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よくぞご無事で


ようやく気温がぐっと下がり、秋らしい季節になってまいりましたね。
今年の夏はとにかく過酷だった。 

うちの植物も瀕死の重体と死亡案件が続出。
特に私はキンポウゲ科の宿根草を猫可愛がりしておりますので大打撃ですよ。

我が家は田舎の山間部で避暑地的な土地柄ですし、西陽が一切当たりません。
真夏でも午後2時頃には完全な日陰になり、夜温も低めで熱帯夜とは無縁。
園芸するにはもってこいの立地条件を兼ね備えております。

例年ならばね。

でも今年は死んだね。
何鉢も何株も。

今回は、そんな過酷な夏をなんとか乗り越えたクレマチス達のお話をしたいと思います。

まずは、今年の春にブイブイ言わせていたクレマチスの全盛期をご覧くださいませ。

バニラ臭漂うモンタナ。
モンタナは今夏死亡。
カートマニージョー。
ペトリエイ。
地味めの花を密度で凌駕する系のクレマチスたち。
クレマチス界隈でバズりまくってる水面の妖精。
枝変わりで2色になったお得なベルオブウォーキング
こちらも枝変わりで多弁と八重の2展開がお得なベロニカズチョイス
コロンとかわいい雫ちゃん。

クレマチスって不思議だと思いませんか。
種類やタイプが多すぎて混乱しませんか。

花も葉も性質も似ても似つかない同士が「僕クレマチスです」「えー!私もクレマチスです!」みたいな状況が多い。
なんかコウモリとクジラが「僕哺乳類です」「えー!私も哺乳類です!」とか言ってるくらいの幅広さを感じているのは私だけでしょうか。

そんな中でも近年、特にクレマチス界隈でバズりまくっているヒット商品(品種)がこちら。
【水面の妖精】でございます。

病みつきの美しさ
花付きも抜群

個人育種家さんが作出されほんの数年前から一般販売された、まだまだ希少な品種です。

ただ、いくら流行りとは言え、
わたくしのようなダサ田舎者が【水面の妖精】と口にするのは小っ恥ずかしい。歯が浮くのです。
昭和のボロ民家の錆びた雨樋にツルを這わせておきながら何が【水面の妖精】なのかと。
水面の妖精が可哀想…

ということで勝手に【砂嵐】と呼んでおります。
絶妙なグレー感とザラザラな模様がブラウン管を思い出させ、そう呼ぶことで罪悪感からも解放されるという身の丈に合ったあだ名でござる。
(※あくまで個人の感想です)

この砂嵐がどれほど人気なのかを、とりあえずここで伝えたい。

あれは今年の5月、第2回花友フェスタに参戦した時のことでした。
(※花友フェスタとは日本中の園芸店と園芸著名人と園芸ヲタクが集結する植物の祭典)
自宅から会場までは車で1時間弱、朝から並ぶとしてもわりと気軽です。

しかし、それとは気迫が明らかに違う猛者達が深夜から集結し、最前列をキープしておりました。

「この人たちのお目当てはなんなのかしら…やはり私と同じチカラコブ園芸かしら…」
だとしたら今日の勝負は負けたと開場前から意気消沈。でも全然違った。

猛者達のお目当ては、そう、水面の妖精だったのです。
開場と同時に水面の妖精争奪戦が起こり、瞬殺完売の水面の妖精、恐るべし。

私は幸運にも3年前に入手できていたので、今回は傍観者としてその光景を眺めていましたが。
ネットのフリマなどで堂々と売られている挿し穂苗でも数千円しますからね。(挿し穂苗の販売は違法です。守ろう種苗法。)

そんな我が家の砂嵐の妖精が、今年の夏は猛暑のために瀕死の重体に陥りました。
もう、カラッカラのボロッボロ。見事に葉は枯れただの茶色いツル。一見ご臨終。真冬の休眠中と同じ姿じゃないか。

9月に入っても変化なし。
もうダメだと思ってた。でも、こいつら意外としぶといことも知っている。根が生きていれば大丈夫。あー大丈夫大丈夫。
夏の間中、そう自分を誤魔化していました。

結果、どうだったのかと言いますと、
大丈夫だった!!ほら、10月過ぎてようやく新芽出てきたやい。

肝を冷やしたぜ

もう怖いから挿し穂でスペアを作っておこう。(譲渡、販売目的でなければ挿し穂は合法です)

来年もきれいな花を咲かせてね砂嵐!

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