣が形成されていった

◆嗚呼、何処にも新世界なんて無い。
独りで愛し、愛されて居たい。
 ●瑞希視点の歌詞のように見てとれる
 ・「新世界」→本当の自分を受け入れてくれる世界
 ・独りで愛し、愛されて居たい。
  →「ボクのあしあと、キミのゆくさき」第7話
「この世からみーんないなくなれば、ちょっとは楽になるのかなぁ?」
「・・・・・・なーんて、そんなこと起きっこないから、ここに来てるんだけどね」
 =瑞希が「自分以外の人間がいない世界=新世界)」を望むような発言をしていた事を指すフレーズか

◆果たして今日は凶なら昨日は如何?
詰まり永遠に不幸ってこと?
 〇今日は凶なら昨日は如何?
  →今日が最悪なら昨日はどう(どんな1日)だった?(→昨日も変わらず凶だっただろう?
 〇詰まり永遠に不幸ってこと?
  →今のまま過ごすのであれば、一生不幸が続くんでしょう?(→そんなの考えなくても分かってる

◆其れなら、如何にかしたい次第。其れでも直視なんて出来ない。
また、劣等と焦燥が睨み合って居る。
 〇如何にかしたい次第。其れでも直視なんて出来ない。
 →(不幸が続くのなら)今の自分の状況を変えたい。けれどその現実に対して真っ向から立ち向かうだけの力がない
   または、そのような現実になっているという事実そのものを受け入れたくない(=直視できない)
  =自分の母親が想いを殺そうとしているだなんて信じたくない
 〇劣等と焦燥が睨み合って居る。
  〇劣等:劣っていること
   →「本当の想い」を貫くことが出来ない事に対する劣等感?
  〇焦燥:焦って苛立つこと
   →「本当の想い」を殺されそうになっている事に対する焦燥感?
 =すぐに行動をしないと「想いが殺されてしまう」事は確かで焦るべきなのに、自分には何も出来ない(「(本当の事を言うのが)怖い」という描写があった)という劣等感を覚えてしまう様子。

◆逃れることと、眼を逸すこと、何方に価値が有るだろう?
ただ此処で問答・瞑想 じゃあ、突立っても迷走。
さあ点と点を結ぶように、
(まふゆ視点)
 ・逃れること(=本当の想いの為に逃げ出すこと)
   =母親のもとから逃げ出すこと
 ・眼を逸すこと(=本当の想いから目を逸すこと)
   =このまま母親の言いなりになり続けること
(瑞希視点)

 ・逃れること
   =「ボクでいる」ために周りに合わせることなく、結果的に周りから孤立すること
 ・眼を逸すこと
   =「ボクはボクでいたい」という想いを殺して周囲と同じようにすること
 →この何方に価値があるのだろう?

〇問答・瞑想 じゃあ、突っ立っても迷走。
 →いくら自分で考え続けていても、どちらが良いかなど結論はなかなか出ることはない

〇さあ点と点を結ぶように
 →この「点」は恐らく瑞希とまふゆのこと。
  歌詞全体として、2人の今までやこれからについて書かれているであろうものが多い事から、2人を結びつける(ストーリーでもスポジョイパークで息抜きするなど)要素として書かれたものか。
 →「(ボクがしてきたように)逃げてもいい」という新たな選択をまふゆに与える行為が「点と点を結ぶ」と表現されているか。また、ニーゴの面々が一つになっていく様子とも考えられようか。

◆確かな愛が視たいなら、音に成って今逃げ出して!
 ○確かな愛が視たいなら
   →「想いを殺してしまう歪んだ愛」ではなく、想いを汲み取ってくれるような、支えになるような愛を感じたいのならば。
 ○音に成って逃げ出して!
   →ニーゴの一員として活動を続けることの言い回しか
   =母親の束縛から逃げ出すこと
 イベントの本筋である「逃げてもいい」という新たな選択肢を与えた事を強く意識したフレーズとなっている事を思わせる。
 また、この作品では「セカイ」という「untitled」を再生・停止する事で行き来することができる異世界が存在している事から、「音に成って逃げる」とは「(自分が落ち着く空間である)セカイへ行くこと、逃げ込むこと」を意図しているようにも思える。

◆偽らなくたって叫んだ旋律がひかりと化して伝うのさ。
 〇偽らなくたって
  =本当の想いを伝えたって
 〇叫んだ旋律がひかりと化して伝う
  →伝えた想いは光のように一瞬で消えてしまう。
  →または、「ひかりと化して伝う=涙」。本当の想いを伝えてもダメだった事の暗喩だろうか。

◆此の歌が間違いでも構わないわ。声を枯らして!
 →「逃げ出す」事がたとえ間違いであったとしても、想いが殺されない選択をとる方がいい。
 ・声を枯らす=勢いと共に行動を起こす事の例え?

