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【Poke】プレート少女【Lege】
発売から1週間、全242匹のポケモンをゲットし、マンテンボシ団員となったぼくによる『Pokemon LEGENDS アルセウス』の感想をだらだらと。ネタバレ要素ややあり。
まず、従来の『ポケモン』(以下、本家)をある程度知っているけど買おうかどうか迷っている、という人に、本作の特徴、気になるポイントをいくつかピックアップしてみる。
操作関連
単純にいえば、全編が『剣盾』のワイルドエリア。本拠地となるコトブキムラを出ると、探索に向かうエリアに移動し、オーソドックスなTPS的操作でウレシーナ(=ぼくのマイキャラ)を動かして探索する。すべてのシーンで視点移動が可能。ストーリー進行に応じて『SM』と同じくライドポケモンを呼び出し、海を渡ったり空を飛んだりといったことができるようになり、徐々に行動範囲が増えていく。このあたりの操作で特段に難しいところはない。『MHR』や『BotW』をやったことのある人ならなおさらである。
ただ、ひとつ注意すべき点は、この時代のポケモンはとても殺意が高いということである。ガラル地方のワイルドエリアでもトレーナー目がけて突っ込んでくる野生ポケモンはいたが、たとえ接触してもポケモンバトルになるだけで、後ろに控えているトレーナーが攻撃されることはなかった。
しかしこのヒスイ地方では、野生ポケモンは人間を狙って直接アタックしてくる。ただ突っ込んでくるだけでなく、かえんほうしゃや10まんボルトなどで攻撃してくるのである。ワタルさんも真っ青のダイレクトアタック。
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そのため、ポケモンの攻撃をいわゆるダッジロールでかわしつつ、有利なポジションを取ってモンスターボールを投げなければならない。
たとえば草むらに隠れて静かに接近し、目当てのポケモンの背後からボールを当てれば、アニポケのゴウのごとく、バトルせずにゲットすることが可能である。また、バトルするにしても、迂闊なところでボールを投げてしまうと、周囲にいるほかのポケモンまでがバトルに参加して1vs4みたいなハンデマッチを余儀なくされる可能性がある。こちらの存在に気づいているポケモンにただボールを投げても捕獲はできないため、バトルに持ち込んで弱らせてから捕獲というケースが多くなるこのゲームでは、このポジション取りがかなり重要になってくる。
ちなみにウレシーナは、野生ポケモンから攻撃される以外にも、高所から落下したりすることでも体力が減っていく。そしてその体力を一瞬で回復させる手段はない(時間経過で徐々に回復していく)。
ウレシーナの体力は明確な数値では表現されず、ダメージを受けるたびに画面の四辺が墨を塗ったように黒くなっていき、一定以上の体力を失ったところで死ぬ。お馴染みの目の前が真っ暗になるというやつである。特に、ライドポケモンで飛行中、うっかり高い場所から落ちてしまうと即死する可能性もあるので要注意。あと、ウレシーナはどうやら泳げないらしく、足がつかない深い水場でも命の危険があるので気をつけなければならない。
バトル関連
すばやさの高いポケモンで上からブン殴って一撃で落とす、という本家での基本的な戦い方はできない。速いほうから順に殴る、殴られる、を交互に繰り返すという意味では変わらないが、両者のすばやさに大きな差が生じている場合、
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こんなふうに一方が2回続けてブン殴ることが可能となる。さらに、同じ技でも「早業」や「力業」に切り替えたり、いわゆる変化技やアイテムなどを使うことで、この行動順を変えることもできる。また、この可変的な行動順システム(?)が採用されているおかげで、本家では比較的安全だったはずの「死に出し」が決して安定とはいえなくなった。AがやられたのでBを出したら、Bよりも敵のほうがはるかに速かったため、敵の行動順のほうが先に来て何もできずにBも落とされる、みたいなことが起こりうるのである。
このほか、本家から大きく性能が変更された技が多数あったり、どうぐを持たせられない、とくせいがない、そもそもポケモンのステータス設定が本家とまったく違うなど、『ピカブイ』以上に大きな違いがある。本家のように厳密に数値を管理し、カウンターを狙ったりTODを狙ったり――というような頭脳的なバトルはこの世界には存在しない。とにかく強く成長させたポケモンで有無をいわせず殴り勝つのが正義。
さらに特筆すべきは、ストーリー上で一部のボス的ポケモンと対峙した際に発生するアクションパートである。ここではシズメダマと称するアイテムを一定数ぶつけることで、荒ぶっていたポケモンを鎮めるわけだが、おそらくここがアクションが苦手な人にとっての一番の鬼門となる。
個人的には、これは老若男女誰でも楽しめるはずの『ポケモン』にあるまじき仕様であり、確実に間口をせばめていると思っている。と同時に、ゲームとしてのバランスが取れていない気がする。
