映画『人体のサバイバル!/がんばれいわ!!ロボコン』レビュー

【ドラマなき狂気とミスター・ネンリキの不在を感じる】

 狂気とうわさの『がんばれいわ!!ロボコン ウララ~!恋する汁なしタンタンメンの巻!!』をやっと見る。『美少女仮面ポワトリン』とか『不思議少女ナイルなトトメス』とか『有言実行三姉妹シュシュトリアン』といったシリーズを毎週朝に見ていた目には、飛び抜けて頓狂といった感じはしなかった。


 というか、頓狂な場面だけを集めて並べて日常のドラマの部分をおざなりにしている感じがあって、何十話からなるエピソードのひとつだとしてもちょっと浮かび上がりすぎていた感じ。シリーズならもうちょっとホームドラマ的な部分を見せつつ、だんだんと頓狂な場面へと入っていってエスカレーションしていっただろう。それがワクワクさせてくれた。いきなりの途中エピソードではそれが感じられなかったのがやや残念。

 唯一、ロビンちゃんの扱いはなかなかすさまじくてユニークだった。こればっかりは過去にも類を見なかったかも。ヒロインはどこまでもヒロインというロールがしっかりしていたから。『がんばれ!!ロボコン』で島田歌穂にそれをやったら大変なことになっただろうから。

 『スプリンパン まえへすすもう!』が上映されるなら、内沼菜摘の日本大学藝術学部卒業制作アニメーション『最終ロケット イェイ&イェイ』だって劇場公開されて良いんじゃないかと少し思った。つまりはやはり頓狂。変わったことをやっている訳ではないけれど、前説も吹っ飛ばしての状況だけがいきなり来て、茫然としながらも繰り広げられる何かを見せられた感じがする。

 3DCGのキャラクターがダンスをしながら歌うといったアニメーションは、モーションキャプチャからミュージカル アニメーションを作ろうとする実験的な映像作品といった位置づけ。一切の説明を抜きにして、状況だけがあっても構わないのだろうけれど、それにしても唐突さが過ぎた。シリーズ化とかあり得るのか。。バレエ的な踊りはさすがに劇団四季の人が中らしいから上手かった。歌も含めて。

 アニメ『人体のサバイバル!』はミスター・ネンリキが乗り合わせていて「ねんりきー」とやればすべて解決したような気がしないでもなかった。消化器系から循環器系へと回り脳内をニューロンだのシナプスだのが観察できる場所まで移動できるとか、およそトポロジー的にむちゃくちゃな気がしないでもなく、予告で流れた劇場版『はたらく細胞』がキャラクターこそスタイリッシュでも細胞とかの設定にはとことんこだわっていたのとは対照的だった。

 そこはだから、子供に体の中の仕組みを見せるアニメーションだと割り切れば良いのかもしれない。ヒロインのお尻から出てこなくてよかったとは思った。鼻血でもなく涙ってところも。博士は良い演説をしている暇があったら残って人命救助をしなくっちゃ。それほど予算が大事かと。助手ならできると信じたのかなあ。改めてヒポクラテス号にはミスター・ネンリキを。(タニグチリウイチ)

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