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大学生が京都から東京まで歩く話④

オーバーナイトウォーキング編

 夜はテンションがおかしくなり元気になる。ブルーハーツを歌いながら当たり前のように中山道のルートを外れて南下する。あたりには電波塔がいっぱい立っていた。僕らはとにかく川に沿って歩いていた。とりあえずの目標は30キロ先のポカポカ温泉だ。3時頃、そろそろ疲れてきたなという空気が流れたためローソンで休憩を取ることにした。
店の前、自動ドアの横で気づけば僕らは眠っていた、、、

5日目(清須市五条川五条橋の下)

ここはどこだ。コンビニの前だ。自分は誰だ。寝ていたことに気づいていない僕は一瞬頭が混乱した。隣で寝ているのは、、タクミ。
あれ?ネオは??、、、
っていや!寒いテテテーーーーー❗️
寒さのせいか頭がいたい。僕は応急処置としてとりあえずローソンに再入店しトイレの便座で暖をとった。時間は6時半。ネオは近くの東屋でスヤスヤ寝ていた。叩き起こし温泉に向かう。あたりは少し明るくなってきていた。もうここからしばらくは記憶がない。起きて歩いていたはずなのにだ。
気づけば日が昇っていた。完全防寒の格好では暑さすら感じたそんな小春日和だった。冬を拭いきれないほどのか弱い春の風が僕らを睡魔に襲わせる。足取りも重くなってきた。
いつからかは分からないがあたりに雪も無くなっていた。
ネオ 「きゅうけーーーい!!」

周りは畑、軽トラ一台しか通れないほどの細い十字路で僕らは寝そべった。天気が良かったから雪で濡れた寝袋とテントも乾かしたりした。
ウサギとタクミは道路の真ん中で寝ていた。
そしていい加減に進もうという雰囲気が流れ、再び歩を進める。本当に将棋の歩になった気分だった。一歩、また一歩。前に一歩ずつ。あと10キロ

 あたりに僕等以外の人を見ることが無かった。本当に怖くなるほどに。

今地球上には僕ら3人しか残されていないのか。いや、僕ら3人がゾンビになり周りから避けられているのか。風貌だけでいうと後者の可能性が高い。そんな話をしていたほどにだ。僕らの場合本当の意味でウォーキングデッドになってしまう。

 流石に寝ずに70キロも歩くと当たり前だがしんどい。滋賀から愛知まで寝ずに歩いてきたのだ。本当に当たり前だろう。
 温泉まで残り2キロの地点まで来ると気持ちだけで前に進んでいる感覚がわかる。気持ちが足を引きずって前に進もうとしている感じだ。一度は体験して欲しい。ようやく温泉に着いた。
稲沢ポカポカ温泉
お風呂は出発前夜以来。感動した。服を脱いだ。痩せていた。体重は1.75キロ減っていた。足に水膨れができていてお風呂の床を踏むのが痛い。まず汚れた体をシャワーで洗い流す。お湯を浴びた瞬間溶けてしまうかと思った。幸せ。
そこで異変が、起こる。
ウサギ「なんかここのシャンプー泡立たへんな」
タクミ「リンスと間違えてない?」
ネオ「ほんまや泡立たへん」
、、、
ウサギ「おれ一回流して2回目シャンプーしたらちょっと泡立ったよ」
ネオ「それっておれら脂ギトギトすぎて一回で洗い流せてないだけちゃうよな。だから一回目泡立たへんとか。」
タクミ「おれらそんな汚くないよー」
全員無事3回目のシャンプーにてキレイに泡立ったのであった。シャンプーを疑ってすみません。

湯船に浸かることは本当に幸せだ。重力からの解放。普段の生活をしていては当たり前すぎて感じられない事だろう。その気持ちよさうえみんな風呂に入ったら気づくと寝ていた。足の裏はヒリヒリするが。湯船の種類が多く各々好きな風呂に入って楽しんでいた。
ネオは外の寝転べるスペースで、30分以上寝ていた。それに関しては風邪引くのではないかと少し心配になるほどだ。タクミは暑いのが苦手らしくすぐに上がっていた。
お風呂から出るとちょうどお昼時だったため、ご飯を食べた。僕は豚の味噌カツ。ネオはチキンカツ。拓実はカレー。それぞれ定食を頼んだ。お米を食べるのが久しぶりだったためひどく感動した。飲みこむように完食するとリラクゼーションルームに行った。
ウサギ「充電できるやん!ヨギボーもあるし」
さっそくヨギボーに腰掛けた。
全員「よいしょー」
ウサギ「あー、天国」

一回瞬きをしただけのはずなのに目を開ければ深夜0時。閉店時間まで寝てしまっていたのだ。店
ウサギ「ここから、動きたく無いー。朝までここにいるーー」
店内には蛍の光が流れていた。
ウサギ「、、、出るか」
それから寝床を探して無言で歩いた。温泉のおかげか歩くのがだいぶ楽だった。今日の寝るところは川の橋の下で電車の音が聞こえる。
清洲というところで織田信長のゆかりの地らしい。橋の下にはまるで家に帰ってきたかのような安心感がある。テントを張らずに寝た。これぞバックパッカー

オーバーナイトウォーキング完

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