めんどくさい彼らを笑いますか?【四月になれば彼女は】【ネタバレなし】
恋というのは、いろんな形がある。どれもがめんどくさくて、きつくて、幸せで、美しい。
僕は生活の中にある恋愛が好き。逆に、映画っぽい演出で作られた「ラブストーリー」は正直言って苦手だ。
(ラブストーリーも好きだが、それはちゃおとか別マガに任せてと思うのだ。)
夢心地だった恋も、恋とは言えないような恋も等しく立派な恋である。
お前があの時しんどかったのは、恋だったんだよ。恋と呼んでいいんだよ。
そう許してくれるような作品が僕は好きだ。
「四月になれば彼女は」
ざーっくりいうと、
学生時代、きつい失恋を経験した男が、社会人になって新しい恋を始める。結婚まであと少しな四月、彼女は突然どこかへ行ってしまった。自分の過去を振り返りながら、残された人と話しながら、彼女を探す話。
…難しかった。
ラブストーリーなのか、生活なのか、監督は彼らの時間をどっちと解釈してこれを撮ったのかによって見方が変わるなぁと今になっては思う。
前者のラブストーリーとしては正直面白くないかもしれない。派手な演出も、わかりやすいきっかけも、その答え合わせもない、すごく単調な物語だからだ。もれなく登場人物みんな嫌いになるかもしれない。レビューが若干荒れてるのもそのせいだろう。
一方、生活作品として考えると見え方が変わる。鑑賞中、全員めんどくさい性格だなぁとなるが、その矛先が自分に向けられるからだ。
みた人ならわかると思うが、非常にめんどくさい登場人物たちだ。なんかみんなロマンチックで、変なところ現実的でめんどくさい。
しかし、彼らは向き合ったのだ。
自分がめんどくさいということを受け入れ「愛されたい」と「愛したい」を頑張ったのだ。
そして彼らはあの彼らの答えを出した。
それの答えがいいかどうか、面白いかどうか…?
その問いではこの作品を計れない。
大事なのは、答えを出したということ。そしてこれから僕らもそれをしなきゃいけないということ。
人と関わって生きなければいけない。
だからこそ、関係性は無視できない。
相手もめんどくて、自分もめんどくさい。とても幼いし、大人だし、ロマンチックでリアリストで等しくめんどくさいのだ。
それでも「一緒にいたい」という思いは消えない。ならば向き合うしか他はないのだ。
これは「関係性」の映画である。
そう思えばとても清々しい名作だった。
それでも人は恋をする、秀逸なコピーだなぁ。
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