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俳句

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2022年2月の記事一覧

俳句 門前

「仁王像 春光の中 立ち上がる」

三門の中の仁王像。春の光を

全身に受けて、立っています。

誰も手を合わせないので、

私だけは丁寧に拝礼しました。

俳句 若き日の

「春眠の 瞼を閉じて 恋の夢」

暖かい廊下で本を読んでいて、

うつらうつらと昼寝・・・

夢に登場したのは中学時代の、

恋した人の面影です。それは

懐かしく・うれしい・一時でした。

俳句 春色

「噺家の 羽織の紐に 春の色」

贔屓の噺家を聞きに、演芸場

迄出かけました。登場した人は、

いつものこぼれる様な笑顔です。

羽織の紐が、浅葱色で{あっ春}

小さく声を出してしまいました。

俳句 陽春

「散歩する 道筋伸びる 木の芽時」

よそ様の御宅の庭。

散歩の時ついつい見ています。

様々な木々の小さい芽が、

目に立つ様になりました。

俳句 春夜

「春月は 竹生島へと 沈むらし」

琵琶湖沿岸に旅しました。

月が竹生島辺りへと、落ちて

行きます。かの有名な謡の一節

「月緑陰に沈んでは・兎も

波を走るか」を実体験出来ました。

俳句 忌日

俳句 忌日

「ご先祖の 忌日が多き 二月なる」

父方・母方の祖母は共に

二月旅立ちました。他にも

仏壇の位牌を見ると、何人かが

二月に亡くなっています。

今よりはるかに寒かった頃を、

改めて考えます。

俳句 和室

「冴え返る 床の柱の 曲がりかな」

料亭での食事に招かれました。

通された部屋は、六畳。床柱は

何の木でしょうか。面白い姿でした。

部屋から見える庭に、梅が見えました。

俳句 二月半ば

「寒明けて 我も明るき 色を着る」

少し夕暮れが遅くなりました。

未だ余寒と言うには、厳しい

日々ですが。せめて洋服だけは

春にと、明るい色目の品を

着てみました。

俳句 日々

「雨ごとに 春の色増す 散歩道」

一雨ごとに木々の芽が、膨らんで

来ています。{あっバラにも、赤い

芽が}などと、俄然散歩が楽しく

成る日々です。

俳句 茶室で

「塗炉縁 春の光を 跳ね返す」

換気の為、障子を開けました。

指し込んだ光が、炉縁に当たり

輝いています。

こんな風に、春を感じるなんて!

俳句 境内

俳句 境内

「袈裟揺らし 東風吹いて行く 建長寺」

早春の鎌倉を訪ねました。

流石に海沿いの町、都心部より暖かく

感じました。東風が吹き上り、御袈裟

が揺れる午後でした。

俳句 準備

「掘り返し 又掘り返し 春の土」

そろそろ春の準備を始めます。

茶花畑の土に、鍬を入れました。

何度か掘り返し、石灰を撒きました。

俳句 稽古の日

「春寒や 水屋の準備 ととのいて」

室内の暖房が、水屋迄は届きません。

それで寒い上に、水を扱います。

本来電気ストーブでも置きたい所ですが、

「水屋も立派な修業の場」と、京都で

勉強時代教えて頂きました。

俳句 新聞掲載句

「利休忌や 若き等に説く 侘びと寂」

新聞地域俳句欄に、入った句です。

利休忌の度に、居士お好みの道具を出し

使います。沢山の逸話なども、話します。

その度毎にやはり「偉大な方」と、改めて

感じるのです。