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【新感覚小説】夢、みたい。(②)

【あらすじ】
「昨日見た夢を覚えていない」という現象は、実は漠の仕業。
漠というと鼻が長く少し怖い印象を受けるが、そんな姿は誰かの想像上の形で。
実際の漠はあなたの友達…かもしれない。
信じられないような現実味のない不思議な話。

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高校2年生の夏。

そろそろ周りの大人が、「受験」という単語で口を縛り始める時期だ。

しかし、そんな時期の中、僕は違う事に気を取られている。

自分のことだ。

この際、ナルシストの一言でも良いからだれかに一発言って欲しい。

そのくらい自分に気を取られている。

何故こんなにも、自分のことで頭がいっぱいになっているのか。

その原因は昨日だ。

昨日、休み時間に隣の席のあの子が夢の話をしてきた。

「昨日、悪魔を見た…気がするんだけど、初めの方しか思い出せないんだよね。」

「悪魔だったら思い出さない方がいい気がするけど。…どんな夢だったの?」

「なんか、どこ見回しても真っ暗でお化け屋敷みたいな空間から出られなくて…。
その後色々あった気がするけど全然思い出せない。」

「あ、それ結局、悪夢じゃなかったよ。」

「いや、悪夢ですけど。」

「いや、その後結局空から光が降ってきて脱出出来たじゃん。
ハッピーエンドだったじゃん。」

「意味分かんない(笑)」

「あ…ごめん、(笑)」

またやってしまった。

僕はこのやらかしを何度やったら気が済むのだろう。

そういえば、何故、他人の夢を僕は見れているのだろう。

物心ついた時から、僕は人の夢の中に入ってはその人の夢を食べている。

今まで何とも思っていなかった。

というか、これは毎朝顔を洗うくらい僕にとっては普通の事なんだ。

だから、みんなも同じだと思っていた。

しかし、誰かの忘れた夢の続きを『こうだったじゃん』と断定する度に、眉間にシワを寄せられたり、ちょっと引かれたりする。

そんな、今まで色んな人達にされた反応とあの子との会話から「やっぱり、僕がおかしいんだ…」と思えるようになった。

ひょっとしたら、病気なのかもしれない。

…いや、特技と言った方が少し誇れる気がするから、ここでは特技と言いたい。

でも、この特技は一体何なんだろう。

と、そんな事を昨日からずっと考えているが悩んでいても仕方がない。

特技…何かに生かせるかな。

この能力がまさか僕の特技だったなんて、そんな事考えた事もなかった。

生かす…。。

"悪夢を食べてあげる"…とか?

ーー続くーー

続きは 4月3日22:00 投稿予定。
お楽しみに!

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