連呼する・繰り返す歌詞の魅力の要素と、個人的に感じる条件

 このnoteは歌詞の『解説』や『考察』ではなく『感想文』ですので、軽い気持ちで読んでいただけると幸いです。歌詞を読んだとき(聴いたとき)に受ける印象や、感じることは千差万別です。このnoteでは基本的に私が感じたことを紹介するため、少しずれたことを言うかもしれませんのでご了承ください。
 もし特集する曲を聴いたことがない方がいらっしゃったならば、是非一度聴いてからお読みいただけたら幸いです。詞の世界を自分で想像して、色々と思いを馳せる時間こそが一番の幸せだと思います。また、あなたがその歌詞に触れたとき、どう感じたのか、なにを思ったのか、もし良ければ教えてくださると非常に嬉しいです。
 色々な人の『視点』、『ものの切り取り方』、『感想』を知ることを楽しんでくれる人が一定数いらっしゃるとのことですので、そういう方々に楽しんでいただければと思います。
(敬称は略させていただきます)

【はじめに】
 皆様ご無沙汰しております、Hibiki Bisonです。Twitterの方でお知らせしましたが、現在アルバム製作のため配信やnote執筆を休止させていただいております。今回は約5か月ぶりの更新で、文章の書き方を忘れてしまいそうです。
 同じことを何度も聞く、時にそれは気持ちよく、時にそれは鬱陶しく感じます。例えば、何回聴いても大好きな音楽や落語、聴くたびに好きになって新しい発見があるという経験、皆さん思い当たる節はあるのではないでしょうか。またテレビで何度も聴く曲がだんだんと好きになっていたり口ずさんでいたりすることはありませんか。しかし一方で、友人の自慢話や愚痴、初めて聴いた時はさほど嫌な感じではなかったのに、何度も繰り返されることで「それ喋るの何回目やねん」と、初回の印象よりも話が悪く感じてしまうこともしばしばあると思います。
 【連呼する】【繰り返す】ことは諸刃の剣であると私は感じています。特に歌詞を繰り返すことは非常に効果的ではありますが、一方でくどい印象を残してしまう可能性もあります。では、そのポジティブな効果とリスクについて、私の好きな曲を交えながら紐解いていこうと思います。

【My favorite songs】

円広志「夢想花」

 連呼する歌詞といったら、まずこの曲が浮かぶのではないでしょうか。1978年にリリースされた円広志のデビューシングルです。「とんで」を9回連呼する特徴的なフレーズですが、こちらはポリメトリックで、4/4拍子のなかで「とんで」の3つの8分音符が繰り返されることからアクセント位置が変わって、非常に面白いリズムになっています。なによりもインパクトが強く、誰もが歌ってみたくなる、口ずさんでみたくなる、そんな曲だなと感じます。

Perfume「チョコレイト・ディスコ」

 Perfumeは言葉を連呼したり繰り返したりする曲が多いような気がしています(「ナチュラルに恋して」のように、少し変えている場合もあります)。チョコレイト・ディスコ、とても好きな曲でめちゃくちゃテンションあがる曲で、歌詞も本当面白いです。ライブ映像をみてもすごく盛り上がってますね。「ねぇ」もすごくキュートでダンサブル、これも「ねぇ」の繰り返しがあります。

ブルーハーツ「リンダリンダ」

 言わずもがなの名曲です。カラオケにいくと、サビの部分はたいてい皆で大合唱できます。かっこいいなぁ。

【インパクト・リズム感・歌えるということ】
 さて3曲お聴きいただきましたが、見出しの通り、歌詞を連呼する、繰り返すことには、「インパクト」、「リズム感」、「歌える」という3つの効果があると私は感じます(作者の意図は分かりませんが、個人的な印象です)。「大事なことなので二度言いました」というCMがありましたが、何度も耳に入ることで歌詞のインパクトは大きくなり記憶に残りやすくなります。そして、言葉の繰り返しはリズム感が非常に良く、Perfumeの「チョコレイト・ディスコ」では歌詞がダンサブルな楽曲や雰囲気にとてもマッチしています。夢想花でもリズムの変化が面白く、あらためて「歌詞はメッセージである上に、リズム隊でもあるのだなぁ」と感じました。ここで感じたのはラップとの共通性です。ラップは独特のフロウとライムでリズム感を生み出しますが、韻を踏むことのリズム感に与える影響は大きいと思います。これは「似ているイントネーションを巧みに繰り返している」という風にも捉えられるのではないでしょうか。ここからも、言葉の繰り返しの持つリズム感の良さがわかるかと思います。また韻を踏むだけでなく、似たフレーズを繰り返すことによりグルーヴが感じられることもよくあります。岡村靖幸の「セックス」を聴いてみましょう(是非、DATE〜祈りの季節〜マシュマロハネムーン〜セックスまで通して聴いてほしい!!)。フレーズが繰り返される中で、キメ、リズム感、グルーヴが私は物凄く好きです。

【繰り返し並べる目的、世界を描けているのか】
 ここからはさらに個人的感想かつ好みの問題になるのですが、繰り返すワードや文章自体に「奥行き」、「スター性」、「インパクト」が必要なのではないかと思っています。始めに述べたように、繰り返すことは下手すればくどくなってしまいますので、目的のない文章みたいな言葉を繰り返すと非常に鬱陶しくなります。言葉自体に面白みがない場合は、ただでさえ聞いてられないのに、それが繰り返されるものだから、たまったもんじゃないです。ただ、シンプルな言葉を、くどくならないようにラストサビなど一部だけ繰り返されている場合もあり、これは個人的には好きでグッとくる構成なのです(本当、何回も言いますが好みの問題です…)。
 岡村ちゃんの「セックス」を聴きながら、最近「○○も、△△も、✖️✖️も〜」みたいな歌詞多いなぁって思いますね。いいなぁと思う曲も中にはあるのですが、私が苦手な曲は、ただただ言葉を並べているように感じます、脈絡もなく。なんで苦手に感じるのか改めて考えてみると、鬱陶しくなる上に、ただ言葉を並べていることで世界がぼやけてくるように感じるのです。逆に好きな曲を見ながら深掘りしてみます。先ほどの岡村ちゃんの「セックス」、それぞれのワードに岡村ちゃん味を感じることができる、一筋縄ではいかないインパクトの強い歌詞です。歌詞に登場する「君」の一挙手一投足が感じられ、世界観にグーっと引き込まれています。また、例えば山崎まさよし「One more time, One more chance」、サビの「向いのホーム、路地裏の窓」という部分、聴き手の多くが経験したことのあるような具体的な風景を挟み込むことで、詞の世界が一気に現実味を帯びて、ありありと感じられます。このように並列関係で言葉を繰り返す場合は特に、選ばれたそれぞれのワードに「目的」があり、世界を描けているのかが大切なのではないかなぁと感じています。

【最後に】
 今回もとても個人的好みを押し出した記事になりました。何度も繰り返す歌詞が、いかに諸刃の剣であるかということをベラベラと喋ってきましたが、いかがでしたでしょうか。長くダラダラした文章もよくないですね、反省。何回読んでも良い文章、何回聴いても良い歌詞を書けるように、日々精進です。
 またアルバム製作を進めますので、note更新は不定期になります。次回もよければ読んでみてください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?