「スルースキル」を身につけよう2023

インターネットにおいてはスルースキルがものすごく重要である。

スルースキルがあれば大体大丈夫。特に、誰かのファンをやっている人にとっては、いかに「アンチに乗らない」「釣りに引っかからない」かがすごく大事だと思っているのだが、かなり前にこんな感じのことを言われたことがある。

「スルーしてって言うけど、私は自分がモヤモヤしているときにアンチコメに言い返してくれる人がいるとスッキリします。」

マジか………と思って「そっか…」としかそのときは言わなかったんだけど、それからしばらく経って自分なりにいろいろと考えたので、なぜ「スルーしよう」と呼びかけるのか書いてみることにした。

インターネットでやり合っても、時間の無駄でしかないから


いきなり結論書いたけど本当にこれ。時間の無駄。
なぜ時間の無駄かというと、
①言い返したところで相手は変わらない
②言い返していると、「いつも揉めてる界隈」になっていく

以下、順に説明していく。

①言い返したところで相手は変わらない

アンチに言い返したところで「そうなんだ、ごめんね」なんて言われることはまずない。
ごくまれに、普段はそんなことしないんだけど、本当に魔がさしてうっかりアンチしちゃった、みたいな人なら「ごめんね」となることももしかしたらあるかもしれないけど、そんなことは本当にほぼないと思っておいたほうがいい。

アンチする人、インターネット上で言いたい放題なんでも書く人というのは、そういう体質だと思う。誰だったか忘れてしまったけど、以前芸能人がテレビで「Twitterで自分のアンチしている人のアカウントを見に行くと、だいたい自分のことだけじゃなくていろんな人のアンチをしている」というようなことを言っていた。基本的に自分の中にある感情を表に出すとき、それは今出していいものなのか、どんな表現でならだしていいものなのかというのを検討する人が多いと思うのだが、SNSは匿名だから気が大きくなってしまうのか、そもそもそういう「検討」の機能を備えていないのか、どんどん書いてしまう。そういう人に、友達でも家族でもないあなたが注意したところで、その体質が変わるだろうか?相手が変わらないのに、自分の貴重な時間を割いてアンチと言い合いを発展させるメリットがない。

「自分がモヤモヤしているときにアンチコメに言い返してくれる人がいるとスッキリします」と言われたとき、私が「そっか…」くらいでスルーしたのは、その人と自分の距離感やその人の言い方からして、私が「いかにアンチコメに言い返すことが無駄か」を説く意味がないと思ったからだ。この人がアンチコメにやり返すファンを見てスッキリしていようが私には関係がないし、わざわざここで議論を発展させてこの場に微妙な空気が流れるリスクを生む必要がないと思った。これがもし、目の前で自分と同じグループのファンが、今まさにSNS上のアンチに向けて言い返そうとしているところだったら話は違ったと思う。このnoteをわざわざ書いているのも、スルーしてほしいのにスルーしてくれないファンが同じファンダムの中で目についたからだ。日常の会話の中でも、言い返す/言い返さないというのはその話題の重要性や相手との関係性によって選択されている。

②言い返していると、「いつも揉めてる界隈」になっていく

アンチを広めているのはファンなんじゃないか?と最近思う。

みんなが放置して見ないふりをしていればほとんどの人の目に入らずに済んだのに、「こんなこと言われてる!むかつく!」と取り上げてしまうファンがいたり、アンチを煽り返したりしているファンがいたりするおかげで、「最初にアンチを見つけたファン」以外の人もアンチを目にしてしまう。
そうやってどんどんアンチが注目されたり、アンチとファンがやりあっているのが注目されたりすると、今度は「界隈で話題の〇〇について」みたいな感じでファンでもなんでもない人に取り上げられることになるのだ。これ、身に覚えのある人すごく多いのではないだろうか。そうなると「よく揉めているファンダム」「インターネットリテラシーのないファンダム」だと思われてしまう。しかも、揉めてる・アンチの多い界隈だと思われると、「新しいアンチ」がよそから首を突っ込んできやすくなる。悪循環が繰り返されて、結果的に「しょっちゅう揉めているファンダム」ができあがる。

ファンダムのイメージが悪化すると推しのイメージも悪くなったり、ファンダムに新規が寄りつきづらくなったりする。それでもいい!私はアンチは絶対許せない!と言うのならもう好きにやってくれればいいと思うのだが、そういう人は推しより自分の気持ちを優先しているという点であまりいい「ファン」ではない気がするので、個人的にあんまり同じファンダムにはいてほしくない(し、一個人が許そうが許すまいが、残念ながらアンチが撲滅されることはなく、本当に時間の無駄だと思う)。

