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セックスレスの話②撃沈&質問&言い訳編


【注意】
これは一人のレスられ女の過去日記みたいなものです。レス解消の参考になりません。




我々カップルはセックスレス。
そして私はレスられ(断られる)側。
自覚した私は焦った。そりゃもう焦った。
幸い私は「自分から誘うだなんて恥ずかしい…」といったたぐいの奥ゆかしさは持っていない。まずそこがダメなところかもしれないが、今更私が「自分から誘うだなんて…」と奥ゆかしさを見せたところで向こうからお誘いがかかるわけでもないのだ。黙っていてもセックスのない期間が延びるだけだ。よし誘おう。誘わねば。



「最近してないからたまにはしたいな♡」
「今日は眠いからまた今度ね…グゴー(いびき)」

撃沈。


「あ〜なんかムラムラしてきちゃった(チラッ)」
「アンタムラムラしてんの!ワッハッハ(私の股間をペシペシ叩く)…グゥ…」

パンツに手を突っ込んだまま寝落ちされた。撃沈。


「今日こんなの穿いてみたんだ(Tバックをチラリ)」
「おお!いいケツしてんじゃん!」

尻をリズミカルに叩かれただけだった。撃沈。


「〇年前のだけどこのビスチェまだ着れるな…どう?セクシー?」
「ハハ  ウケる」

ウケられた。撃沈。



彼氏は顔面騎乗が好きだったことを思い出し、ワンピースタイプのパジャマを着たまま下着を脱いで顔に跨ったこともある。もうほぼ痴女の域だ。
痴女は勇気を振り絞り、跨ったまま「舐めて」と痴女成分の高そうな一言を放った。これが私の考えられる痴女の限界だ。さあどうだ。お前こういうの結構好きだろ。

「アレ?紙ついてるよ」

ギャッと小さく叫び彼氏の上から飛び退いた。
本物の痴女なら「うるさい口ね…紙ごといきなさいよ」と強引に舐めさせることもできたかもしれない。しかしこちとらエセ痴女なのだ。セックスの真っ最中ですらそんなこと言われたら相当恥ずかしいだろうに、セックスの真っ最中ですらないのにトイレの後始末の不充分さを自分から見せつけに行ってしまったのだ。これはもう死ぬほど恥ずかしい。

赤面するエセ痴女をよそに彼氏は大笑いしている。ツボに入ったらしい。アハハの後に「ヒー」と発するほど笑っている。それはもう泣くほど笑うレベルのときに出る「ヒー」じゃないか。

ここから強引にセックスに持ち込むスキルなんてエセ痴女が習得しているはずもなく、当然ながら撃沈。


言い訳になるが、その時使用していたトイレットペーパーは普段より安物(シングル)で、水分を含むと細かくちぎれやすかった。私はiゾーンの毛がないためか、股間にちぎれたモロモロがペタリと貼り付きやすい。しっかり拭いてもあの辺りはしっとりとしていて、生理用品も種類によってはペタっと貼り付く。ちゃんと拭いたのだ。本当だ。それだけは信じてほしい。



あれこれ質問したこともある。


「私とはもうしたくないの?」
「そんなことないよ、したくないとかそういうのじゃない。でもさ、なんかこうもっとムードってもんがないとさ」


ムーーー〜〜ド?????
昔からそんなものとは縁のない二人じゃないか。ムードなんかなくてもとりあえずでおっぱじまってたじゃないか。何を今更ムードがどうこう言い出すのだ。私とじゃもうムードがないとその気になれないのか。
だったらTバック姿の尻を見せられてペチペチ叩くとは何事だ。しっとりいやらしい感じで撫でるべきだろうが。私もムードとやらに詳しくはないが、おそらく双方の協力があってこそムードはできていくのだ。


「あとなんか~…そういうことするのがさ…もう照れちゃうというか…ちょっと恥ずかしいんだもん」


恥ずかしいのは跨って誘って紙ついてるよと指摘されおまけに笑い転げられた私の方だ。ついでに重箱の隅をつつかせてもらうが、なにが「もん」だ。中年男性が語尾に「もん」を付けるな。それだってなかなかに恥ずかしいだろうが。
ついでのついでに言わせてもらうが、お前は私の目の前で「切れちゃった」と言いながら痔の薬を平然と患部に塗る男だろうが。私とのセックスはそれ以上に恥ずかしいと言うのか。基準どうなってんだ。


「もう私のこと好きじゃないの?興奮しない?」
「違うよ!しなくても好きだよ!くっついてるだけで幸せなの」


「しなくても好き」
「くっついてるだけで幸せ」
このセリフを何度聞いたかわからない。
私は頭の回転が鈍いため、最初のうちは「そうなのね…なくても好きなの…エヘへ(悪い気はしない)」とまんまと納得しかけた。基本的にチョロいのだ。


しかし何度も誘い何度も断られ、結構な頻度でこのセリフが返ってくると「ハイハイハイハイ出った〜出ましたいつものやつゥ~~~そんなに好きなら好きな相手が望んでることくらいしなきゃな~とか応じなきゃな〜とか思わないんですか?お前さては普通にめんどくさいだけだろ!そんで私が怒ったところで大して怖くないから別にしなくてもいいやだってその方が俺は楽だし〜てなってるんでしょ!あまり人をナメるなこのバカッ」と罵詈雑言が浮かんでくる。というかもう「好きならいっか  エヘへ」なんて能天気に誤魔化されてはいられない。浮かぶだけでは飽き足らず、複数回口に出している。
「くっついてるだけで幸せェ?だったら今日は局部と局部をくっつけてもらえませんかね!!ハンッ」くらい言ってもよかったが、さすがに下品すぎるのでそうは返さなかった。



