見出し画像

根室チャシ巡り旅

日本最北にして最東の城、
根室半島チャシ跡群を巡る旅

チャシ…アイヌ民族が構築した城砦。アイヌ語で「柵囲い」を意味する。
北海道内には700近いチャシが存在するが、その中でも根室半島はチャシの集中する場所だ。市内にある30以上のうち24が国指定史跡となる。これらのチャシは16世紀から18世紀にかけて造営された。平時には見張り場であったり談判や祭祀を行う場としてなど多目的に使われたという。


根室半島はここ!

半島の幅 約5㎞
長さ  約28㎞

北海道はここからここまで近そうなのに意外と遠い!ってことがよくあるが、根室の場合はそもそも幅が5キロしかないので拍子抜けするくらい結構近かったりする。
根室市街地は夜はネオンが光る。若い人が夜に外を出歩いていることに驚いた。
想像の5倍都会だ。

今回はチャシの集合地帯である根室半島を巡って色々な角度から見る事で根室の歴史に思いを馳せるとともに、そのうちの見学が可能とされているヲンネモトチャシに行ってみる事にした。

↓根室半島にあるチャシ群

ヲンネモトチャシ

根室駅から納沙布岬に向かう道の途中、原生花園を通り過ぎてしばらくすると左手にヲンネモトチャシの看板が出てくる。
そのまま脇道に入っていくと、2台ほど駐車ができるスペースに着く。
少し歩けば海を臨む崖上に出ることができる。

駐車スペースから階段を上がり崖上に来ると蛇行した道が

緩やかにアップダウン。
先端が見えてきた。

ヲンネモトチャシは、先が
さんかく▲

天守構造は丘先式であり面崖式と言われている。壕はあまり残っている感じはしないが、チャシルと言われる傾斜のある登り口やチャシに向かうまでの空堀は割とわかりやすい。
自然の中にあるが、人工的に丘の形状が変えられているのは理解できた。

丘先式
突出した台地(たとえば丘や岬など)の先端を利用したもの。
面崖式
崖地の上に半円形の壕を築き、その内部をチャシとするもの。

段丘と湿地が入り組む
不思議な地形

根室半島や北太平洋沿岸部は、その海沿いは段丘になっている場所が多く、幹線道路を走っていると海と反対側も湿地と段丘が入り組む様な不思議な地形になっている。

↑すぐ先に丘が重なっているのが見える

初田牛駅から海沿いに向かっている途中
周氷河地形にも見えるけどなんていうんでしょうか。

谷に見えた部分は湿原になっているようだ。

新世前記(〜70万年前)までは厚岸からこの根室半島まではひとつの陸島であったことを示す文献を見つけた。

なるほど、この辺の地形が似通っていると感じたがそれで合っているようだ。わかんないけど。


根室では1789年にクナシリ・メナシの戦いという和人に対する蜂起があった場所ということで「戦地」としても関心があった。

これについても調べてみた。

クナシリ・メナシの戦いって…?

クナシリは国後島。メナシは標津羅臼。
130人のアイヌ蜂起、71人の和人を殺害。

この和人は当時この付近で交易を行っていた飛騨屋。(岐阜県下呂町の商人)
飛騨屋は松前藩に多額のお金を貸し、松前藩はこのお金を返す代わりに、根室などの交易の権利を飛騨屋に与えた。しかし、根室やクナシリ地方には、強力なアイヌの勢力があって、飛騨屋の交易は順調に進まなかった。

蜂起があった後、松前藩はすぐに鎮圧隊260人をノツカマフ(根室)に派遣、なぜ蜂起が起きたのか取り調べる。結果、飛騨屋の支配人、番人らの非道(暴力・脅迫・性的暴力・だまし)の実態が明らかになった。

その後37人のアイヌが松前藩の手によって処罰された。自分が借金を返せないから交易権を渡した訳だが、はじめからアイヌの領域であるからここでの交易はうまく行かないことをわかっていたのではないだろうか?
松前藩の思惑はわからないけど、この戦いで武力を持って立ち上がる力を失って和人との従属関係が出来上がるきっかけになっていってしまったのは間違いないだろう。
この辺も今後いろいろ勉強してみよう。

歯舞諸島を見よう

せっかくなので納沙布岬にも。
歯舞諸島の一つ「水晶島」が見える。
60倍で撮影してみた。
建屋と円柱状の建物が見える。

おお〜。

根室市のふたつの資料館へ

根室市北方領土資料館に行った。
来館は2回目になるが、今回はじっくり見学。行ってみてびっくり、2階がとても充実していた。もしよかったら2階もどうぞみたいな感じで書かれていたが、これは間違いなく展示経路として強めにご案内したほうが良いだろう。

▼根室市北方領土資料館
入場無料

ちなみに先ほどのクナシリ・メナシの戦いに関する場所として、和人殉難墓碑が納沙布岬にある。

根室半島の東側、花咲港車石近くにある「根室市歴史と自然の資料館」にも行ってみた。

花咲港はロシアとの交流がある場所なんだろうなと思う。根室は国境を感じられる景色が続く。

花咲港を背に丘を上がっていくと施設がある。

ゆるキャラ土偶から

なんと、樺太日露国境標石まで
ホンモノだ!
稚内ではなく根室に。

▼根室市歴史と自然の資料館
入場無料
写真撮影OK
クナシリ・メナシの戦いに関する書籍もゲッ トできました。

今回の旅はこんな感じ。
お勉強旅となりました。
以前、花咲線で根室に来たことはあったが乗り継ぎのバスで納沙布岬に行っただけだったので、今回はゆったり根室市街地もまわることができて楽しかった。

どりあんにて


参考資料
Wikipedia
攻城団
(書籍)
根釧台地と釧路湿原の地質
クナシリ・メナシの戦い

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?