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弟から聞いた話

ゲームクリエイターの弟から聞いた話

あるクリエイターがホラーゲームを作るために、自分の実家をゲームの舞台にしたらしい。
そのホラーゲームはよくある心霊スポット化した廃墟を探索するといったゲームで、3階まで行って戻ってくるみたいな内容だった。彼は特に悪びれもなく、自分の見知った実家をおどろおどろしい廃墟にして、2階にある両親の寝室を一番のホラー要素にしようと思って、貞子と八尺様を合体させた長身で髪の長い女が部屋から出る際に後ろを振り向くと出てくるみたいなものだった。その他にも鏡を見ると幽霊が出てくるとか、風呂場に行くと引きずられるみたいなよくあるものもホラー要素を追加した。
そのゲームが完成して、フリーゲームとして投稿した1ヶ月後、彼の元に一本の電話が母親から来た。とても焦っていて、要領を得ない内容だった。それを纏めると最近、「実家に変な現象が起こるようになった。気味の悪い髪の長い女がいる。猫が風呂場で溺れかけた。鏡に何か写る、どうすればいいのか」という母親の相談だった。
自分が作ったゲーム通りの心霊現象で、「気の所為だよ」と彼は言うが、内心焦っていたらしい。そんなに心配ならお祓いでもしなよって言って、話を切った後に、急いで公開していたゲーム消した。作ったゲームも後悔もなく資料や写真などのデータを全てを削除した。
しばらく経ってから実家に電話して見ると、あれ以来、特に何事も無いと聞いて、彼は安心した。
それから、実在にある家をモチーフにしたホラーゲームを作る際は気をつけて欲しいと本気の顔で彼は言っていたらしい。

弟が曰く「インターネットに公開してるなら、絶対誰かしらDLしてそう。だから心霊現象は消えてないと思うよ」

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