藤井風に気をつけなさい、愛し愛されるから【日産スタジアムライブレポ】
行ってきた。
配信してくれてるしレポ書くか迷ったけど、忘却の彼方にいたnoteでエッセイを書き始めようと思いプラットフォームに慣れるためと、ライブの中で感じたこれまでの心情の変化を綴る良い機会じゃということで書くことにした。
ちなみに藤井風のライブは4回行っているが、レポをしっかりと書くのは2回目で、前回のレポが2020年の日本武道館での"伝説"デビューライブなので初期のドデカ感情は全部ここに置いてきた。
上記の通り僕のライブレポは蛇足だらけの魂のフリースタイルなのでメディア記事のように起承転結綺麗にまとまったレポではないので何卒…。
ChatGPTには書けない魂の文章、見せたる
ということで、2024年8月25日(日)に日産スタジアムにて2DAYS開催された藤井風ワンマンライブ【Fujii Kaze Stadium Live “Feelin’ Good” [Nissan Stadium]】に行ってきた。(2回目)
今回、24日に行われたDAY1のライブをYouTubeで無料生配信して同時接続282,000を記録していて、さらにアーカイブを残してくれていて、1WEEKで既に600万回近く再生をされていて、尚且つYouTubeプレミアムでない人もバックグラウンド再生が可能な設定にしてくれていて、優しさホスピタリティーが限界突破しているため、これから僕が綴るレポを読まなくてもこの配信を観てくれれば藤井風のライブの魅力は充分伝わるんだけど、そういうことじゃねえだろ?そういうことじゃないよね?お願い…。
しっかりと前日にDAY1のライブ配信をみて当日日産スタジアムへ向かった。
演出やセトリ全てが頭に叩き込まれたけど問題はない。「ライブ配信を観る」のと「現地ライブを体感する」のでは、全く別物であるからである。
日産スタジアムは藤井風にとって深く思い入れのある場所だろう。3年前の無観客ライブを経て、およそ7万の客席を埋め尽くす人々に囲まれて披露するショー。その舞台に立ち会えたこと、ここに来るまでの背景にすでに涙がちょちょぎれしちゃうよ。
今回、僕の席はスタンドでステージからは結構離れていた。が、ど正面で前列だったこともあり見渡しは良好。
そして、とにかく感じたのは日産スタジアム、デカすぎて草。日産スタジアムの草たちも喜んではりますわ。アリーナ中央の芝生に置かれたグランドピアノはもうシルバニアファミリーのサイズ感だった。でも藤井風もシルバニアファミリーみたいなところあるから大丈夫だね♩
─時刻は18時、日中のかんかん照りの暑さは和らぎ、会場に吹く風はどこか次の季節を感じさせる気配を帯びていた。マジックアワーに近づいた空気感は、気持ちを落ち着かせるとともに、相反して高揚していく。
しばらくすると、あたりがざわつき始めてビジョンに目をやると、なんの予告もなくスタンド席の通路にふらっと現れ、観客の隣の空席に座り、藤井風がその姿を見せる。
とうとう出たね。。。 風。。。。。
DAY1は事前撮影したものを繋ぎ合わせたトリックを使っていたが、DAY2はリアルタイムに出現していた。
にしても、この登場の仕方は本当にすごいことでゼロ距離でボディーガードも付けずにこれが出来るのは藤井風がオーディエンスを信じていて、覚悟を持ってるからこそ実現出来たものだと思った。
ちなみに、もしも僕の隣の席に藤井風が来ていたら内カメにしてビジョンに向けてギャルピースをしていました。藤井風なら一緒にやってくれる、そう信じて平和の象徴ギャルピースです。もちろん産まれたての子鹿のようにガタガタ震えながら、風ぴちゅとギャルピ。
羨ましくありつつも、アリーナ中央のグランドピアノに向けてスタスタと観客ロードを歩いていく藤井風を目で追っていると、あることに気付いた。
…うーん、信じてもらえないかもしれんが…オラさ確かにこの目で見たんだ。ありゃぁ…
光ってる ──────────────。
そう、藤井風は明らかに発光していた。藤井風って発光体だったんだ。
スポットライトを当てていたとしても、白金髪+白ベースの衣装で肌が光色を拾いやすいとしてもあの光り方はおかしい、過去類をみない光り方だ。何故あんなに光っていたのか、藤井風発光キャンセル界隈としても究明したいところだが…光源といえば太陽、今回のライブのシンボルといえば太陽…SUN…
えっ、藤井風SUNってこと!?!?
