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vol.2 悪い癖
悪い癖が出た。
今まで時間はあったはずなのに、ここまで引き伸ばして、
もう明日が今日になってしまった。
深夜バスに揺られながら僕は次の日に迫った"友人代表のスピーチ"を必死になって考えている。
最後の最後まで、やらなければいけない事をやらない病気に罹ってもう、10年ぐらいになる。
多分高校生ぐらいの時からだなぁ。
…そんな事はどうだっていいのだ。
明日、20年以上の付き合いの親友が結婚する。
その結婚式に出席するのだ。
幸せだ。こんなに嬉しいことはない。
多分、人生で最初ぐらいの友達だと…
いや、S君のほうが先だな。
あれ。結婚する友達もS君だな。ややこしいな。
多分君は2番目だ。S君。
そんな友達が結婚するのだ。
凄いことになってしまった。嬉しいなぁ。
しかも、友人代表のスピーチ。感慨深いものがある。
だが、友人から代表のスピーチをお願いされた時、
正直、自分なんかでいいのかと、思ってしまった。
幼稚園から中学校卒業までは確かに毎日一緒にいたが、
そこからのあいつを僕はあまり知らない。
ここでちょっとした僕の感じ方の話。
生まれた時からずっと一緒にいる友達。
もう、親友通り越して家族みたいな、そんな友人と、
高校と大学が別れてしまって、ちょっとまぁ、今まで通り会えなくなってしまった。見たいな。
そんな友達に対して、
その…なんてゆうか…モヤッとした、相手の成長の大事な箇所が抜け落ちている感じが、大事な時に一緒にいなかった、みたいな…そんな…みたいな…感じが。
ちょっとだけ、
ほんの少しだけ感じてしまった。
ここまでつらつら言ったのだが、
全然、疎遠になっていたわけでは、ないんです。
今まで毎日会ってたのが、
頻繁会えなくなってしまっただけ。
ここで、その友人と大喧嘩して少し疎遠になっていたが、
結婚式に呼んでもらえた。とかなら、
すごい素敵な感動ストーリーになってnoteの足しにもなったのだろう。
全然違う。そんなんない。喧嘩したことない。
そりゃあ、学校も違うし、部活も違うし、当たり前だが
毎日会ってたものが、
季節に一回会えるか会えないか、になったから、
どこか心の中で疎遠になったと感じてしまっていたのかも知れない。寂しかったのかもな。
言葉にしたら、考えすぎじゃね。と思えてきた。
写真を見返してたら結構まぁ、会ってるわ。
なーんだ。
よかった。むしろ俺じゃなきゃダメじゃん。
この大役は俺にしかできねぇ。
あー。解決!
こういう場面で、自分は本当はめちゃくちゃやりたいことに対して、何かと理由をつけて、何かと考え過ぎて、
自分じゃ力不足なんじゃないか。
本当に自分がこんな大役を任せられていいのだろうか。
心の中ではめちゃくちゃやりたいのに、そんなことばっかり考えてしまう。
これも、俺の悪い癖だ。
選ばれなかったら選ばれなかったで、
悔しいのに、「全然いいけどな」みたいなすました態度をとってしまう。
カッコ悪いなぁ。
この振る舞いをしてしまう自分が苦手だ。
もっと欲に忠実でいたい。
まだまだやりたいことがあるんだよ。
今は、とりあえずスピーチの原稿が僕を呼んでる。
隣には、同じく小学校からの友人が、
(この友人は18年ぐらいの付き合いだ。)
ものすごい体勢でドラマを観てる。
お前、頭それどこにあるねん。腰置くところやぞ。
気を取り直して、集中しよう。
深夜バスに揺られ、友人との思い出に浸りながら。
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