たとえばこの手のアクションがメインのゲームであれば、ボス戦がこうした仕様だとしても納得はできる。前述した『MHR』なり『BotW』でも、ちょっとしたモンスターを相手にしている間におのずと操作に慣れていき、ひいてはゲーム自体の難易度や、次々に現れるボスたちの強さが次第に上昇していくのにも対応していける(はずである)。
しかしこの『アルセウス』では、操作難度の高いアクションが求められるのはこのボス戦だけであり、それは全編を通して10回もない。野生ポケモン相手に求められるアクション要素はさほど高くなく、つまりはゲームを進めていくうちにプレイヤーがおのずと身につけるテクニックはさしたるものではないのに、定期的にブッ込まれるボス戦だけはそれに見合わない高難易度に設定されているという意味で、バランスが取れていないとぼくは思うのである。
一応、このボス戦で負けても、ボスの体力をある程度減らした状態から再チャレンジすることができるようになっており、もしかするとそれによってトータルの難易度を下げているつもりなのかもしれないが、再チャレンジの繰り返しを強いられるのはなかなかイラっと来るものがある。
まあ、このあたりは個人差もあるだろうし、ぼく自身が反射神経のすり減ったいい歳したおっさんなので、このへんの感覚は、もしかすると的はずれなのかもしれないが。
ポケモン関連
今作に登場するポケモンは全242種類。このうちダークライとシェイミは『BDSP』、『剣盾』との連動特典で、同じSwitch内にそれぞれのセーブデータがあればゲーム中に出現するようになるが、本家での幻ポケモンのようなあつかいとなっている。
ヒスイ地方固有の完全新種ポケモンは伝説を含めて7種類。数だけ見ると少ないが、それに加えて18種のポケモンにヒスイ地方でのリージョンフォーム、新フォルムが用意されているため、全体の約1割は初対面するポケモンということになり、そこそこ目新しさは感じられる。
ただ、ヒスイゾロア、ヒスイニューラあたりはカラーリング的にもすばらしいデザインに思えるが、逆にヒスイ御三家の最終形態は、正直いってどれも微妙かもしれない。
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また、この時代にもズイの遺跡が存在するため、アンノーンも出現する。特にアンノーンには図鑑で専用のページが用意されており、比較的簡単に28種すべてを手に入れることができるようになっている(アンノーン文字で居場所の手がかりが記されている)。
なお、今作のポケモンたちはサイズ面での個体差が画面上ではっきりと表現されており、やたら巨大なコロトックやリングマには恐怖感しか湧いてこない。
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なお、バトルのところでも触れたように、本作にはとくせいが存在せず、数値設定も本家とは大きく違っている。本作は発売前から『HOME』との連携が決定しているため、いずれはヒスイ産のポケモンたちを『HOME』に送れるようになるはずだが、おそらくその際は、『GO』で捕獲したポケモンたちと同じように、『HOME』への転送は一方通行となり、送った時点で本家同様のパラメータがあたえられるのだと思われる。
体感として、本作はやたら色違いと遭遇しやすいので、将来的にほかのソフトに持っていくことを見越して、ここで色違いを集めておくというのはありだろう。
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ちなみに、コトブキムラにも牧場はあるが、いわゆるポケモンボックスに相当する施設であるため、タマゴが発見されることはない。というか、歴史的には、ポケモンのタマゴが発見されるのは『金銀』でのウツギ博士の研究を待たねばならないため、本作にパッチを当ててタマゴが作れるようになるというようなこともおそらくありえないだろう。
そのため、ベビーポケモン系もふつうにボールを投げてゲットしなければならないのだが、こいつらは殺意ゼロですぐに逃げてしまう。その意味で捕獲難易度が高く、図鑑コンプのための一番の障害になると思われる。
世界観関連
発売前から指摘されていたように、ヒスイ地方は明治期の北海道をモデルにしている(らしい)。そのため、人々の服装も和洋折衷、あまり電化も進んでおらず、ストーリーの進行に合わせてコトブキムラが徐々に発展していく風景を見ることができる。この世界観は、「本来ポケモンとは恐ろしい生き物である」というラベン博士の言葉を裏づけており、実際に村の人々は、ウレシーナがやってくるまで、ポケモンを自分たちの生存圏をおびやかす脅威として認識していた。
そんな人々も、ウレシーナがポケモンをゲットし、その力を借りて探索を進め、ポケモンとの間に信頼関係を築いていくのを見ているうちに、ポケモンはかならずしも敵ではなく、共生していける存在なのではないかと認識をあらたにしていくことになる。
