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なにかが変わる弟子屈暮らし vol.24
東京都出身神奈川育ち一度も地方に住んだことがないのに、好きなだけで阿寒摩周国立公園の町 弟子屈町(てしかがちょう)に住んでみた感想や実体験を綴ります。
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8月半ば。
ある日、急に空が高くなった。気持ちのよい秋の風が吹いて、木々の緑は少し燻んだ。朝、窓際に死んでいる虫の種類が変わった。
スイッチをカチカチと回しているように小さな変化だが明らかに季節が変わる。
それでも月の下旬は本当に暑い日が数日あった。日中の強い日差しとモワッと熱気は関東の夏を思い起こさせた。こういう日はだいたい昼過ぎに雨が降る。
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祭りの季節
毎週のように祭りがあった。
近所の弟子屈神社のお祭りに行った。
コロナ以来の4年ぶりの開催。もうそんなに時間が経ったのだ。
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というか屋台自体久しぶりだ。
道東のご当地グルメとして有名な「砂糖のまぶされたアメリカンドッグ」は買わなかったが、「東京ケーキ」という謎の焼き菓子に心惹かれて12個購入した。
ベビーカステラかと思ったが、思ったよりも食感が軽い。
ところで、東京ケーキというのは東京では一度も目にした事がなかった。看板にしている馬場製菓というのもネットで検索する限り存在がわからず。
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東京ケーキ12個入りと、今晩のおかずに油淋鶏を買って帰った。
旧暦の七夕
日が沈むのが少し早くなってきた。
日没から2時間経つと空が暗くなるが、それから霧が出てくるまでの短い時間、南の空を見ると天の川が見える。
最近知ったのだが、天の川は旧暦の七夕(8月中旬〜下旬)にみるのが良いとのことだ。
2023年の太陰太陽暦にもとづく七夕は「伝統的七夕」は8月22日だ。去年は8月4日。
なるほど、たしかにちょうどこの時期に宿に泊られたお客様に天の川を案内したなぁと思い出し、合点がいく。
「今、天の川見えます。もうじき霧が出てしまうので。」
こっそりそう伝えると子どもよりも大人の方がすこしあわてて先に外に出てくれる。
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キャンプに行った
休みの日、キャンプに出かけた。
荷物を積み入れるため、この日はじめて愛車の座席を全て倒す。
毎日自分たった一人を載せて家と仕事場の往復を繰り返しながら、一体どうしてこんなに大きな車を買ったのだろうかと思っていたが、やっと日の目らしきものを見る。
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弟子屈に来て2年が経った
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ここに来るだけで癒される
一年前に協力隊を辞めてから、未来を聞かれることはめっきり無くなった。
「協力隊終わったら何するんですか」とあんなに聞かれたのに、本当は誰も興味がなかったみたいだ。
わたし自身も、何もかもが新鮮だったここでの生活にも驚くことは少なくなってきていて、正直2年経ったからといって何か気持ちに変化がある訳でもなかった。日々仕事をし、車をぶっ飛ばし、また帰ってきてご飯を食べて寝る。車で通勤すること、人よりも鹿が飛び出してくること、家の水が一番美味いこと、行く先々で必ず知り合いがいること。どれも特別な風に話すことができないくらいの日常になった。
だけど「たぶんここに住み続けるんだろうな」という予感はだんだんと現実味を帯びてまた自分で今そのことを選択しようとしている。
私は2年経ってようやく、弟子屈に「移住」しようとしているのかもしれない。
「あっち(都会)に帰る理由がない」などと他と比べるようなことを言ったりしているが、本当はここでの生活がとても愛おしく、かけがえの無いものだとわかっている。
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浦山 夏帆
1993年生まれ
横浜市立東高校、日本宝飾クラフト学院卒。
宝飾業界8年目で、ずっと住んでみたかった北海道弟子屈町に住まいを移す。地域おこし協力隊として地域観光のプロモーションに携わった後、現在は宿泊施設のスタッフとして奔走中。夢は森の中にアトリエを持つこと。ときどき指輪を作ります。デザインとライティングは勉強中。鉄道とか山歩きも好き。
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