塔 2019年2月号

下駄を履くことのなけれど履かさるることのありしや学びの門に
民衆とふ巨人思へば沈黙は彼の身体の一部でしかない
平日の道頓堀にがやがやと中国語多しその中をゆく
石走(いはばし)る超高圧水切断に展かれてゆく鉄やはらかし
愛撫のごとき曲面加工さらさらと黒鉄(くろがね)の肌つやめきてゆく
日の暮るる頃に気になる顎鬚を撫でながら来ないメールを待てり

永山 凌平

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?