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読書あれこれ(映画も含む)

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読書や映画について、いろいろ書いてみる予定です。
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記事一覧

​ 旅するエリスバン を観ました

書くのがすっかり遅くなり、ペルー映画祭、横浜が始まってしまいました。 前回、ペルー映画祭を観に行ったとき、一日で三本鑑賞したのですが、三番目に観たのがこの映画でした。 まず最初の感想が、「ようやくスペイン語の映画になった」でした。 別にスペイン語でないといやというわけではなく、こうやって外国で上映されるような映画はスペイン語のもの、もしくは違う言語だったとしてもスペイン語に吹き替えてから輸出する、というのではなく、ケチュア語やアイマラ語の映画がそのまま字幕つきで上映されるのは

映画『レタブロ』について

前回、ペルー映画祭vol.2へ行ってきました、という記事を書きました。 今回観た三作品の中で、ペルーにあまり馴染みのない人でも入りやすいのは  『レタブロ』ではないかと思います。 レタブロについては、鑑賞前にさっとHPの解説を読んだくらいで前情報は特になかったのですが、舞台がアヤクーチョだったので驚きました。 それに、ケチュア語(日本語の字幕はついています)だったのもまた驚きでした。 私もそれほどアヤクーチョに長期滞在したわけではないし、アヤクーチョの人たちとお話するときに

ペルー映画祭vol.2へ行ってきました

ペルー映画祭vol.2へ行ってきました。 今年のゴールデンウィークに、『アンデス、ふたりぼっち』を観に行ったときに予告されていたのですが、いつの間にか開催期間に。早いものです。 そして、あれ、vol.2ってどういうこと? と思っていたら、なんと2021年と2022年に第一弾が開催されていたそうです。 全然気づかなかった……、情報に疎くなっている……。 私がペルーの音楽を習い始めたのは、もう十数年前のことになります。 ペルーへ行ったこともなく、当時はユーチューブもそんなにな

児玉まで

車谷さんの小説の中でなにが一番好きかと言われると、そのときどきによってけっこう変わります。 なので、『児玉まで』も一番というわけではないのですが、なかなか好きなほうです。 有名になってくる前の小説で(38歳のときに執筆された様子)、それほど長くも華々しくもないのですが、ところどころにはっとする言葉がでてきたり、はっとする描写があるのです。 例えば、 「私は現在のことや将来のことを考えるのが苦手、というより殆ど苦痛に近い。だからなるたけ考えないようにしている」 「競馬や宝く

アンデス、ふたりぼっちを観ました

とは言っても、観たのは五月のゴールデンウィーク真っ最中のときでした。 もう半年くらい経ってしまいましたが、なぜいまさら感想を書いているかというと、ここ最近ペルー映画祭が開催されているからです。 (来週何日か鑑賞させていただく予定です)。 ちなみに、この映画は上映されていないようです。 半年前も記事を書こうと構想を練っていた形跡がノートには残されていたのですが、なんだかなかなか文章化へと進んでいませんでした……、胡蝶蘭のせいではないけれど、胡蝶蘭があまりに魅力的なので……? ま

午前十時の映画祭 

この催しについて知ったのは、ちょうど昨年の今頃だったのではないかと思います。 以前いた職場で、途中から福利厚生の券をもらうようになり、その券で映画を観たり旅行をしたりする少し安く楽しめるというものだったのですが、なにせもらうようになったのがちょうどコロナ禍になってからだったので一年目はまったく使わないまま終わり、二年目になって、ようやく様子をみつつ映画を観るようになってきたのでした。 それまで映画を観る習慣があまりなかったので、年に一度観ればよいほうというくらいで、よほど興味

アバターを観てきました

何ヶ月か前から、 映画館で予告編をみているときに、気になっていた作品がありました。その作品では、とても特徴のある、青い、獣と人とが混ざったようなキャラクターたちが出てくるようで、説明らしきものがないどころか、最初はセリフすら入っていなかったような気がします。もはや、みんながみんな、これらのキャラクターを知っていることが前提になっているようでした。例えばミッキーやポケモンのように、全世界に知れ渡っているキャラクターなのか、私が知らないだけで……、そんなことを思いつつも、調べた

