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我らを踏みしめ、そしてはこべ!【ハコベ(ミドリハコベ・コハコベ)】

こんにちは、うりぼうです。

今回は野草の記事です!楽しみにしていて頂いたみなさま、お待たせしました^^

私としても、なんだか帰ってきた感があってホッとします。

今回はだんだんと近づいてくる春の陽気を敏感にキャッチして、白くかわいい花を咲かせる『ハコベ』を紹介します^^


どんな野草?

『ハコベ』といえば「春の七草」の「はこべら」としても有名ですよね。

春になると白くかわいいお花を咲かせますので、みなさんも見たことがあると思います。

かわいい小さなお花です

ところでみなさんが『ハコベ』と呼んでいる植物、じつは『ハコベ』の3文字ではない正式名称があるのをご存知ですか?

『ハコベ』とは「ミドリハコベ」もしくは「コハコベ」という「2種類の植物の総称」、もしくは「コハコベ」だけを指すそうです。

(「ウシハコベ」を加えて3種類で「ハコベ」と呼ばれることもあるそうですが、ここでは「ミドリハコベ」と「コハコベ」に注目します^^)

まずは共通の特徴から紹介し、そのあと個別に観察していくことにしましょう!

共通点1・花びらは「うさぎ」

いきなりですが問題です!
『ハコベ』の花びら、何枚だと思いますか?

「10枚でしょう?数は数えられるさ!」

というお声がちらほら……う~ん、残念でした。

彼らの花びらは5枚でV字型に裂けているので10枚に見えるのです^^
ウサギの耳を思いだしてみてください。あんな感じです。

うさぎが5匹

うさぎを5匹想像していただいたところで、実際のお花を見てみましょう。

コハコベ(だと思う)の花

根元がつながっている様子がわかりますか^^

なんでこんな風な形なのでしょう?
それは花を目立たせて見せることで、虫たちに気づいてもらうための工夫だそうです。

小さいお花なので、ちょっとでも目立とうと頑張っているのですね^^

共通点2・茎の毛がおもしろい

「ミドリハコベ」と「コハコベ」はちょっと毛深い感じです。
そしてその毛の生え方が面白い!

早速ですが、二つの野草の茎の写真から共通点を考えてみてください^^

まずは「ミドリハコベ」と思われる写真をご覧ください。

茎に注目です!

次に「コハコベ」です。

うーん、毛深い…

わかったでしょうか?

正解は「片側にめっちゃ長い毛がある!」でした。

この毛は根元方向に向かって流れているのですが、冬場の雨が少ない時期でも、茎についた水滴を根元まで運んで水分を確保できるようにするための工夫だそうです。

寒空の下、どちらもいきいきしていて元気そうでした^^

共通点3・めしべの花柱は3本!

続いてはめしべの「花柱」の数に注目です。(「はなばしら」ではなく「かちゅう」です^^)

植物のめしべには花粉がつく「花頭」、将来種子になるぷっくり膨らんだ部分「子房」がありますが、それをつないでいるのが「花柱」とよばれる部分になります。

この「花柱」という部分が「3本」あるのが「ミドリハコベ」「コハコベ」の特徴になります。

ちょっとややこしいお話になりましたね。

実際に写真を見てもらった方がわかりやすいと思うので、さっそく見てみましょう!

こちらです!

コハコベ(と思われる)の花の拡大

赤丸に注目です!3つの風車のようなものがわかりますか?

これが花柱です。3本であることがよくわかりますね^^

これが5本だと「ウシハコベ」という別の植物です。
見分けにも使われるんですね^^

共通点4・種子は土にくっつく「くっつき虫」

彼らの種子にも特徴があります。それは突起が多いこと!
「くっつき虫」のイメージをしていただければ良いかと思います。

しかし、多くのくっつき虫が私たちや動物の毛などをくっつきの対象にしているのに対し、彼らの対象は「土」。

種子の突起は土に食い込み、土と一体化してしまうのです。

では、どうやって運ばれるのでしょうか?

例えば私たちの靴です。

私たち人間がその種子と一体化した土を踏むことで、靴底に土といっしょにくっついたりもします。

もしくは、靴の裏に既についていた土に種子がくっつくこともあるかもしれません。

そうして種子は遠くへと運ばれるのですね^^

まさにくっつき虫のようです!

(時期の都合でまだ種ができていません…。種子を採取できればまた写真を載せますね!)

