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ササキリの鳴き声 聞こえない音を録る

ササキリの鳴き声を録音した。

使用機材:PCM レコーダー PCM-A10
録音モード:LPCM 96kHz/24bit
録音レベル:マニュアル
内蔵マイクを前方に向けてセット。距離はササキリから約 30 cm。

前置き

8月21日付けの記事で、ササキリの鳴き声が聞こえないということを述べた。ササキリの鳴き声は「13〜40kHzの声で中心周波数は22kHz」とのこと。聞こえないことはわかったが、どれだけの声量なのか、気になってしょうがない。

そこで、手持ちのレコーダーで録音し分析してみることにした。96 kHz のサンプリング周波数であれば、ササキリの鳴き声を漏らさずとらえられるはずだ。

8月25日の自然観察の中で録音した。園の一番奥でササキリのオスを発見。最初、近づきすぎた。ササキリはいやがって隠れてしまったが、少し見えにくいところまで行って落ちついたようだった。距離は1メートル強。

そのまま静かに見ていたら鳴き始めたので、腕をいっぱいに伸ばして録音開始。

時間軸方向の変化を見る

振幅を見るとこんな感じ。

レベル

左の鳴き始め、導入部、ここでは14回繰り返している。周期は、約 15 msec。必ずこのパターンで鳴くわけではない。

次に続く、3個セットのパターンの繰り返しは、約 60 msec 間隔。

「シリシリシリシリシリ……」「ジリジリジリ」「ジキジキジキ」「ジギジギジギジギジギ」「チキチキチキ」「シリシリ……」などど言われているようだが、「シリ」とか「ジギ」などは、この3個セットパターンの1回分であろう。ちなみに、60 msec 間隔というのは、1秒間に約 17回ということだ。

波形 のコピー

3個セットの山と山の間隔は、約 15 msec。

乗ってくるとこのパターンで鳴き、それが「シリシリシリ」などという音として聞こえるのだろう。

次の図は、5回分の鳴き声を 3D 周波数解析したものだ。

5鳴き分

3D 周波数解析:Zoom のレコーダーを買ったら付いてきたアプリケーションソフト WaveLab LE 9 の機能である。

横方向が時間軸で、約2分間を表示している。
奥行き方向は周波数。手前が 3000 Hz、一番奥が 48000 Hz である。

水色系の色の5つの山がササキリの声だ。
ササキリの声は、大体黄緑色から紫色の範囲に存在していて、黄色から赤色のエリアにはササキリの声は含まれない。

このスケールの真ん中辺は、人によって聞こえ方に差が出るところだろうと思う。

周波数の分布の詳細を見る

横軸は周波数、3000 - 48000 Hz。
奥行き方向は時間経過、奥がスタート、手前が終了。

鳴いているとき

鳴いているとき

レベルが大きいところの目盛りを読むと 24 kHz である。

鳴き始めに注目

鳴き始め

図は左右を反転したものだ。
※ アプリケーションの制約上やむをえない措置

右側の目盛りの3つ目から鳴き始めている。それよりも手前の部分がバックグラウンドノイズになる。
黄色いエリアは、主にセミの声と思われる。
また、少し離れたところで別のオスが鳴いているようで、それがバックグラウンドに含まれている可能性がある。鳴く前からシアンのエリアが小さく盛り上がっているが、他のササキリの声の可能性がある。

0.5倍速変換後の周波数分布

一鳴き分だけカットしたものを音声記事として投稿した。スピードを 0.5 倍に変換したものだ。

自分の環境では、96 kHz のAAC フォーマットのデータを用意できなかった。そこで、0.5倍速に引き伸ばして 48kHz でデータを作った。

0.5倍速変換結果

スピードを 0.5 倍 にした場合、周波数も 0.5 倍になる。聞こえなかった高音域も聞こえる範囲に入ってくるだろう。

これを聞いて雰囲気だけでも掴みたい。さらに脳内で倍速に変換したら実際の鳴き声聞こえてくるのではないかと思う。


まあ、結果は、いつも聞いているあの声と大差なかったのだが、、、、

t.koba

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