見出し画像

国境のない生き方 私をつくった本と旅

 前回紹介した池澤さんの本に続いて読んだのは、こちらです。
 ヤマザキマリさんは本業は漫画家さんですが、私にはエッセイのほうが読みやすく、何冊も読んでいます。内容は被るはずなのに、どの本にもまた新たな発見がんあって、次々と読みたくなります。


 でもあの深さがまたものすごい魅力で、緑色に澄んだ水の底は何が棲んでいるのかもわからない神秘の世界。とにかく美しくて、潜れば自分も一匹の魚、ただの生き物になれる感じがした。普段は人間の「袋」をかぶっているけれど、水の中では思い切ってその「袋」を脱ぎ捨てることが」できたのです。

 私はたぶん自分でも気づかないうちに、囲いの外に出てしまったのだと思います。
 囲いの中にいても、みんなは別にそれを疑問ともと思わず、楽しそうにしているのに、どうして自分は同じようにできないのか。
(本文より)


 人生の中で読んでこられた様々な本についての紹介があり、またそれらの本がおのおのの場面でどう役立ったのか、どう自分を支えてくれたのかなどが、とてもぴったりくる言葉で書かれていて、随所でなるほど、と思いながら読んでいました。


 あの頃の私のもつれた感情を解きほどくように言語化してくれたのは、安部公房をおいてほかにいないという気がします。―中略―寒さと飢えに震えながらの絶望的な逃避行、それが容赦ないものであればあるほど、それを読む、あの頃の私は救われました。
(本文より)


 ヤマザキさんの人生自体、現実は小説より奇なり、な感じもしますが……、私も、好きというよりも、これを読んで人生が変わったというような本はたくさんあると思うなですが、ここまで見事に言語化できません。五十代になっから、もう少し何か見えてくるのだろうか。

 そしてまた、こちらの本にも、”暗記するほど読んだガルシア・マルケス”という章で、『百年の孤独』についても書かれていました。
 なんというか、どかここら「そろそろ読みなさい」とでも言われているようです。何度も挫折ているけれども、今年中に一度は通読してみよう、と思いました。とりあえず、 『カラマーゾフの兄弟』を読み終えたらということで……!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?