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注目されないと死ぬ

自主制作の映画って、音もなく消えていく。舞台に近いレベルで、もう2度と見られなかったりする。

最近、U-NEXTに登録してみた。ざっと回遊しておもいだした。実はいま、私が出演した映画がU-NEXTで配信中なのだ。

映画『川越街道』は、ENBUゼミナール主催の低予算のワークショップ映画だ。なんのこっちゃと思われるかもしれないが、何を隠そうあの『カメラを止めるな!』と同じ企画である。

私が参加したのは、『カメ止め!』の前年度だった。それを聞くと、「惜しかったね!」「悔しくない?」って高確率で言われたりする。

うーん。あんまり。年度が違うと、そういうのぜんぜんない。
でも、「年度」というワードを繰り返したくなってしまう。この企画は、同じ年度に、同じオーディションで俳優を選抜し、同じ額を参加俳優が払って、2人の監督が2つの映画を作るからだ。

『川越街道』と同年度の作品は、今泉力哉監督の『退屈な日々にさようならを』。

こちらは、当時、東京国際映画祭のスプラッシュ部門にノミネートされて、出演者たちはレッドカーペットで何を着ようと華やいでいたのを覚えている。

こっちは正直とても悔しかったし、羨ましかった。

なので、『カメ止め!』大ヒットを目前にしたときには、並行して作られた岡元雄作監督の『きみはなにも悪くないよ』関係者の心境を想像して、ちょっと苦しくなったりした。なにも悪くないとおもう。

でも、『カメ止め!』ヒットの恩恵を受け、ENBUワークショップ映画はすべてU-NEXTで見られるようになった。

「有名な俳優が出ていない」インディーズ映画を映画館で上映してもらうことも、上映中、映画館を人でいっぱいにすることも、とっても難しいのだ。『川越街道』の上映時は、自分の無力さが腹立たしかった。私には特別ファンはいないし、チラシを配る以上に、twitterで呟く以上に広く届けるすべもない。もちろん、それだけが集客のすべてじゃない。
でも、「ちいさな映画館」を埋めることがどれほど大変なことか。あの時、私の声かけで映画館に足を運んでくれた人たちのことは今でも覚えているし、特別感謝してる。ああ、私も知人、友人、気になる舞台や映画はもっと観に行ったほうがいい……

本題に戻る。

U-NEXTに入ったから、『川越街道』はたくさんの人に見てもらえるのか、というとそんなことはきっとない。でも、「ここで見られます」という場がない作品が自主映画のほとんどだとおもう。

見てもらえない作品は死んでしまう。

自分の好きなものや、おもしろいと思うもの、かっこいいと思うものが、かならずしもみんながそう感じるわけじゃないのだと、つい最近気がついた。マイナーなもの、発掘されないもの、視界に入らないものは、人の目につかないところでひっそりと消えていく。

そういうとき、フリーのホームページを思い出してしまう。極端な例だ。高校時代にみんなでつくった「ホムペ」はもう消えてしまった。一定期間以上誰もアクセスしないと、アカウントごとごっそり消える。

『川越街道』も、「私が絶対もっとメジャーにする! 小西麗が出てるなら観てみようって言わせる!」って思っていた。女優としてそこまで作品を引き上げるのはちょっと難しかったけど、今、これからは、ライターや編集者として動くことで、自分にとっての「めちゃくちゃ好き!」なあれこれをすこし活性化できたらいいと思う。

取材したら、インタビューしたら、企画を立てたら、ちゃんとおもしろくパッケージにして、「めちゃくちゃ好き!」と感じる人にはもっと好きになってほしいし、興味がなかった人にも、「いいじゃん」って思わせたい。

これが広く届けたいってことなのかな。なんだかはじめて、そういう編集者っぽい発想が自発的に降りてきた。さむすぎる春の夜だった。noteに日記書いちゃったよ。

とりあえず、GRAND FAMILY ORCHESTRAをSpotifyで300人しか聞いてないのはありえないので、貼っておきます。横揺れが流行りの平成の終わりに、2000年代の風を感じるいいJ-Rockバンドなのに……


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小西 麗🇬🇧ライター/編集者
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