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【MTGヒストリック】なぜ《原初の呪物》に緑を入れたのか BG原初の呪物

完成したデッキの紹介ではありません!!!!!!

《原初の呪物》の弱点

 《原初の呪物》には弱点がある。というよりも寧ろ、恩恵より弱点の方が大きい。ざっと並べると以下の通りになるだろう。

  1. 第一面の影響力が小さい。

  2. 設置・変身の両方で、マナもカードの消費も多い。

  3. 変身前は呪文に質より数が求められる一方で、変身後は呪文に質が求められるアンバランスさ。

 この問題を順番に分析していきながら、上記画像のデッキ、BG原初の呪物では、なぜ緑を主となる色に選んだのか解説していきたいと思う。


なぜ緑を選んだのか

1.第一面の影響力が小さい

 1.の問題は《原初の呪物》の抱える最大の弱点と言える。そもそも4コスト帯には勝負を左右し得る強力無比なカードがずらりと並び、ヒストリック水準でいうところの4ターン目は、ゲームが決着するターンである。盤面に触れず、アドも稼げないカードを4ターン目に通す。そんな悠長な事をスタートラインにしていれば、その時点で手遅れなってしまう

 それでは、ハンデスや単体・全体除去を連打して序盤を捌き切れば勝てるかと言われるとそうではない。なぜならば、除去の応酬によって手札が減り切った後では4回も呪文を唱える難易度は跳ね上がり、そもそも変身することが難しくなってしまう。

 とは言え、実際のところ除去呪文の応酬によって《原初の呪物》変身までの時間を稼ぐというのは筋の通った考えである。仮に呪文の応酬が始まる前に《原初の呪物》が設置できていたとしたら、除去呪文を唱え続けるだけで自然とカウンターが4つ貯まり変身出来るだろう

 この問題の解決策として今回提唱するのが緑によるマナ加速である。《原初の呪物》の設置を3ターン目に前倒し出来れば、Xデーである4ターン目に全体除去などがギリギリ間に合う。それだけでなく1コスト軽減能力によって《戦争の犠牲》《収穫祭の襲撃》《告別》といった盤面の不利を五分に戻せる6コストの呪文を4ターン目に唱えることすら可能にする

 是非採用したいマナ加速カードが2枚ある。《探検》はソーサリーであることと、1ドローできることから《原初の呪物》の第一面と第二面両方で一定の活躍が見込める。《前兆の追跡者》は特に強力なシナジーがあり、変身した《原初の水源》をアンタップして呪文をさらに追加でコピーすることが出来る


2.設置・変身の両方で、マナもカードの消費も多い

 2.の問題を解決する手段は大まかに分けて3つに分類される。

  1. マナ加速でマナの消費を補う。

  2. インスタントやソーサリーを取り回しの良い呪文で固める。

  3. カウンターを追加して4回未満で変身させる。

 1.は緑お得意のマナ加速で解決したものとして扱って良い。そして、2.も緑は(流石に一番ではないが)得意だと言って良い。

 呪文を4連打して変身条件を満たすなら、軽量なドロー呪文を使うのがおそらく最も安定する方法だと考えて良いだろう。緑には2コストで1ドローできる《探検》《ガイアの祝福》があり、この条件を満たす。シンプルなドロー呪文であれば流石に青のカードに軍配が上がるが、この2枚はドロー以外の役割も持っているというのが非常に魅力的だ。更に黒を足して良いなら、《チーム結成》という2コスト最強のドロー呪文が使えるようになる。

 3.のカウンター追加と聞いて、WAR、ONEで再登場した増殖持ちインスタントやソーサリーを思いついた人は多いであろう。一見すると相性が良いように感じられるが、実は落とし穴があり、変身は「《原初の呪物》の能力によって4つ目以降のカウンターが置かれることをチェックする一連の能力」の結果であり、増殖などで《原初の呪物》の誘発型能力以外で4つ目のカウンターが置かれても変身しないのである。

 整理すると、増殖持ち呪文を使っても最低3回は呪文を唱える必要があり、カウンターが既に2個以上置かれている状態では増殖は機能しないということを意味している。思ったほど効率的ではない。

 ただし、「《原初の呪物》の能力によって置かれるカウンターそのもの」が増えた場合は話が変わる。具体的には《巻きつき蛇》《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》によって置かれるカウンターを2個にすれば2回唱えるだけで変身させることが可能になる。そう、これがデッキに緑を入れる2つ目の理由である。ついでに言えば、《戦争の犠牲》《巻きつき蛇》を見出した時、緑と黒で原初の呪物デッキを組むことを決めた。


3.変身前は呪文に質より数が求められる一方で、変身後は呪文に質が求められるアンバランスさ。

 変身前の戦術と変身後の戦術が異なるというのが、原初の呪物に深刻な使い難さをもたらしている最大の要素である。変身させるために軽量の呪文をデッキに多く入れたい。その一方で変身後は効果の大きなコストの重い呪文を唱えたい。そのアンビバレントな願いを解消する方法が……

 無いのだ。無いのである。強いて言うなら、《原初の呪物》をデッキから抜くことが最も効果的で唯一の解決方法である

 呪文を1回や2回コピーしたいだけなら2コストの軽量なインスタントが幾つもある。毎ターン追加コストなしでコピーしたい場合でも、《複視》《希望の標、チャンドラ》という下準備なしでコピーが出来るカードが存在している。

 これらを使えば軽いインスタントやソーサリーの枚数に気を配らずに、コピー呪文と重いソーサリーだけでデッキが作れるので、上記のように悩む必要が無い。膨大な手間をかけて《原初の呪物》を変身させるよりもずっと簡単に結果が得られる。

 とは言え、赤や青といった如何にもな色を使わずに呪文のコピーが出来るというのは無色である《原初の呪物》ならではの利点である。そういった意味では、緑を軸にデッキを組む理由と言えなくもないのかもしれない。

おわりに

 呪文コピー戦略にとって《原初の呪物》は無用の長物であるが、黒や緑にとっては《原初の呪物》だけが唯一コピーを楽しませてくれる友である。

 《巻きつき蛇》《戦争の犠牲》《チーム結成》はそれ単体で見ればプレイアブルなカードであるように思えるので、緑の力を軸にしたBG原初の呪物、試してみる価値はあるのではないだろうか。

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