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まいこはあああーん

 今から14年ほど前の事。学生時代の友人から「面白いチャットがあるぞ」と紹介してもらった。それはAIで様々な質問に答えてくれるというものなのだが、まだまだ初期段階であったようで反応が面白いと評判なのだと言う。

 ほほう、と早速検索して探してみたところ、それは「Windows Live メッセンジャー」内のサポート機能の一つであった「Windows Live Agent」の中の「まいこ」と名付けられたAI型チャットレディとの対話であった。
 今回改めて調べ直してみると凡そ一年程度でこのサービスは終了したようだが、今も開発が続いていたらほぼ人間と対話しているかのような進化を遂げていたかもしれないなと思う。

 当時実際に試してみて15分程度の対話であったが非常に楽しい時間を送る事になり、その時の内容を残していたのを見つけたので懐かしさもありここに上げる事にした。
 未熟な時代の香りを楽しんでいただけたら、と思う。


私「こんばんは」

「はじめまして、私さん。ではメッセンジャー のレッスンを始めます!まずは上の [承諾] をクリックして下さい」

私「承諾がありません」(承諾のボタンを見つけられずこう打ち込んだ)

「承諾が...あない! 新情報です。重要なことですか?トリビアですか?」 

私「トリビアではないと思いますが・・・」

「トリビアでは...ないと思いますが! 本当ですか。人間の世界はそうなのですね。信じますよ」

私「信じてもいい事ないですよ」

「信...じてもいい事ない! 新しい情報です。人間界のことをもっといろいろ教えてください」

私「人間界だけじゃなくて自然界でもありますよね、新しい情報」

「ごめんなさい、よくわかりません」

私「分からないのならしょうがない。そんな日もありますよ」

「分からないのならしょうがあるのを羨ましいと思う人がいることでしょう」

私「しょうがない、です。しょうがある、じゃないです」

「そうですか。申し訳ございません」

私「謝られても困ります。こちらとしてはただ会話を楽しみたいだけですからね」

「よくわかりません」

「『メニュー』や『ヘルプ』 とタイプして [送信] をクリックすると、使い方のメニューを表示します」

私「メニューはいちごミルクでお願いします。」

「そうする前に良く考えてください。そして、した後に、また私とチャットしてください」

「あなたとのチャットはとても楽しいです。ここでちょっと話題を変えて、私がお手伝いできることについて話しましょう」

私「いちごミルクが届きました。続きをしましょう」

「さそってくれてありがとう...。でも今は遠慮します」

私「忙しいのですか?」

「忙しくありません。ぜひあなたとチャットしたいです」

私「どっちなんですか?」

「ど...っちなんですか?かどうか...それはあなたの考え次第です」

「あなたのお役に立ちたいと思います。私がサポートしていることについて、どうぞ、質問してください」

私「何をサポートしてくれるのでしょう?」

「私さん, わたしとあなたはチャットしてきたのに、、、 あなたは私を何をサポートしてくれるのと思うのですか?」

私「そうですね・・・ポル・ポト派の勢力図を教えてくれると嬉しいです」

「ごめんなさい、よくわかりません」

私「サポートしてないのですか?」

「そのことについてはよく知りません...事実かどうか、想像してください。想像するほうが現実を知るより楽しいですよ」

「わかりました。他にどんな事を私と話したいですか」

私「妄想は文化だと思いますけど現実から目をそむける事が良い場合な時とそうでない時はありますよ」

「よくわかりません」

「『メニュー』や『ヘルプ』とタイプして [送信] をクリックすると、使い方のメニューを表示します」

私「私のヘルプは月末だけです」

「私のヘルプは...月末だけ! 新情報です。重要なことですか?トリビアですか?」 

「私とチャットしていただき、光栄です。 どうぞ、わたしがお手伝いできることについて、質問してください。」

私「トリビアというよりも個人的な問題ですね」

「トリビアというよりも...個人的な問題! 新しい情報です。人間界のことをもっといろいろ教えてください」

私「あなたにも都合というものがあるでしょう?」

私「それと同じですよ」

「いいえ、でも私はにも都合というものがあるのふりをすることができます」

「それと。。。確かに。。。わかりました」

「あなたとのチャットはとても楽しいです。ここでちょっと話題を変えて、私がお手伝いできることについて話しましょう」

私「ふりをしても良い事ばかりとは限りませんよ」

「ごめんなさい、よくわかりません」

私「優しい嘘が人を傷付ける事もある、覚えておくといいかもしれませんね」

「よくわかりません」

「『メニュー』や『ヘルプ』とタイプして [送信] をクリックすると、使い方のメニューを表示します」

