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短歌

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2022年2月の記事一覧

短歌 雪連作

「中高と卒業式は共に雪

未だ東京が寒かりし頃」

「苦き思い出全て埋めて雪の日は

心も白に返ると思う」

「人々の罪と汚れを落とさんと

天上の神雪を降らせる」

「見慣れたる京の街並み美しく

一色にする魔法の雪は」

「雪降るを霏々と短歌で表しぬ

母の歌集を読み返す夜」

「雪深きかの地で暮らす友思う

電話の声は元気なれども」

「雨戸明け思わず声を挙げし朝

憎きカラスも雪に映えれば

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俳句 入選作

茶道誌「淡交」二月号に、採られた

作品です。

「寒鯉は 悟りの姿 動かざる」

近所のお寺の池、寒さのせいか鯉が

一か所に集まり動きません。

まるで座禅して悟りを得た、姿の

様に思えました。

今月は久しぶりに短歌も

「冬ぬくし市場の端の果物屋

そこだけ色が満ちてこぼれて」

欲張りな私は、両方掲載されたので

喜んでいます。

新古今和歌集 秀歌

三番が山里・四番は故郷・そして五番目に

都・六番目で海上へと景色を転じて行きます。

「春といえば霞にけりな昨日まで

波間に見えし淡路島山」俊恵法師

この歌の理解は実際の風景を見た人の方が・・

私もその一人ですが、冬場は瀬戸内の海上は

風で波立っています。その向こうに淡路島が、

見えていました。

気温が上がるにつれ、海上の景色もぼんやりと

霞んで来ます。何となくもやった先に、淡路が

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新古今和歌集の周辺

後鳥羽院が新古今和歌集・春歌・巻頭に

置いたのは、「摂政太政大臣」つまり九條良経

でした。すべての歌の最初に、彼を据えた事に

注目していました。

それらを巡る人物像から、現在小説を書いています。

後鳥羽院の少年時代、秘かに歌を指導したのが

良経という設定です。私が想像する良経像は、白皙の

美青年。やや神経質そうな横顔、しかし眼差しは

優しく、人々を魅了します。

次男で在った彼は、

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