そもそも「しなくても好き」が「好きだからしたい」より優先されるべきだと、なぜ彼氏はそう思っているのか。
お互いが「しなくても愛し合ってるもんね」「ね」と納得しているのならばそりゃ結構なことだが、うちの場合(というか片方がレスられを自覚している場合)はもれなく「好きだからしたい」が軽んじられている。

恥ずかしげもなく「しなくても好きなのに」なんて言えてしまうのは、セックスなしで成立する愛の方がセックス込みで成立する愛よりも高尚なものだと思っているからに違いない。
平たく言うと地獄のミサワである。しなくても好きなのに派の彼氏は、好きだからしたい派の私に対して「まだその段階?」とイキりながらマウントを取っているのだ。
勝手に枯れておいて「アッ自分もうやりたいだけとかそういう時期過ぎましたんで(笑)」なんて態度はいかがなものか。なぜこちらの「好きだからしたい」はそちらの「しなくても好き」よりも下で当然といった扱いをされなければならないのだ。どちらも愛の形で、上か下かなどないはずだろう。



「私のことなんてもう女として見れないからセックスする気起きないんでしょ?どうせお母さんかなんかだと思ってるんでしょ」
「そんなことないよ!町子ちゃんは女だよ!…あ〜でもアレかも…『女』っていうか『町子ちゃんて生き物』感が強いかも」


なんだそりゃ。こちとら人間の女でしかないのだ。確かに色気ムンムン大人の女性感は普通より乏しい。というか皆無かもしれないが、勝手にゆるキャラ判定されていいわけないだろう。まさかその町子ちゃんて生き物とやらは人間より下等な生物か何かなのか。だとしたら許さん。

そういえば男性側レスのパターンとして、性嫌悪症なるものがあるそうだ。

(1)母と息子の関係に変化 
(2)兄妹、姉弟の関係に変化
(3)親友関係に変化
(4)マスコット的関係に変化(赤ちゃんのようにかわいがる) 
(5)嫌いになった



彼氏の言い分を信じると⑷に当てはまる。マスコットと言うとなんだか小柄で童顔の女性が浮かぶが、私は小柄でもないし言いたかないが老け顔だ。彼氏の方が少し年上なのに、結構な頻度で私の方が年上だと勘違いされてしまう。ついでに肩幅も広い。手足も大きい。どこをどう切り取ったところでマスコットにはならなそうな造形の中年女性でしかない。いよいよ彼氏に認知の歪みが見られる。


「体目当てで一緒にいるよりよくない?」

体目当てに一緒にいるってアンタ、それは対人関係の中で結構最悪な部類に入る扱いじゃないのか。なぜ彼女の扱いを最悪のパターンと比べてそれよりマシとのたまうのだ。意味がわからない。数年前までバンバンやっていたが、当時は体目当てだったとでも言うのか。違うだろう。というかそこは違ってくれよ。


誘う、断られる、むくれる、質問、泣く、怒る、責める。一通りやった。不満を溜めておけないタイプなので頻繁に小爆発を繰り返した。繰り返しすぎてこんなことも言われた。

「したいならそういう雰囲気のときに普通に誘えばいいじゃん。なんで責めるの?責められてする気が起きるわけないでしょ」

そういう雰囲気のときだって普通に誘っているが、当然のように断られている。応じてもらえる可能性が激低の状態で、それでも普通に誘えと言うのか。そもそも普通とはなんだ。責められていると感じるのはセックスしないことに対して多少負い目があるんじゃないのか。だったら毎度断るな。むしろお前が誘え。
こちらが何も言わなければ断っている側は現状に満足しているのだから何も考えようとしないじゃないか。不満を口にしてない時は満足してるとでも思っているのだろうか。そんなわけはない。
毎回毎回断られて、それでもニコニコ普通に誘い続けるなんて土台無理な話だ。こちらは断られるたびに傷ついているし、不満や怒りを小出しにしようとも傷ついた事実は消えない。寝て起きてスッキリはい解消なんて単純なものではない。不満も怒りも悲しみもどんどん蓄積されていくのだ。そりゃ文句のひとつやふたつやみっつやよっつも出るだろうが。


したいと伝えて流されて、あっという間に向こうは眠りにつく。断られた側はなかなか眠れないものだ。あお向けのまま静かに、寝ている彼氏を起こさないよう声を上げずに涙を流すのが無駄に上手くなった。もみあげはもうカピカピだ。
なんでこいつは悩み苦しみもみあげカピカピ状態の私の横で平気で寝られるんだ。当時はいびきが聞こえてくるたびに死ぬほど悲しみ「この野郎…気持ちよさそうに寝やがって…有り得ない…」と憎しみを募らせていたが、今思えば向こうを起こさないよう無音で泣いているのだからそりゃ気付かず寝ていて当たり前だ。ほぼイチャモンの域である。

こうなるともうどん詰まりだ。
何をしても何をされても「どうせセックスしないくせに」が真っ先に浮かんでくるようになった。
③悪循環編に続く。

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