伏線を回収したところでショーが幕を開け一曲め。
Summer Grace(原曲:grace)
日本武道館で初めて藤井風のピアノ演奏を聴いた時のことを思い出していた。
鍵盤の一音一音が丁寧にひかれ、そのタッチは以前より繊細さを増して力強く上空に響き渡り、旋律は語りかけるように鼓膜に届く。スタジアムに吹く風はその音に調和して、夏の終わりを告げるかのように帰っていく。
THIS IS 藤井風だ。これを最初に出来てしまうのが藤井風というアーティストなのだ。
そして、ステージに移動する傍ら、センターのビジョンにFeelin' Go(o)d時の衣装をした藤井風が3Dかのように立体的に映し出され、Feelin' Go(o)dのリリックメッセージを朗読する。
洗練されたヒーリング音と共に幻想的にはじまりを誘う演出は野外でのライブにとてもマッチしていて、今回のライブの中でも大きく印象に残った演出だった。
Feelin' Go(o)d / 花
ポジティブバイブス満載の本ライブのテーマソング。
ここで思ったのはもう完全に歌って踊れるアーティストになっているということ。
今回、日本武道館時の感情と重なることが多くまた引き合いに出してしまうけど、初めてダンスを取り入れた曲の青春病を披露した時とは、もう比べものにならないくらいに呼吸のように歌と踊りが連動している。
静止するパフォーマンスがあり、流れるように「花」。
この辺りはリラックスをしたムードでダンサー、コーラスともに場を暖めてライブが鼓動をし始めたという感覚があった。
ここで、MCが入り『今日でまつりも終わりじゃ…。マジで“Feelin’ Good”で楽しんで帰ってください。じゃけん、どこにおっても見てます。どこにおっても感じてます』とオーディエンスに語りかける。
MCも予習済みだったため、次に『これは僕のコンサート(ライブ)ではありません。これはみんなのコンサート(ライブ)です』と、発された時にウワァ、やっちまったとなった。初見だったらぶち上がりワードだから…。
でも冷静になって考えると、最初の観客席から登場した演出も、"自分もみんなと同じ目線で楽しむ"というメッセージが込められているのではと思い、いや風ェ……!と勝手になりました。藤井風のライブは伏線がワンピース並みに散りばめられてる可能性がある。
ガーデン/特にない
始まりのハミングをオーディエンスに歌うように促し、会場全体に「ンーンーンー」が響く。思いの外、ンーンーンーが続く。藤井風は『Beautiful,One more time…』とンーンーンーを促す。指揮者の動きでリズムをとりはじめ、…先生、もういいすか…?のタイミングで藤井音楽教諭の授業が終わり、実演。
最終メロディフェイクがDAY1より多彩になっていたように感じて、その歌声は伸び伸びと響き渡り相変わらず圧巻だった。センセェ、すげぇ………。
ガーデンを終えステージに座りこみ、『ホンマに来てくれてありがとう今日は…。せっかくじゃからみんなが抱えているモヤモヤした気持ちとかネガティブな感情を全部日産スティディアムの空に飛ばしてほしい』と「特にない」のはじまりを告げる。
わかった、日産"スティディアム"の空に全部飛ばしていきます。
「特にない」は藤井風の根源を感じて僕が初期からずっと好きな曲で実家のような安心感がある。サンキューカッゼ…。
ごめん、ちょっと終わる気がしないのでここからまとめて書いていきます。魂を燃やしていくんだ。
さよならべいべ/きらり/キリがないから/燃えよ
オーディエンスに『会いに行きます』と告げ、セットにあった自転車に乗ってステージを降りてくる。
自転車を漕ぎながら手を振りながらイヤモニでリズムをとりながらさよならべいべを歌うってタスク過多すぎる。自分がそんなことしたら脳ショートしてさよならべいべなるて。
ここで、アリーナの外周をぐるりと廻ってる姿を見て、また気づく。
…うーん、やっぱり間違えねえな。オラの目は節穴でねェはずだ。ありゃ…
光ってる ──────────────。