「ミドリハコベ」と「コハコベ」

ここまで「ミドリハコベ」と「コハコベ」の共通の特徴をお話ししてきました。

ではこの2つの植物、それぞれを少し詳しく掘り下げます。

見分け方

まずは見分け方を紹介しておきますね^^

■ ミドリハコベ

  • 茎が緑で立ち上がっている

  • おしべの数が4〜10本

  • 種子には突起があり、ギザギザしている👑

■ コハコベ

  • 茎は赤紫のような色で地面に這うように伸びる

  • おしべの数は2〜7本

  • 種子には突起があるが、ミドリハコベと比べあまりギザギザしていない👑

■ おまけのウシハコベ

  • めしべの花柱が5つに分かれている👑

👑のついていない見分けは確実な見分け方法ではありません。

茎の赤っぽい「ミドリハコベ」やおしべの多い「コハコベ」など、お互いの特徴の混じった個体があるためです。
(今回の記事中の写真に「だと思う」という表現が多いのはそのためです^^;)

それでも「多分これ!」くらいには絞れるので参考にしてくださいね!

では実際に写真をみてみましょう!

今回の写真は種子で判断したものではないので、種類が間違っている可能性もあります^^;

・ミドリハコベ

「ミドリハコベ」はナデシコ科ハコベ属の野草です。

自然の中、緑の茎がすっと立ち上がっていますね^^

古くから身近にある植物で、比較的自然の多い所に生えているため、市街地ではあまり見かけられないようです。

小鳥の餌にも使われていたことから「ヒヨコグサ」「スズメグサ」という別名もある野草です。

花のおしべも見てみましょう!

赤枠の中にはおしべがあります^^

写真うつりがいまいちでわかりにくいですがぱっと数えると9、10本くらいでしょうか?!
(黒いのと白いのは花粉に覆われているかどうかの違いです。)

・コハコベ

「コハコベ」もまたナデシコ科ハコベ属の野草です。どおりで似ているはずですね^^

赤い茎が這い気味に伸びています

「ミドリハコベ」とは違いこちらはヨーロッパ原産の帰化植物です。

史前帰化植物といって農耕栽培が始まった頃にやってきたと考えられていますが、大正時代にやってきた説や、江戸時代には栽培されていた説もあり、正確なところはわかりませんでした。

「コハコベ」は人の手の加えられた場所を好むらしく、「ミドリハコベ」とは違い、市街地や農耕地に生えていることが多いようです。

ではこちらもおしべを見てみましょう!

数が少ないので〇で囲んでみました

この花の場合、おしべはたった3本しかありませんね。

「コハコベ」の名前は「ミドリハコベ」に似ていて小型ということでつけられたそうですよ。

・おまけのウシハコベ

最後に「ウシハコベ」を見てみましょう!
めしべの花柱が5本あるのがわかりますか?

はっきりと5本あるのがわかります^^

春の七草

春の七草の「ハコベラ」は「ミドリハコベ」「コハコベ」のどちらを指すのでしょう?

「コハコベ」は正確にはいつ入ってきた植物なのかわからなかったというお話をしましたが、最初に見つかったのは1922年の東京だったそうです。

そのため昔から定義されている「春の七草」の「ハコベラ」は、在来種である「ミドリハコベ」を指すとも考えられています。

今、身近にみられる『ハコベ』のほとんどは「コハコベ」です。

スーパーで売られている七草にはいっているのは「コハコベ」が多いとWikipediaに書かれていたので、「ミドリハコベ」よりも育ちやすいのかな?と感じています。

なお「ミドリハコベ」「コハコベ」どちらも食べることができるそうですので、春の七草を召し上がる際、これはどっちかな?と考えてみても面白いかもしれませんね^^

身近な薬草

江戸時代頃、『ハコベ』は、その粉末を塩と混ぜて作られた「ハコベ塩」は歯磨きに使われていました。

また天日干しにしたものは生薬「繁縷はんろう」として使用されてきたようです。

また欧米では、パップ剤や軟膏として皮膚化膿症や潰瘍の治療に使われるそうです。

ハコベパワー、恐るべしです。


参考:日本薬学会HP

参考:日野製薬 生薬ブログ

おわりに


今回は『ハコベ』を代表して「ミドリハコベ」と「コハコベ」を紹介しました。

これはどっちだったかな?!^^;

『ハコベ』は島崎藤村の詩「小諸なる古城のほとり」にも登場しています。(ハコベの写真を撮っているときに、おじさまに教えて頂きました^^)

一部載せておきますね。

小諸なる 古城のほとり
雲白く 遊子ゆうし悲しむ
緑なす 蘩蔞はこべは萌えず
若草も くによしなし
しろがねの ふすま岡辺おかべ
日に溶けて 淡雪あわゆき流る

『ハコベ』は春を感じる植物でもあるのですね。

ちょっと書きたいことが多すぎて絞り込めずに、ごちゃついてしまってすみませんでした。

最後まで読んで頂いてありがとうございました^^

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