最も合理的かつ美しいHOLEPはen bloc HOLEPである。

世の中にはいくつかのHOLEPの手法がありますが、大きく分けると、アプローチする方向が逆行性か順行性か、核出する際に1-3blocのいずれに分けるかというように分類されると思います。逆行性enbloc、順行性3blocというような分類ですね。あとはレーザー以外に電気メスなどを用いるか、などの分類もありますが、これらはとりあえずは置いておきます。

さて、この中でもbloc数に関してですが、これはどう考えてもenblocが合理的です。

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これは1-3ブロック分割の単純な模式図ですが、ブロック数が増えるにつれて、赤線で示される腺腫の切断面が増えていきます。

しかし、この切断面、どう考えても無駄じゃないですか?入れてる間に出血はするわ、時間はかかるわで、入れなくて済むなら入れないに越したことはないですよね。

例えば悪性でない単純腎摘で「癌じゃないから割り放題だぜー♪」とか言ってわざわざ腎臓分割して摘出する人がいますか?いませんよね。

前立腺癌患者の精巣摘出で「どうせとるから切り放題だぜー♪」とかいってわざわざ精巣を分割して摘出する人がいますか?いませんよね。


それが何故か前立腺切除になると分割して摘出するのが標準術式になっているのだから不思議です。

まあ実際にはそれなりの理由があって

・分割してとった段階で操作スペースが広がるので手術がしやすくなる。

・中葉と膀胱頸部の間の処理は分割しないとやや難しい

・分割してとった段階がセーブポイントとなり、そこから止血を行ったり、術者が変わったり、最悪の場合でも途中でやめたりすることができる。

・そもそも順行性HOLEPは初めに腺腫を分割しないと膀胱頸部にアプローチできない。

等の利点があるわけです。

でもこれらの利点ってなんだか後ろ向きですよね?。

最初から最後まで一気に核出できるほどの十分な技量があって、逆行性アプローチで手術を開始すれば分割する必要はないとも受け取れます。

もちろん私が気づいていないだけで外にもたくさんメリットがあるのかもしれません。(コメント等で教えていただけると幸いです)

逆にenblocのメリットとしては

・切断面積が最も少ないので、最も早く、出血が少ない。

・一度いい剥離層を広げると全体にそれを広げることができる。逆に分割ほうだと右はうまく剥離できたのに左はできなかったといった事態が起こりうる。

・最も合理的かつ美しい手技なので達成感がある(個人の感想です。笑)

などがあります。

これらの点から、現時点では私は全症例において可能な限りenblocを目指し、困難な場合(巨大前立腺や、著名な中葉突出、出血コントロール不良など)は分割するというのが最も早く、出血も少ない技法ではないかと考えています。

ちなみに現時点での私の力量だと、前立腺容積が120mlを超えたあたりで分割を考え始めます。

皆さんも最も合理的で最も美しいenbloc HOLEPを目指しましょう



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