歌うための取り組み
音楽的に表現することを意図して「歌う」ということがある。使用例:「もっと歌って」。
どうすれば「歌って」いるように聞こえるのかという問題は、文化的側面と技術的側面がある。
これが音楽的に歌っている音楽だという感覚は、音楽的な経験と自身の感覚とが積み重なって、既存の音楽文化の中で始めて生まれてくるものである。
美しさの理論は感覚の後付である。どうして美しいのかと考えて行くと論理的にも筋道が立っていることが理解されるのだ。理論で美しさを作るのではない。美しいものの背後には論理と秩序があるというだけだ。
だから、美しいといわれるものをたくさん聞いて、自分の芸術的感度を上げていくことが大事。それを論理的にも分析すると、自分ノ演奏にも生かせる。
そして、楽器で「歌う」ためには、楽器固有の得意不得意を理解した上で、伝統的な歌わせ方を習得することが大切だ。合理的でシステマティックな訓練を土台として、結果としては美しく歌っているように聞こえるために体を使うことを目指す。
これはその伝統を受け継ぐ先生に習うことが1番早い。そして、身につけるためには、よく考えて練習することと、ピンポイントの反復練習を惜しまないことだ。
音を繋げるとか、ハーモニーの移り変わり方とか、音の分離とか、跳躍の仕方とか、フレーズの取り方とか、美しさを作り上げる要素は多様だ。
いま、クラシックギターで出ている課題曲がソルの月光という曲なのだが、クリアすべき課題がとても細かくなってきたので、少し戸惑いつつも手応えを感じている。
力を抜いて、滑らかに、テンポ通りに、の先に続くもの。歌い方の研究には先が見えない。踏み入れた途端、お手上げという気持ちにもなるけれど、同時に面白いのはここからだとも思う。
諦めず、奇を衒わず、夢を見ながらも地道に。
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