見出し画像

丸太の椅子

以前いた職場は森林・林業に関する職場でした。木材を売るときに、切り取っていらなくなってしまう根元の部分がゴミになってしまうことが多く、有効に活用しようという目的で、切り株のような椅子を作ってもらったことがあり、仕事中にはいつもそんな椅子を使っていました。

初めのうちは面白半分でした。お尻が痛くなるのでは、などと懸念されてもいましたが、特にそんなこともありません。また切り株の椅子は背もたれがないので、普通の椅子と比べて、ただ座っているだけでも腹筋に力を入れているせいか、肩こりが軽減されたり、姿勢もよくなったりなど、多くのメリットがあることがわかってきました。単に背もたれがなければいいというものでもないらしく、背もたれのない丸椅子に座ってみても、同じような快適さは得られませんでした。切り株のほうが重さもあって安定していたのか、単に気持ちの問題だったのか。仕事を辞めるとき、「持って帰ってもいいよ」と言ってもらいましたが、けっこう重量もあり、家で使うとちょっとひきずったときなど床を傷つけてしまうおそれもあったので、泣く泣く切り株とお別れしたのでした。それからも、使い勝手のよい切り株(丸太でも可)の椅子があったらなあと、ことあるごとに思っていました。

画像4

そんな切り株の椅子とお別れしてから、半年ほど経ったある日のことです。

木工細工で有名な森林組合さんへ行ったときのこと。実は少し期待していたのですが、期待通り、丸太の椅子が売られていました。やや径が小さめではありますが、八角形で、なにやら縁起もよさそうです。前の職場で使っていた椅子はヒノキで径も大きく、かなりどっしりしていたのですが、この椅子はスギなので少々軽めでもあり、また取っ手もついていて持ち運びもしやすそうでした。

本当は机と合わせて高さを検討したいところでしたが、何度も往復するのもなんなので、何度か座ってみて、買うことに決めました。お財布には千円札が四枚入っており、椅子の値段は3,800円、まさに運命のような出会い……?

「本当にこんなの持って電車に乗るの? 変だよ」と言われつつも、以前音楽をやっていたときは、ギターを背負って小太鼓を肩から掛けて東京の電車を乗り継いでいたこともありました。それを考えたら、まあこれくらい、といった感じです。違和感が少しでもなくなるようにひもで取っ手をつけてみたりもしましたが、どうだったのか。まあ、周囲の人は、見知らぬ人のことなど意外と全然見ていないもの。堂々と持っていたので、特に誰も気にしなかったことでしょう。

買ったときの姿は、次のとおりです。

画像1

ただ、帰りがけに、私の持ち方が悪かったのか、椅子がみしみしいうのが聞こえたりして、職場の切り株も特に冬場など、乾燥してくるとだいぶ割れが入ってしまったことを思い出し、ミツロウのワックス(ラナパー)を塗ることにしました。

画像2

照明のせいもあるかもしれませんが……、なんだか雰囲気ががらっと変わりました。

画像3

枝の周りの木目なんかも、いい感じです。

ただ、もう少し径が太いほうが、より座り心地がよかったかなとい気もしつつ、しかしそうなると重くなるし……(電車と徒歩で持って帰るのは、この重さが限界でした、まあ、無理に自力で持って帰らなくてもいいけれど……)、それはまた、座布団をしいてみたりなど、おいおい考えていくことにしたいと思います。

お手入れして、ピカピカになっていくのが楽しみです!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?