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教育・共育

11月になり、北海道の山は色付いている。
パーソナルカラーが秋だからか、
自然が好きだからかわからないが、
紅葉を眺めているととても落ち着く。

新人教育に携わる者向けの研修を受講した。
研修の運営方法や目標・評価指標の設定、
実地指導者(プリセプター)の支援方法など、
スタッフ教育に関するものであった。

結果的に、とても身になる研修であった。
覚書としてここに残しておく。

1.目標と評価
目標には3つの要素がある。
○目標行動…目標の動詞にあたる部分。
○評価条件…目標の難易度調整。
○合格基準…計測可能な数値指標。

これらを盛り込むことで具体的になる。
目標が具体的になれば評価がしやすい。
誰の目にも明らかな評価が可能となる。

では、評価に関してはどうか。
ガニェという教育法学者が、目標の性質を分類した。
○言語情報…情報を記憶しているか。
○知的技能…知識を応用できるか。
○認知的方略…学習方法の工夫をしているか。
○運動技能…身体をコントロールして動かせるか。
○態度…物事・状況を適切に選択しているか。
立てられた目標は、これらの性質が組み合わさっている。

ひとことに
「体温を測って、結果を判断できる」
という目標を立てていても、その実、
・体温の正常値を知っている…言語情報
・体温計を安全に取り扱っている…運動技能
・測定結果を判断する…知的技能
・体温測定するということを患者に説明する…態度
…といった具合に、
目標の性質ごとに細かな評価指標は異なる。
目標を評価する際、
どこがうまくいっていて強みになるのか
どこで躓いているのかを評価しやすくなる。

これまでは漠然と、
目標は「行動レベルで具体的に!」とか、
「数値化できるものに!」と考えていた。
しかし、そこに意味づけをしてもらい、
頭の中がとてもクリアになった。
今後の目標設定においてはこの点を意識したい。

2.意欲を高める・維持する研修運営
教育委員となり、1年半が経過した。
先輩方の研修運営や評価を見様見真似で
実施してきて、運営そのものはスムーズには行えていた。
しかし、「受講者はこれが活かせるだろうか」と
考えることも少なくなかった。

研修はARCSモデルに則るとよいと知った。
A…Attention、注意・関心を引く
R…Relevance、関連性をもたせ、学習者のニーズやゴールを満たす
C…Confidence、成功体験をさせ、自信をもたせる
S…Satisfaction、達成を強化し、満足感を得る
これを研修の随所に散りばめる。

まず、オリエンテーションや導入でA。
注意を引きつつ、研修目的を伝える。
研修の内容・方法を考える際にRを意識する。
GWがいいのか、講義がいいのか、
シミュレーションがいいのか。
受講者が成功体験を得るために、
自ら工夫していくことでC。
最後に、受講者がこの研修を活かして
学び続けていくためにSはできたのか。
一方向だけでなく、
議題が変わるたびにARCSが出てきてもよい。

なんとなく「満足感を得てほしい」、
「研修後も活かしてほしい」と思っていたが、
この要素が大切であると知り、腑に落ちた。
今後の研修はこれを意識して組んでみよう。

3.「ねがい」を持ち続けること
私は普段「患者さんにとって、その人らしく
穏やかに過ごしてもらいたい」と思っている。
患者さんだけでなく、若い看護師にも
「身心を穏やかに保ってほしい」とか、
「患者さんの訴えや希望を察することのできる看護師になってほしい」と思っている。
これが「ねがい」だそうだ。
これは漠然としていていい。
ただ、自分が迷った時に立ち返るもの。
私は、相手にどうなってほしかったんだっけ?
と悩んだ時に戻る原点。
自分の中で、どうあってほしいのか意識しておく。

…といった内容の研修であった。
(私の語彙力や文章力が拙いせいで
 素敵な話なのにそうは読めず申し訳ない)

実は高校を卒業する時に
看護学校と教育大学とで迷っていた。
今は看護師をしながら教育をかじっている。
不思議なものだが、どちらも楽しい。
教育とは、「教え育てる」ものではなく、
「(お互い)教わり育つ」「共に育つ」ものである。
看護の道は10年ほど。
教育の道はまだ2年。
人を導くことは容易ではない。
正解なんてわからないままである。

でも、私と関わってくれた方々や
私の組んだ研修を通して、
共に育つことができるのならば
これ以上、幸せなことはない。

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