真偽不明な暴露垢とかアンチを「監視のつもりで」フォローするのもあんまり好ましい行動だとは思えない。意図はどうあれ、あなたがフォロワーになることでその対象のアカウントに影響力を与えてしまっていることに変わりはない。他人が作ったフォロワー数の多いアカウントを買って運用するインフルエンサーだっているというのに、嘘の話や他人の誹謗中傷をしていればフォロワーが増えるとなれば、余計怪しい内容の暴露もアンチも止まなくなると思う。「監視」していればアンチ撲滅の役に立っているような気持ちになれるのかもしれないが、せめて相手に影響力を与えない形で監視してほしい。

そもそもファン同士での対立とか喧嘩とかアンチとのバトルをやるために何かのファンになっている人なんかいないはずだ。バトルがやりたいのならそういうゲームやったり格闘技見に行ったりしてほしい。貴重な時間をファンダムのイメージ悪化や推しのイメージ悪化に使ってほしくない。そんなのは時間の無駄どころではない。時間を割いてわざわざ推しの首を絞めにいっているようなものだ。
アンチがいるのはどこも同じだ。違うのは、アンチに対するファンの接し方だ。

じゃあ、私のモヤモヤはどうすればいいんですか?

最後に、アンチを見かけると心が不安定になってしまう人に向けて。

大前提、インターネットは世界の全てではない。見ていてつらいなら見ないことをお勧めする。
そして、インターネットはご近所ではない。「友達との会話」くらいのノリでなんでも書き込まないこと。

モヤモヤするなら見ないことがまず大事だが、わかっていても見ちゃう!という人はその気持ちの発散の仕方を変えてほしい。インターネットで発散しないでほしいのだ。あなたがインターネットで発散すると、あなたの「モヤモヤ」の原因が他の人に伝わり、「モヤモヤ」が伝染する。あなたが自分のストレスを発散させるために別の誰かをモヤモヤさせたり、アンチの存在を拡散したりしてしまうことになる。推しのことを大事に思うのなら、アンチに限らず、「拡散すると推しにデメリットがあるかもしれないこと」は広めないでほしい。※自分や推しの人権が侵害されるようなことが起きていて、然るべきところに通報したのに適切に対処されない…みたいな場合は別です(そんなケースあるのか?)
ファンならば、気持ちの捌け口はきちんと選んでほしい。わざわざ全世界に公開されているネット上に書き込まなくても、友達に会ったときに聞いてもらうとか、別のことをして忘れるとか、いくらでもやりようはあるはずだ。あなたの感じ方や考え方はあなたの自由だが、それを外に出して人に見せたり聞かせたりしていいのかどうかはきちんと検討してほしい。どうしてもTwitterに書きたいのなら、鍵アカウントに書いてほしい。そうすれば基本的に拡散されることはない(絶対にないとは言い切れないけど)。

うまく使える人にとっては、インターネットもSNSも素晴らしいものだと思う。だけど、うまく使えない人にとっては毒だということをよくわかってほしい。
私はしょっちゅうTwitterにいるけど、これだけTwitterに浸っていられるのはとんでもない数のアカウントをブロックし、とんでもない数の単語をミュートし、適度にストレス発散しているからだ。自分が楽しくTwitterをするために目に入れたくないものはブロックしまくると決めている。だから、自分がブロックされていたりフォローを外されたりしていてもなんとも思わない。


ここまで長ったらしく書いてきたけど、本当に届いてほしい人にはこういうのは大体届かない。届いたところで本人には自覚がなかったりもする。それでも書いたのは、もしかしたら届いて、もしかしたら自分の行動を振り返ってくれる人がいるかもしれないという少ない可能性に賭けたからだ。

そんなこと言われなくてもわかってるよ、と思いながら読んだ人もきっとたくさんいると思う。それくらい、インターネット上では「スルーする」というのは古来(?)から伝わるスキルなのだ。言葉選びが秀逸でフォロワーの多い人を見ると憧れたり、焦ったりする人もいるかもしれないが、言うべきではないことを言わずにいられて、平和なインターネットライフが送れるだけで十分素晴らしいことであるということを忘れないでほしい。

最後に:このnoteを書きながら自分もちゃんとできてるかな…と振り返っていたところ、冷や汗が出てきました。