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焼付け漆って?

私が作る商品には漆が塗られています。
縄文時代から使われている「伝説の素材」、それが漆です。
漆貴 山猫堂はちょっと普通じゃない方法で漆を塗っています。
それが「焼付け漆」です。
ここでは通常の塗り方と焼付け漆の違いを説明します。


漆が固まるメカニズム

「漆が乾く」とは「水分が蒸発して乾燥する」のではなく
「空気中の水分」と「漆の成分」が科学反応して「固化」するのです。
漆が固まるには「水分」と「温度」が必要なのです。

焼付け漆はチト違う

焼付け漆はその名の通り「熱」で漆を焼く技法。
漆には水分以外に熱でも固化する性質を持っているんです。
縄文時代から人に使われてきた漆。おそるべきポテンシャル。

焼付け漆のその利点

研究によると焼付け漆の利点は以下の通り。
・すぐ固まる
・硬度が増す
・金属に塗った時に剥がれにくくなる
・かぶれない

すぐ固まる

通常の漆塗りは固まるまで最低でも半日。完全硬化には数ヶ月かかることもあります。しかし、焼付け漆では温度と時間は比例し、高温なら数分から硬化します。

硬度が増す

通常の塗りでは、漆は大体2Hから3Hくらいの鉛筆の硬さですが、焼付け漆の場合は6Hから8Hほどの硬さになることもあるそうです。

金属への食いつきがいい

漆は金属への食いつきが良くありません。普通の塗りでは簡単に剥がれてしまいます。でも焼付け漆なら、かなりしっかりした塗膜を作ることができます。

かぶれない

漆は乾く前に触れるとカブれる原因になることがあります。
焼付け漆はカブれる原因である
ウルシオールという酵素の働きを止めるために
カブれる可能性が更に低くなります。
(通常でも完全に硬化している場合はカブれることはほとんどありません)

以上が漆貴 山猫堂が多用する「焼付け漆」という技法の特徴。
しかし、焼付け漆が通常の塗りより優れている、という訳ではなく、
あくまで山猫堂の作品を制作する上で適しているだけなのです。
次回は「焼付け漆のコツ」的なものも紹介できたらと思います。

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