◆掻鳴らせ、ブルウスドライバ・アンド・テレキャスタ。
 ブルースドライバー:ギターの音を歪んだ音にするためのエフェクター。
 テレキャスター:エレキギターの一種
  →ブルースドライバーを通した歪んだギターの音のように、母親の言うことに対して真っ向から立ち向かうのではなく、少し歪ませた選択をしても良いのだという事の暗喩?
 →「逃げ続けてきた」瑞希だからこそ、その考えを少し変えれば、「逃げてもいい」という選択を人に伝えられる唯一の存在になりうる。

◆答は音の中。
 →ニーゴは音楽を作るサークルである。それゆえに、本当の答え(選択が間違っているかどうか)は「音楽を作り続けたその先」にある。

◆午前一時(AM one o'clock)、警鐘亂打に起こす瞼。
 ・午前一時(AM one o'clock)=ニーゴの活動時間。
  宵崎Englishたすかる。
 警鐘:危険を予告して警戒を促すもの。
 亂打:むやみやたらに叩く。めちゃくちゃに打つ。
  ※「亂」=「乱」の旧字。
  →まふゆの母親は、まふゆの心を殺そうとしているのだと何度も訴えるニーゴの面々やバーチャルシンガーたち(主にKAITO)

◆あたしは「何がしたい」「何がしたい」と逡巡の間、
余計なことばかりが頭の中絡まっていた。
 逡巡:決心がつかず躊躇うこと
 →「自分が何がしたい」のか分からず、迷っている様子。医者になれと言われた事と、本当は看護師になりたいという想いが、頭の中でごちゃ混ぜになっている。

◆丹精凝らしたペイパークラフトは着火剤と化した。
 丹精を凝らす:真心込めて丁寧に1つの事を行う
 ペイパー(ペーパー)クラフト:紙で作られた模型
   →丹精凝らしたペイパークラフト=まふゆのこと
 →自分なりの愛情を注いで、自分が思う「理想の娘」に育て上げた事を暗喩する表現か。
 着火剤:火がつきにくいものに火をつけるための燃料や薬剤
  →まふゆが「火」をつける事を助ける存在に変化していった事を表す
   →「火」=母親に対して何かしら行動を起こす事の例え?

 つまり、丁寧に作り上げられた完璧なペーパークラフトは、気付かぬうちに、まふゆを助けるための火をつける(=行動を起こす)ための着火剤となっていたということか。
 実際、「イミシブル・ディスコード」では、アポを取ってきたのはあちらからであったが、奏がまふゆの母親と実際に対峙する場面が、「願いは、いつか朝をこえて」では、まふゆを庇い、自らのプライドを捨ててまで彼女を守ろうと、電話越しでまふゆの母親と話す絵名の様子が描かれている。
 そして今回、新たに「逃げてもいい」と立ち向かう以外の選択肢を与えた瑞希
 こうしてみると、ニーゴの面々が各々の方法で行動を起こしている事が分かるだろう。物語の中心となっているのはまふゆであり、三人を動かす着火剤となったのもまた彼女なのである。

◆劣等感、実感、悲観で、
勝手に喰らってパッシヴィティ。
演奏家皆皆で 喝破する生態系?
 ・劣等感:他よりも劣っているという感覚
 ・実感:物事から得る実際の感覚
 ・悲観:思うようにならないため失望すること
 ・パッシヴィティ【passivity】:無抵抗、消極的、言いなりになること
  →劣等感を実感して悲観視する→「本当の想いを言えないこと」を劣等感と表している? 
  →上記のように物事を悲観視し、本当の想いを伝える事を諦めかけてしまう様子を述べているか

