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今さら聞けない【LLM】の特徴や仕組みをわかりやすく解説!「生成AI」との違いも

日々進化するAI技術。ChatGPTの登場により「生成AI」や「LLM」などの言葉を見聞きする機会も増えたのではないでしょうか。次から次へと登場する技術や情報を追うのは一苦労ですよね。LLMは英語表記で専門的なイメージもあり、深く理解できていない場合があるでしょう。

そこで、LLMの特徴をわかりやすく要約し、他のAI技術との違いも比較して解説します!最後までチェックすれば、LLMの特徴を理解し、他のAI技術との違いもわかりますよ。そして、あなたのAI知識を高めるサポートに繋がるでしょう。

LLM(大規模言語モデル)とは


LLM(大規模言語モデル)とは、人間が使う言葉や意味を理解して、回答を生成できる言語モデルのこと。LLMは、人が話す言語や文脈を学習する機能を持っています。

学習はテキストデータに特化しており、文の構造や文脈を読み取り、それに見合う文章を生成できるのが特徴の一つ。LLMは言語の解析を得意とするため、会話形式での利用が可能なAIです。

つまり、人の言葉を学び、理解して使いこなせるAIの一つだと覚えておきましょう。

※【補足】言語モデルについて。
言語モデルとは、コンピューターが人間の言葉を理解するために、言語に関わる内容を学習する機能のこと。学校で日本語や英語を学ぶようにコンピューターも文法や単語を学んでいくわけですね。学習したデータを元に与えられた文脈を理解し、文章を予測しながら質問を回答できるようになります。

LLMの特徴

LLMは文章の生成や理解に特化した言語モデルを持つのが特徴です。そして、最大の特徴は従来の言語モデルと違い、LLMは「大規模言語モデル」になっていること!

大きく違う点は下記の3つ。
1.データ量
2.計算量
3.パラメータ量

まず「データ量」は、コンピューターにインプットする文章の情報量が増加。次にコンピューターが処理できる「計算量」が向上しています。そして、単語や文章を予測するために用いる計算の「パラメータ数」も大幅に増量。

こうして大幅にバージョンアップしたモデルが大規模言語モデルです。学べるデータ量や単語を予測するパラメータなどの機能が向上し、より精度の高い学習が可能となっています。

LLMと生成AIの違い

AIと一括り言っても、各々の技術には違いがあり混合してしまうもの。ここでは、特に勘違いされやすい「生成AI」や「機械学習」との違いについて見ていきましょう。

生成AIとは、ネット上にある既存の情報を元に画像や動画、テキストの生成をします。アイデア出しや音楽作成など幅広く利用可能。有名な生成AIとしてChatGPTがありますね。一方、LLMはテキストデータを学習する機能を持ち、特に文章の生成を得意としています。

簡単にまとめると生成AIはネット上にある情報を元に幅広い生成が可能。LLMはテキストを中心にデータを学び、理解して生成できるタイプ。つまり、生成AIはオールマイティーに何でもこなせる万能なAI。対してLLMは文章生成に特化したAIと言えるでしょう。

機械学習との違いは

機械学習もコンピューターにデータを与えて学ばせていく技術になります。大きな括りでは同じように学習する点は共通していると言えるでしょう。ただし、学習する範囲や特徴は異なっているのです。

機械学習は大量に新しいデータを与えて、情報を予測したり、判断したりできるように幅広い範囲で学習していきます。対してLLMは主にテキストを中心に学習して、言語の構造に関する知識を蓄えていくのです。どちらも同じ学習する技術を持ちますが、範囲による違いは異なっていますね。

代表的なLLMの種類5つ

LLMの開発は日々、進んでおり次から次へと最新のものが登場します。すべての種類を紹介するのは大変なため、代表的な5つを選びました。下記の5つを抑えておけば、LLMの大枠は掴めるでしょう。

1.GPT系
2.BERT
3.PaLM
4.LLaMA
5.LaMDA

1.GPT系

オープンAIが開発したChatGPTに搭載されているGPT-4/GPT-3です。生成AIと言えば、真っ先に思い浮かぶツールではないでしょうか。ChatGPTにも大規模言語モデルが利用されており、会話形式で生成するサポートになっています。

2.BERT

Googleが開発したBERT。特徴は双方向からの単語だけではなく、文脈の学習が可能な点です。従来のモデルは一方向な学習でしたが、BERTは双方向から学ばせられます。単語の意味に集中せず、前後の文脈から文章を解読していく高度な機能があるのです。BERT の技術はGmailに活用されており、機能性をサポートしています。

3.PaLM

PaLMはグーグルが開発した多言語に対応した大規模言語モデルです。日本語を始め、100言語近い多くの言葉を学習できます。それだけではなく、プログラミングコードの生成やタスク処理も可能。PaLMの高度な技術はグーグルが開発した生成AIの「Bard」にも利用されております。

4.LLaMA

LLaMAはメタ社が開発した少ないパラメータ数でも精度の高い生成ができると注目される大規模言語モデルです。LLaMAは他のモデルと比べると少ないパラメータ数でありながら、GPT-3を超える性能を持つ特徴があります。また、商用利用も可能でオープン性の高いモデルでもあるのです。

5.LaMDA

LaMDAはグーグルが開発した会話型の大規模言語モデルです。特徴は特定のキーワードに限らずに幅広い内容について会話形式で利用できること。言語の関連性を分析し、次の単語を予測できるため、さまざまな質問にも対応できる技術があります。