先に述べた、コトブキムラの発展を見ることができるというのは、単に建物や住人、田畑が増えていくということのみならず、外界から遮断されてポケモンをほとんど受け入れていなかったムラの中に、人と共生するポケモンたちの姿が徐々に増えていくことも意味している。
つまり、本家では当たり前の「人とポケモンがともに生きる社会」がこの時代にはまだ存在しておらず、ウレシーナのはたらきによってその基礎が作られていく――ぼくたちはそれを目の当たりにするのである。『ポケモン』というシリーズをあらたに語る切り口として、シンオウ地方の過去であるヒスイ地方を舞台にし、こうしたテーマを選んだのは素晴らしい着想だったと思う。
その一方で、周囲が畏怖するポケモンを最初から恐れることなく、それどころか平然と使いこなすウレシーナが、とある事件をきっかけにして、得体の知れない異邦人としてコトブキムラの人々から排斥され、殺意高い系のポケモンたちに満ちた荒野に放逐される孤独感や、この世界の成り立ち、宇と宙の違いに根差すコンゴウ団、シンジュ団の対立など、ちいちゃなおこちゃまたちが理解する上ではややハードルの高い要素もあり、ある程度はそうした若年層ユーザーを切り捨てているのではないかと思われる。
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実際、本作をスタートさせた際に選択できる言語の中に、本家にはあった「ひらがな」はない。各キャラのセリフ中の漢字にはルビがふられているものの、それ以外の部分ではルビがない(特に図鑑とか)。
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あるいはもしかすると、ジャリボーイ&ジャリガールはこれで漢字を覚えろというゲフリからのメッセージなのかもしれないが。
最後に、このたとえが万人に通じるかどうかは怪しいが、「別世界から不思議な力で飛ばされてきた主人公が、よそ者として奇異の視線にさらされたり排斥されたりしながらも、最終的には仲間たちとともにその世界を救う」という流れは『ポケダン』シリーズを想起させる。
まあそれはそれとして
小難しいことはともかく、実際に遊んでみれば、このゲームがぼくたちをわくわくさせてくれるものだということがすぐに判る。
たとえばこれ!『SM』での悪夢を知るぼくたちからすれば、「ゲームの進歩ってスゲー!」という感想しか出てこない!
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主人公に表情の変化が! 表情の変化がついている! アローラでは何が起ころうとも無表情でサイコパス呼ばわりされていたのに!
さらに、各所に登場する、誰それのご先祖と思われるキャラクターたちの数々!
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これを見て何となくわくわくしてきたのなら迷わず買うべきである。いろいろケチをつけたりもしたが、ぼくはこれまでの本家にだっていろいろと不満はあった。マイナス点は確かにあったが、トータルすればプラスのほうがはるかに多い。マイナス面のほうが多いと感じたのは『BDSP』くらいのものである。あんなバグまみれの作品で遊ぶくらいなら『Pt』をやったほうがいいと思ったのも事実である。
が、本作に関しては、プレイヤーのやる気をなえさせるようなバグはさほどない(少なくともぼくは100時間遊んでそういったものにぶつかったことはない)。しかも、「だったら〇〇をやればいいや」という代替物が本作にはない。広い世界を走り回り、草むらからボールを投げまくってポケモンを乱獲する醍醐味を味わえるのは『アルセウス』だけ!
世界に数千万人といる本家のプレイヤーは、殿堂入りをひとつの区切りとし、その先にあるストーリー上のゴールに到達したところで冒険を終えるだろう。もう少しやる気のあるプレイヤーは図鑑のコンプを目指すだろうが、本格的な対戦のために厳選などをおこなうプレイヤーは全体の1割もいないと思われる。
しかし、『アルセウス』は対戦部分を思い切ってカットしている(PvEはあるがPvPはない)。トレーナーとのバトルが本流ではないので殿堂入りもない。おのずと本作のゲームとしてのゴールは、図鑑コンプ(+マンテンボシ到達)ということになるだろう。
その意味では、『アルセウス』はいわゆるシリーズの本流にはなれない。本家が全編この手のオープンワールド風のフィールドで遊べたらいいな、とは夢想するが、「これからはポケモンを育ててたがいに戦わせる人たちも現れるかもしれない」というポケモンバトル黎明期を描いた本作は、少なくともこのバトルシステムが本家に輸入されることはないだろうし、続編も出ないだろう(エキスパンションはありかもしれないが)。
だから余計に、『ポケモン』でこういうゲーム体験を味わえるのは本作だけということになる。何だかんだで売れてるしな。
というわけで、買おう、『Pokemon LEGENDS アルセウス』!
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