 ○演奏家=まふゆを除いたニーゴの面々(器楽の演奏を生業としていないので若干意味は異なる)のことか
 ・喝破:誤りを排して正すこと
 ○生態系=生物社会のまとまりのことを示す概念
  →喝破する生態系=今まふゆが生活している家庭環境(=生態系)は、(世間体一般からすると)間違ったものなのではないかとするもの。

◆それでは、変光星から没個性で
劣化する才が惜しくなってしまう。
 ・変光星:時間と共に明るさの見かけが変わる星
   →日中は優等生、夜はニーゴの一員と時間と共に性格が変わるまふゆのことか
 ・没個性:個性がない、薄いこと。
  →せっかく(以前よりも)自分を取り戻しつつあるまふゆの存在を、また失ってしまう事は非常に耐えがたい事である。

◆不都合等蹴飛ばして 銘銘に踊れや。一、二、三、四。
 →都合の悪い事なんて一蹴して、各々好きなようにしてしまえ
  →誰かに縛られることなんてないというメッセージか。

◆逃れることと、眼を逸すこと、何方に価値が有るだろう?
ただ此処で問答・瞑想 じゃあ、突立っても迷走。
さあ点と点を結ぶように、
 ●第一フレーズで現在の瑞希と過去の瑞希が映り、次のフレーズでは現在のまふゆと幼いまふゆが映る。
  →問題に立ち向かう事から逃げた過去を持つ瑞希
  →母親の行為が自分の想いを殺しているという事実から目を逸すまふゆ
   ※詳細は1番歌詞参照。

◆確かな愛が視たいなら、音に成って今逃げ出して!
偽らなくたって叫んだ旋律がひかりと化して伝うのさ。
此の歌が間違いでも構わないわ。声を枯らして!
掻鳴らせ、ブルウスドライバ・アンド・テレキャスタ。
答は音の中。
 ※1番歌詞参照。

◆そして、あたしの中。
 ○「ボクのままでいたい」を貫いてきた瑞希だから綴る事の出来る詞。
   →本当の想いは各々が必ず持っている

おわりに

 さて、いかがだったでしょうか。今回、「逃げても良いんだ」と立ち向かう事やその方法について考え込んでしまうのではなく、「一旦離れてエネルギーを養うのも選択の一つだ」と伝えた瑞希。スポジョイパークで遊んだのも恐らくそのためで、まふゆに対して「一時的な逃避」をさせるための手段だと推測できます。
 ずっと考え込んでしまうと疲れ切ってしまい、何か行動を起こすためのエネルギーが足りず気力が起きない・・・・・・というものです。時には自分にアメを与えてしまってもいいじゃないか。一時的でも、エネルギーが戻るまでの間だけでも、楽しい事だけ考える時間があったっていいじゃないか。そんな想いが込められているように思えます。
 もしも「完全に逃避する」事を選んだ時は、それは「ボクの責任だ」と述べた瑞希。他人の未来が掛かっているからこそ、生半可な気持ちで踏み込んではいけないのです。深いところまで踏み込まないと一度は決めていた瑞希が、仲間の為に、まふゆの深い所まで踏み込もうとしている。そして踏み込む勇気を出して実際に行動をした。そんなお話でした。

 これを読んでいる貴方も、きっと何か大きな悩みや苦難を抱える時がある事でしょう。ずっとその事ばかり考え込んでしまって、追い詰められてしまうかもしれません。
 そんな時は、瑞希の言葉を思い出してください。

 ボクはしんどい時いつも、自分が楽だなって思うほうに逃げてたんだ。
 だから、まふゆにもそういうのが必要なんじゃないかって。

 ――生きるために。
 逃げることが必要な時もあるって、ボクは思う。

 もう無理だって思ったら、逃げて良いって――
 ボクは思うんだ。誰でもない、まふゆ自身のために。

 もし何か悩み苦しんでいる事があって、どうしようもなくなってしまった時。きっとこの言葉がそっと支えてくれる日が来るかもしれません。

 それでは、また次回の書き下ろし楽曲にてお会い・・・・・・できればしましょう。
 では最後にひとつ。

 ハローキティのポップコーンはいかが?


 ではまた。

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