さかなのこを観てきました

数か月前に予告編を観たときから気になっていた映画でした。 主人公はどうやらさかなクンがモデルのようだけど、なぜかのんさんが演じている? と不思議に思いつつも、予告編でほんの数分、もしかしたら数十秒しか流れなかった映像からも、のんさんぴったりな役柄だと思えました。どんな映画なのか、ぜひ観てみたい、とずっと楽しみにしていました。 https://sakananoko.jp/ さかなクンが近所に住んでいる不思議な(不審な?)おじさんとして出演していたりだとか、いきなりカブトガニ

バビロンを観てきました

久々に、映画館で同じ映画を二回観ました。 内容がすごくよかったというよりも、なんだか、映画館でもう一度観てみたい、という感じがする映画だったのです。 ストーリーなら、ラ・ラ・ランドのほうが断然好きでしたし、どちらかというと、ラ・ラ・ランドのほうが、主人公たちに感情移入しやすいような内容だったかと思います。 バビロンは特殊な設定ということもあって、感情移入できる人が限られているのではないかという気もしつつ、いろいろな面白い、ほかでは見られないような映像がたくさんあったから、もう

アウターゾーンより、悪魔の話

今からもう30年前くらいになるのでしょうか、当時少年ジャンプで『アウターゾーン』という漫画が連載されていました。 世にも奇妙な物語(今でもあるのだろうか?)に似ていなくもないような、基本的に一話完結で、毎回場面も主人公も違って、現実の世界とその外にある不思議な世界とつながってしまったような人とのエピソードが毎回紹介されました。 ミザリーという、水先案内人のような女性がいて、その人のお店で買ったアイテムがきっかけで不思議な世界とつながりができてしまう人がいたり、あるいは先に不思

洋書に挑戦!?

ペルーの民族音楽が好きで、スペイン語をかじってみたり、実際ペルーへ行ってみたりしたのですが、やはり国民性というか、文化というか、そういうものを知るにはその国の小説を読みたい、という思いがあります。 ペルーの小説家というと、私が知る範囲では、ホセ・マリア・アルゲダス、マリオ・バルガス・リョサが有名です。 ホセ・マリア・アルゲダスは1911年生まれというこで、この方の小説はけっこう前のペルーの雰囲気を知るのに適しているように思われます。また、幼少のころ先住民と一緒に過ごしたことに

いちご同盟

高校生のときにみんなから人気のあった物理の先生が、担任を持っているクラスの子たちに「どんな本が好きですか?」と聞いたら、多数の生徒がこの本の名前を挙げていた、という話を友人から聞いて、じゃあ私も読んでみようと思ったのが読んだきっかけでした(今思うと先生から直接聞いたわけじゃなかったんだな……)。 三田誠広さんの本を読んだのは、これで二冊目だったのかもしれません。一冊目は『僕って何』でしたが、これは主人公がなにやら情けない感じの人でええっ!? と思ううちにはまっていき、最後の方

十一月二十三日

十一月二十三日午後二時に国電神田駅北改札口を出た所で待っています。 この間、久々に車谷長吉さんの小説『児玉まで』を読んで、びっくりしてしまった。 初めてこの小説を読んだのは二十年くらい前だし、それからも何度か読んだのだろうけれども、おそらくあまり落ち着きのない生き方をしていたので、目には入っていたものの、日付までじっくり認識していなかったのだと思う。 十一月二十三日というのは、私が初めて車谷さんの小説を読んだ日だった。 なぜ覚えているかというと、大学入試の模試を受けていて、

仕事と読書について

趣味は読書といつも言っているのですが、そんな私は、つい最近まで、自分が仕事として関わっている分野の本を読むことがほとんどありませんでした。 私は大学生のときから、森林林業に関する分野にいました。 当時、人間関係や金銭面でのトラブル、疲労により、この分野からは潔く足を洗おうと思い、教科書やノートも九割がた処分したのですが、職がなくて、どちらかというと仕方なしに仕事としても関わることになりました。残業が少なくわりと有休も取りやすく、当時習い始めたギターに存分に時間を使いたかったこ