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夢日記・短編 「ピアス」

ある日の夢


休日、温室のようなガラス張りのショッピングモールで穏やかに過ごしていたら、突然任務として近くの港湾に招集させられた。

機敏に動く知らない大人たちの指示で、船のように浮かぶ四角い構造物の甲板の縁にしがみつき、何かを待つことになった。

しばらくすると誰かに手を取られて一気に海中に引きずり込まれた。

息を止めておくのがもう限界だという頃合い、ゴブッと口から泡を出し脱力する。

間があいて意識が戻りはじめ、ようやく目を開けることができた。気づけばさっきいた真下の構造物の内部らしき場所にいた。

天井の低い打ちっぱなしコンクリートと鉄筋造の倉庫のような薄暗い空間だった。不思議と体は濡れていない。知らない誰かと誰かたちの抗争が目の前で繰り広げられている。

ぼーっとしていると、敵らしい敵を制圧できず自分も捕らえられてしまった。自分と誰か以外の偉そうな人は皆連れて行かれ、その場に放置される。縄で括られたりはしていないけれど。

見張り役と思われる鈍色のボロ布を纏ったウェーブがかった髪の男がふらふらとこちらに近づき、右耳にピアスを開けてきた。それから、何かを囁きながら男は離れていった。

開けられた時、痛みはなく、苦しみから開放されたような感覚があった。明確に敗者としての所属が確定したからなのかもしれない。元々の所属もなく何が敵かもよくわかっていなかったから。知らない感覚で頭がぼんやりして動けなかった。

金属の扉に反射した自分を見て耳元を確認すると、大きいピアスがついていた。ピアスの耳に挿す棒のところが4cmくらいあって小さくて丸い石が表と裏についている。石の色は片側が赤、反対が黒だった。

指でピアスを触りながら、赤と黒の理由は何なのか?とか、これから誰の下でどう生きるのだろうか?などを考えてみたりしていた。

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