太陽のように客席を照らして、会場全体を明るく和やかに一体化するグルーブ感がでてきたのがこのあたり。
さよならべいべで一度幕引きして、聴いたことのないバチイケトラックが流れてきて新曲かと思ったら「CASTING CALL」。舞台上の演出だけでは勿体なすぎるので絶対に音源化してください。HEHNレコードのみなさま、頼みますね
幕開けされた「きらり」では、衣装チェンジをし完全に様になったダンスと椅子パフォーマンス、Bメロの叫びにもとれるようなフェイクの物凄い音圧。「キリがないから」の磨かれ続けるダッチ監督の映像演出と世界観の迫力。「燃えよ」のドデカ風をバックに、炎が噴き上がる派手な演出とギターソロ顔負けのピアノソロと、見どころ満載のパフォーマンスで会場をヒートアップさせる。
風よ/ロンリーラプソディ/死ぬのがええわ
ここから、小屋の上にあるピアノに移動して、『デビュー前と何も変わらない気持ちで、一生懸命歌わせていただきます』と語り、「風よ」を弾き語る。藤井風にとって、この曲は"祈り"であり続け、たとえ規模が小さかろうが大きかろうがいつでも初心に帰ることのできる曲なのだろうと、安堵に満ちた表情を見て感じた。
演奏が終わり、『次の曲もバンドでやるの初めて』と告げ、夕闇の演出でスタートした「ロンリーラプソディ」。この曲は藤井風先生によるレクチャーで呼吸を一緒に学ぶことができ、心地良い空間が流れる曲ですね〜。はい〜 Brake time………。
と思ってたら大間違いだった。やす子ちょっと静かにしてて
"ここはどこ みんな何してるの" リリックから、左ビジョンに映し出される藤井風がピアノの椅子から席を立ち、何か生気を失ったような面持ちで小屋の下に降りていく。
でも、右のビジョンではピアノを弾いていて歌っている。歌は聞こえているのに、左ビジョンに映る藤井風の動かす口は歌と合っていない。
歌、口パクしてる………!?!?そんな……風………もしかしてセニョリータやった……!? と思って右のビジョンに目をやるとピアノを弾き確かに歌っている藤井風がいる。
ただでさえ、スタンド席はステージ上がシルバニアファミリーのサイズ感なので、本当に何が起きてるのか分からず思わず動画を回してズームにした。YouTuberばりのいま緊急で動画回してます!だ。
配信には映っていなかったが、幽体離脱したかのように、片方は答えのない何かを求めるように虚ろに彷徨い、片方は大切に歌詞を包容するように仲間と演奏をしているというメタ的な演出が施されていたようだった。
孤独に寄り添う曲ではあるが、この深淵にも似た二面を一つに落とし込み表現する演出はちょっと凄すぎた。個人的に今回のライブの大穴であり、これを見れただけで本当に良かった。
不思議な感覚と衝撃に陥っていると、湘南乃風の「恋時雨」をピアノ弾き語りでカバーし、続けて真っ赤なライトと満月の下で「死ぬのがいいわ」を披露して、ダンサーたちのパフォーマンスが入り、本当のBrake time……。やす子出ておいで…
Workin' Hard/damn/旅路
ブルーノート常連みたいな藤井風の技巧サックス演奏と繋げるように「Workin' Hard」。ここでもビジョンにデカ風が映し出され、世界観たっぷりにチャーリーと岡山工場の職務(windyちゃん製造課)を全うしていました。偉いね藤井係長。
流れるように「damn」でアレンジとフェイク満載に力強く歌い上げ安定に変顔を披露して、問題は次です。「旅路」パンクロックVer。配信の時はハマらなかったけど、現地で体感するとまた別物だった。DAY1は輪郭が朧げな感じがあったが、DAY2は歌い方のエッジが効いていて良かった。その畑の住人であるTAIKINGのギターが火を吹いていたのが印象的でまたエモーショナルで新鮮な藤井風を発見できたような気がしたし、藤井風自身も新たな可能性を探っているのだと感じた。
満ちてゆく/青春病/何なんw/まつり
空を見上げると、いつの間にか夜空に移り変わっていて、優しく頬を撫でるように夜風が吹く。ライブも終盤にさしかかり、そっと優しいブレスが会場に響き渡りはじまる「満ちてゆく」。