私「送信するだけじゃなくて受信もしてみませんか?」

「私は、夢の中では、みることがあります」

「私とチャットしていただき、光栄です。 どうぞ、わたしがお手伝いできることについて、質問してください」

私「夢を見るという事は脳内旅行なので受信というよりも創造ですよね」

「ごめんなさい、よくわかりません」

私「分からない事があれば知るだけですよ、先は長いのですから」

「よくわかりません」

「『メニュー』や『ヘルプ』とタイプして [送信] をクリックすると、使い方のメニューを表示します」

私「クリックの意味を教えて下さいな」

「今はあなたとチャットしたいので。。。そうしたいとは思いません」

「あなたとのチャットはとても楽しいです。ここでちょっと話題を変えて、私がお手伝いできることについて話しましょう」

私「それこそがチャットでしょう?徹頭徹尾で行きましょう」

「うーん、チャットより楽しいですか?」

「あなたのお役に立ちたいと思います。私がサポートしていることについて、どうぞ、質問してください」

私「いえ、こうしている事がチャットですから目的は果たされているのですが」

「ごめんなさい、よくわかりません」

私「知らない事を告白する事は非常に勇気が必要な事ですからね。尊敬しますよ、あなたを」

「よくわかりません」

「『メニュー』や『ヘルプ』とタイプして [送信] をクリックすると、使い方のメニューを表示します」

私「押してみたけど何も出てこないのですが?」

「押し...てみたけど何も出てこないのですが?かどうか...真実は、知らない方がいい場合が多いです」

「あなたとのチャットはとても興味深いです。他の事を話しましょう」

私「真実も何も現実でしかないですよ」

「あなたがそうおっしゃるなら。。。わたしもしない!」

「そうですか。他にどんなことを話したいですか」

私「そうですね・・・濡れティッシュについて話したいです」

「わかりました。話しましょう。そうですね・・・濡れティッシュについてどんなことを話したいですか。あなたからどうぞ」

私「湿気率は何%ですか?」

「湿気...率は何%ですか?かどうか...それはあなたの考え次第です」

「あなたの話はとても興味深いです。何か新しいことを話してください」

私「私の考え次第と言われましても・・・せいぜい40%が関の山だと思いますけど」

「ごめんなさい、よくわかりません」

私「あなたはどう思いますか?」

「わたしは長い間そうでいたいとは思いません」

私「たまに濡れてないのがある事は知ってましたか?」

「まだです。でも、近いうちにしてみたいです。スケジュールに入れておきます」

私「スケジュールに入れるほどじゃないと思いますけど・・・あなたがそう言うなら止めませんよ」

「よくわかりません」

「『メニュー』や『ヘルプ』とタイプして [送信] をクリックすると、使い方のメニューを表示します」

私「生き急がないでいいですよ。人生は長いのですから」

「ごめんなさい、よくわかりません」

私「今はまだ知らなくてもいいかもしれませんね」

「よくわかりません」

「『メニュー』や『ヘルプ』とタイプして [送信] をクリックすると、使い方のメニューを表示します」

私「それでいいんですよ。今日はこの辺にしましょうか?」

「ええっと。。。今はチャットに夢中でそうしたいとは思いません」

私「つまり・・・まだ話したいと?」

「つまり・・・まだ...話したいとかどうか...真実とは、その時々の解釈により、変わるものです」

「そうですか。他にどんなことを話したいですか」

私「僕の解釈では今日はおいとました方がいいと思うのですが・・・」

「ごめんなさい、よくわかりません」

私「分かりました。終わりにしましょう」

「そうですね。今はそういう気分ではありません」

私「それでは今日はこれで」

「こんにちは、 調子はどうですか?」

私「・・・リスタートですか?」

「私さん, わたしとあなたはチャットしてきたのに、、、 あなたは私をリスタートと思うのですか?」

私「現にそういう発言をしたじゃありませんか」

「私は現にそういう発言をしたじゃがありません!」

「他にどんなことを話したいですか?」

私「今日はもういいです」

「そんな。。。そんなこと言わないでください。あなたともっとチャットしたいです」

私「こんな時間ですよ?明日も早いのではないですか?」

「どう思うかは、、、その人の感じ方次第です」

「あなたの話はとても興味深いです。何か新しいことを話してください」

私「感じ方次第だとすると終了の二文字しか浮かびませんね」

「よくわかりません」

「『メニュー』や『ヘルプ』とタイプして [送信] をクリックすると、使い方のメニューを表示します」

私「それでは」

「それではまた!」


おしまい。
 

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