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『ドラゴン怒りの鉄拳』感想 ~久しぶりだね!ブルース・リー!~(WBLC 2023 鑑賞一本目。ネタバレあり)

※格闘技、喧嘩、いずれも経験がないので、アクションシーンへの言及はほぼありません。スマン。


不安な序盤

劇場で映画を観るのは約10年ぶり。

緊張感もありつつ、
スクリーンでのブルース・リーはどんなだろう?、
と大きな期待を抱いて本作を観たわけだが、
突っ込みどころが多くてビックリした。


冒頭、上下真っ白な詰襟スーツ姿で現れたブルース・リー。
持っているスーツケースも真っ白だ。

派手過ぎる。


恩師の遺影が掲げられた祭壇を見てショックを受けるブルース・リー。

眉間に深いシワ。

芝居が濃い。


恩師が埋葬されている墓地のシーン。
大勢の弟子たちが悲しみにくれている。

その中で一番偉い、師範の男。

中川家の礼二そっくり。
もう礼二にしか見えない。


泣き叫びながら、棺にかけられた土を素手で掻き分けるブルース・リー。

悲しい場面のはずが、引いてしまうのはなぜだ?
私が冷たいからか?

さっきから降っている雨の量、多すぎないか?

救いの女神

恩師の遺影の前で放心状態のブルース・リー。

そこへ食事を運んで来るノラ・ミャオ。

何も食べていないブルース・リーを心配し、少しでも口にするよう促す。


ノラ・ミャオ、すっっごく可愛い!!
こんなに可愛かったっけ!?

クリンクリンの目に、ツンとした鼻。
いや~可愛い~~~。

演技も自然だ。

というか、これまで気付いていなかったけど、ブルース・リーの演技って意外と大袈裟なんだな。
アメリカ仕込み?

突っ込みどころが多くて物語に全く集中できていなかったので、ノラ・ミャオの可愛いさに救われる。

悪の手先登場

自分自身は全く力を持たないが、
強者に媚びへつらい、
弱者に威張り散らす。

わかりやすい悪の手先登場。

この役者さん、ハマってるな~。
すごく印象に残る。


お伴の2人。
小さい男と大きい男でメリハリがある。

日本人という設定なのだが、袴を前後ろ逆に履いている。

まあ、洋画に出てくる日本人なんてそんなもんだ。

単身殴り込み

ブルース・リーが1人で敵の道場へ殴り込む。

待ってました!

が、いかにも「殺陣」という感じで、思ったよりも迫力がない。

あれ?ブルース・リーってこんなだっけ?
勝手に美化していたのかな?


しかし!
そんな疑念は、ヌンチャクで叩き潰された!!

だいたい、武器も持たずにたった1人で大人数をバッタバッタなんて無理がある。

ヌンチャク振り回して、足元を狙う!
よい!!


その場に居た全員を倒したブルース・リー。

凸凹コンビを呼びつけ、屈辱的な言葉が書かれた紙を、「食え」と口に押し込む。

悪者を叩きのめした後、顎をちょっと上げて、相手を見下しながら、クールにお灸をすえる。

やっぱりブルース・リーはこのイメージだなぁ。

再び突っ込み

ブルース・リーがとある公園に入ろうとすると、門番に止められる。

有名なシーンだが、この門番の見た目が、インド人っぽい。

なぜ突然インド人?


ブルース・リーが、恩師を毒殺したスパイに詰め寄るシーン。

料理人として入り込んでいた、敵方の日本人。
胸(乳首)の辺りアップ。

ブルース・リー「お前、日本人だな!」

日本人、腹巻きを引っ張り上げて乳首を隠す。

え?日本人って乳首に特徴あるの?
ブルース・リーとたいして変わらんと思うが?

後で調べたら、「腹巻き」が日本人特有らしい。乳首じゃなかった。


ブルース・リー、スパイ2人の息の根を止め、死体を電柱にぶら下げる。

翌日、街は大騒ぎ。

うっすら気にはなっていたのだが、この作品、セットで撮影されている。

物語にいまひとつ入り込めないのはそのせいか?

キスシーン

罪を犯したブルース・リーは、墓地に身を隠し、野宿。

焚き火の前に座り、串に指した動物の丸焼きをかじる。

ワイルド。

冒頭の純白のスーツから、ずいぶんな変わりよう。


ノラ・ミャオが現れる。

ブルース・リー、唯一のキスシーンが始まりそうだ。

なんだろう、この、ムードが高まる緊張感。
息が詰まるようなこの感じ、久しぶりに味わった。


軽く触れるキス。

あ、ブルース・リーのキスシーンって、やっぱりこのくらいの感じだよね?
わかるわかる。らしいらしい。

とか思っていたら、
濃厚なやつが待っていた。おぉぅ…。

お色気シーン

助っ人外国人をもてなす、敵陣の宴。

芸者さん(?)が「ソーラン節」をBGMに、腰をくねらせながら踊っている。

最終的にストリップとなるのだが、着物を脱ぐと、なぜかリオのカーニバル的な装い。

いろいろ謎。


このシーン、初めて見たのでビックリ。
地上波TV放送ではカットされていたのかな?

確かに、お茶の間には不向きだ。

昭和の映画はお色気シーンが付きものなんだけど、これはちょっとどぎつかった。

時間の長さも意味不明。

変装(コスプレ)

ブルース・リーが変装する作品があったよな~、と思っていたら、これだった。

ブルース・リー、三変化。

  1. 人力車の車夫
    →チューリップハットを目深に被る。

  2. 新聞売りの老人
    →白髪のかつらと付け髭。緩慢な動きと、ぼんやりした表情。

  3. 電気工事士
    →つなぎ、キャップ、メガネ。飄々とした動きと、とぼけた表情。

ブルース・リー、乗り乗りである。


電気工事士に変装したブルース・リーは敵陣に入り込み、敵の大将のすぐそばで電話修理(のふり)をする。

大胆不敵。

このメガネ姿のとぼけた兄ちゃん、好きである。

ラストまで駆け足で

正直、アクションシーンは細かいところまで覚えていないので、ここに書けるようなことがない。

大満足だったのは間違いない。


敵を叩き潰したブルース・リーは、恩師の道場へ戻り、最終的に自首することとなる。

ノラ・ミャオを見つめる表情が、気持ちが入りすぎていて、ちょっと怖い。

やはり芝居が濃いな。
ブルース・リーって、かなり情熱的な人だったのかな?


ラスト、道場を出て飛び蹴りのストップモーション。

思っていたよりも低かった。

イメージでは後ろに見える玄関の屋根の高さまで飛んでいた気がしたが、
実際は後ろに見える人たちの頭の高さだった。

しかも、前に出した方の掌が上を向いていて、足も「蹴り」の形ではないような…。

後で調べたら、このシーンを写した写真にはいくつか種類があった。

屋根まで飛んでいるように見える写真も、腕や足の形が飛び蹴りらしく見える写真もあったので、そちらの印象が強かったのだろう。

最後に

時代背景など、きちんと理解してから観れば、ブルース・リーの怒り、悲しみがもっと伝わったのだろうか?

でも、笑わせに来ているシーンも多いし、時代背景が大事なら、袴くらいちゃんと履いてくれよと思う。

まあ、それは私が日本人だからそう思うだけなのかな。

笑えるシーンや、大雑把な展開、アクションシーンたっぷりの娯楽作品であっても、本国の人には通じる「怒り」が、しっかりとあるのかもしれない。


次は『ドラゴンへの道』。

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