スマホのライトがポツポツと灯り始め、日産スタジアムを埋め尽くす人の数と同じ煌めき。暗闇の中でキラキラと揺れる無数の光を、この景色を見て藤井風はどう感じていたのだろう、そんなことを考えていたら涙が溢れて、シンプルに涙で琵琶湖です。
続けて、完全に洗練された「青春病」で仲間たちと肩を組み合い、幸せと儚さのはざまを表現する藤井風、そんな光景を見たら涙が溢れて、シンプル涙琵琶湖。
言いようのない幸福感にいると、その流れでバンドメンバーとダンサーを一人ひとり紹介して、藤井風のデビュー曲である「何なんw」。これまでで一番歌っているであろうこの曲は、聞くたびに迫力が増していくし、マスターピースすぎるなあと感じて、藤井風の突き抜けた表現力に圧倒されながら演奏が終了する。
ラストMCでは『全ては心から、思い、感情からスタートするので、あなたがFeelin’ Goodな気持ちでいてくれることは、あなたの周りのすべての世界を変えてくれる。ここにおるみんな、これからも力を合わせて、ポジティブに頑張っていきましょう。』と語り、今回のテーマに結びついたメッセージを残した。
そして、ギャルの風ぴちゅが現れ『次の曲やらんとさ、ワシらの夏、終わらんくね?』と告げ、フィニッシュソング「まつり」。
みなが振りを真似て踊るのを見て、あの頃とな〜んにも変わってねえ、と心の中の親戚のおじさん出てきた。藤井風が作る音楽は、心の底から“音”を楽しんでしまう。藤井風が纏った自然体な空気がそうさせるのか、藤井風の音楽に共感をしてこの空間に集まった人々の熱気は心地良いグルーヴを生むのだ。
DAY1と同様にドデカ花火が打ち上がり、まさに祭りの終わり、夏の終わりを表現するようにオーディエンスもダンサーたちも皆一体となったハッピーな空間にスタジアムは包まれて終了した。
最後に、「まつり」の演奏とコーラスと共にもう一度自転車でアリーナを外周して、達成感と幸福感に満ちた顔をオーディエンスに振りまき、全員に挨拶をするかのように頭を下げステージを後にする藤井風の姿を見て、僕はふと思うのだった。
光ってた ──────────────。
終わった。
今回の日産スタジアムライブはFreeでFeelin’ Goodな気持ちでいることで私もあなたもポジティブになり結果的にまわりの世界が良くなっていくはずというシンプルなメッセージに帰結し、幅広い視点から本当に素晴らしいものだったと思う。
そうしみじみと思ったのは、前回行った2022年のパナソニックスタジアムのライブでは正直なところ充足感とは別に違和感を抱いて帰路についていたからである。
これに関しては、自身に起きうる物事や感情に対して常に俯瞰をする意識をしていて、僕にとってはパナソニックスタジアムでのライブの方向性・演出が合わなかった、ただそれだけの話だと捉えている。ライブに限らず、何かを享受したときには多様な選択肢が存在していて必ずしも一択である必要はなく、何より自身の違和感、心の機微を無視せずに大切にして、一旦距離を少し置いてみてまた向き合えばいっかという短絡的思考のもと僕は正直に生きていたいし思考を止めることはしたくない。
そして、日産スタジアムのライブで強く感じたのは、藤井風はすでにアーティストとして新たなフェーズに入っていて、藤井風自身もおそらくその状況を理解しているだろうということ。
日本武道館のワンマンライブデビューから一貫して"誰も取りこぼさずにみんなで幸せになろう"というメッセージは全くブレておらず、ライブにおいてその精神性は大きく伝染し循環していくということ。
きっとこれからも、藤井風はもがきながらも優しさと愛をもってみんなと同じ目線で寄り添うように世界へ音楽を届けていくだろうということ。
そう考えて、この言葉で締めたいと思う。
藤井風に気をつけなさい、愛し愛されるから
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