No Day But Today ただ今日を生きるだけ
こんにちは。季節のせいか、詰まってきた仕事のせいか、はたまたホルモンバランスのせいか、最近もやもやしているしらふさんです。
春は区切りの季節というのもあり、通り過ぎてきた数々の桜を思い出しては、現在の自分の状況を本当にこれで良かったのかと思い煩ってみたり、将来のあれこれに頭を悩ませたりしていました。
また、前の会社を辞めたのが2年前の4月末だったので、最近のGWみたいな気温が当時を思い出させてメランコリックになっていたんですね。
今日も気持ちがふさぎがちなので、音楽を聴きながら散歩でもしようかなとApple Musicをいじっている時に、ふと思い出したのがブロードウェイミュージカル ”RENT" でした。
学生時代に来日公演を観て心を掴まれてから、一時期CDをかなり聞き込んでいたけれど、ここ数年はすっかり遠ざかっていた楽曲たち。久しぶりに聞くとほぼ忘れかけていた学生時代のアオイ気持ちや夢や思い出がもう次々と溢れ出てくる、出てくる。
わたしも歳をとったので、あの頃のアオイ気持ちのまま楽曲を楽しむことは出来ないけれど、あの時心の支えにして何度も何度も聞いていた曲の歌詞が、ママいまの自分のもやもやへのアンサーになっていて、歩きながら少し泣きそうになってしまいました。
ジョナサン・ラーソンによる伝説的ミュージカル”RENT”は、1980年代後半から90年代前半のニューヨーク、イーストヴィレッジに集っていた芸術家や自由を求める”ボヘミアン”な若者たちをめぐる物語。
ゲイやレズビアンなどのセクシュアルマイノリティや、ユダヤ、ヒスパニック、アフリカ系アメリカ人などのエスニックマイノリティなど、社会の”周辺”に置かれてきた登場人物たちが、急速に都市開発が進んでスマートでクリーンになっていくNYのなかで、ただひたすら生きて、あがき、愛し合う力強い物語です。
また、このストーリーに色濃く影響を与えているのがAIDSです。複数の登場人物がAIDSに罹患していて、自分がいつ死んでしまうのか分からない死の影と、ただ今を生きる強烈な生の衝動のコントラストが ”レントヘッド” と呼ばれる熱狂的なファンを生み出してきました。
占い的に面白いのが、この”RENT”がブロードウェイで上演されていた期間が、ちょうど射手座冥王星の時代なんですよね。本作は、1996年の初演から2008年までオフ・ブロードウェイ、ミッドタウンのブロードウェイで上演されていました。
射手座冥王星のひとつ前、蠍座冥王星時代の象徴的な出来事としてAIDSがあげられていたのを何かで読んだことがありますが、蠍座冥王星時代のシンボルを射手座で拾いきったという感じがします。また、「善く生きるとは」という射手座的な命題が詰め込まれた作品でもあり、時代のムードを的確に掴んでいたのではないでしょうか。社会的な立場に落ち着くことなく、芸術を愛し、哲学を愛し、自由を愛し、何より愛することを愛したボヘミアンな作品は、山羊座冥王星時代の始まりとともにブロードウェイでの幕を下ろしたのでした。
There is no future
There is no past
I live this moment as my last
There's only us
There's only this
Forget regret
Or life is yours to miss
No other road
No other way
No day but today
劇中歌 ”Another Day”より
劇中、何度も繰り返されるテーマが ”No Day But Today"。
未来も過去もなく、あるのは今だけ。
後悔をしていては、人生を見失ってしまう。
選んでしまった以上、こうなった以上、他の道はなく、ただ今日を生きるだけ。
ブロードウェイでも歴史的なロングランとなった、本作の脚本・作曲家ジョナサン・ラーソンは、オフ・ブロードウェイでのプレ公演初日に舞台を見ることなく急逝しました。
Thank God this moment not the last.
“Final B”より
いま命があり生きているのだから後悔や恐怖に溺れることなく、ただただ今日この日を生きていきたいなと思ったイースターの夕暮れなのでした。
さて、この記事は ”RENT” の伝統に則って締めたいと思います。
“Thank you Jonathan Larson!!”