LLMが機能する仕組み

LLMが機能する仕組みは大きくわけて5つのステップで成り立っています。

1.トークン化
2.ベクトル化
3.データの学習
4.コンテキストの理解
5.テキストへ変換

1.トークン化

まず、文章を解析し、理解するためにトークン化を行います。トークン化とは、テキストデータを単語や句読点などに分割する工程のこと。コンピューターは基本的に数字データを元に機能しているため、文章データのままでは処理するのに時間がかかるのです。そこで、始めにトークン化して数値データへ変換できる形に整えます。次の工程にも繋がる大切な準備をしておくわけですね。

2.ベクトル化

次の工程は、トークン化されたテキストデータを数値データとして処理するベクトル化が行われます。トークン内の関係性や類似性を数値化し、計算して文脈を解析。深く文章を理解しながら、データの学習を進めるための工程に入っていくのです。

3.データの学習

ベクトル化されたデータは、ニューラルネットワークの各層を通過。各層を通過する際にデータが変換されて調整されます。データの特徴や文脈の構造を理解していくわけですね。そして、入力されたデータを抽出して学習されます。

4.コンテキストの理解

続いて、LLMはコンテキストの理解を深める工程に入ります。コンテキストを理解すれば、単語の並びから文の関係性や文脈の意味を分析できるようになるのです。テキストの意味を正確に掴むことで、回答の精度を高められます。日本語には同じ言葉でも違う意味を持つ単語があります。例えば「橋」と「箸」。読み方は「はし」ですが、使われ方は違いますよね。こうした単語の違いや意味を理解して、回答の精度を上げられます。

5.テキストへ変換

最後の工程は処理されたデータを人間でもわかる形に戻していきます。トークン化で数値データにしたものを出力ベクトルで、修正を加えながら文章の形にしていくのです。こうした工程を経て、適切な意味を持つ文章をテキスト形式で生成できるようになります。

LLMでできること

LLMのできることは多岐にわたります。特に文章の生成や要約などに優れているため、応用して利用できるのが強みの一つですね。
・文章コンテンツの生成
・アプリ開発
・タスクマネジメント
・お問合せ対応
・言語の翻訳

LLMはテキストデータを分析して文章にするのが得意。そのため、会議資料やブログなどの作成に大きく貢献してくれますよ。また、膨大な情報の中から瞬時に求めている内容を探し出し、お問合せ対応のサポートもできるでしょう。他にもプログラミングコードの生成を始め、データ分析やタスク整理も効率的に行えてビジネスシーンで活躍してくれます。

ビジネスの活用事例

LLMは業務の効率化をはかり、社員の負担を減らす役目も担ってくれています。ビジネスシーンでも利用される機会が増えており、すでに取り入れている企業も中にはあるのです。
ここでは、代表的なビジネス活用事例を3つ紹介します。

1.オペレーション業務
2.マーケティング分析
3.チャットボット対応

1.オペレーション業務

LLMは言語処理能力が高いため、オペレーション業務に適しています。例えば、お客様とやり取りをするカスタマーサポートの現場で活躍中です。LLMは、蓄えられたデータを元に、お客様の質問に対して素早く回答することが可能。迅速に対応できるため、お客様を待たせることのない満足度の高いサポートができます。また日本語以外にも、さまざまな言語に対応しており、24時間365日休まずに稼働してくれるのです。カスタマーサポート専門の社員を24時間待機させるコスパを抑えられるメリットもあるでしょう。

2.マーケティング分析

LLMはデータを瞬時に分析する能力も高いため、マーケティングの分野でも活躍しています。調べたい市場に関するデータを学習させておけば、マーケティング分析も簡単に可能。ターゲットとなるニーズの洗い出しや市場規模など分析し、新しい販路を開拓するにも役に立ちます。また、戦略やアイデアを出す際にも強力な味方になってくれるでしょう。競合となる他社の情報をまとめ、それを元に新しい企画を考える参考にもなりますからね。

3.チャットボット対応

LLMは膨大なデータを学習することができ、チャットボットでの利用に優れているため作業を効率化できます。会話形式で知りたいデータを素早く集めてくれる上に、内容を要約して文字に起こすことも可能です。人の手で一から資料に目を通さなくとも、必要な部分を抜き出して形にしてくれます。そのため、企画書や報告書など作成に手間が掛かる業務を効率的に進められるのです。社員の作業量を減らし、空いた時間を他の業務に回せて、仕事のクオリティを向上させる役に立ちます。

今後の課題点とは

LLMには大きく2つの課題があります。一つ目は学習するデータにより、情報に偏りがでてしまうこと。LLMは大規模言語モデルを持ちテキストデータを元に学習して、生成を進めて行きます。そのため、元となるデータ自体に偏りがあれば、回答する内容にも影響を与えてしまうのです。そして、間違った情報をあたかも正しい内容のように伝える可能性があります。扱うデータや回答された情報が精度の高いものなのか、まだ人の目で確認していく課題があるわけですね。

続いて2つ目は、セキュリティの問題点があります。LLMは学習モデルを持ち、膨大なデータを取り込むことができます。そのため、利用者が個人情報や社内情報などのデータを入力すると学習してしまうリスクがあるのです。そうなれば、情報の流失に繋がる可能性も高まります。利用者が安心してデータのやり取りをするためにも、セキュリティ強化が課題と言えるでしょう。

LLMは優れた機能がある反面、まだまだ回答の精度で安全性は改善していく課題が残っていますね。

LLMは文章生成に力を入れたAIモデル

LLMは学習機能を持ち、人間が使う言葉や意味を理解して、回答を生成できる言語モデルです。人の言葉を学び、理解して使いこなせるAIの一つだと覚えておきましょう。

特徴として、LLMはデータ量やパラメータ数などの規模をアップさせたバージョンのモデル。特にテキストデータを元に文章生成や理解が得意で、ChatGPTやBardなどの生成AIにも搭載されています。質問に対してテキストの回答や文章チェック、要約が得意です。


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