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ツルニャンスキー「スマトラ」日本語訳

 ミロシュ・ツルニャンスキー(Miloš Crnjanski, 1893~1977)は現代セルビア(ユーゴスラビア)文学の代表的な作家の一人。『移動』(Seobe, 1929)のような小説の他に、詩でも人気を博しており、一番有名な詩集に『イサカ詩集』(Lirika Itake, 1919)がある。私がツルニャンスキーが好きになった個人的なきっかけは彼の訳詩集、『中国詩集』と『日本の古歌』(Antologija kineske lirike, 1923, Pesme staro

    • 瑪塞之《洛下集》

      洛下集序夫詩者、託其根於心地,發其花於詞林、本來無華夷之別也。然辭語不通、文章未及、若無可以言志永言者。余平生款啓寡聞。遊學扶桑、始習東方先賢之文。以修斯道。在東京經年、拙筆漸積、欲撰集之。因擇詩四十首、成一卷、號曰《洛下集》。大凡人之文各有所長所短。恐余所長、未達人之所短。無李杜之意、多元白之弊。冗長疏緩、豈免奇僻。殆不耐讀。請君許之。 令和六年二月塞之序。 洛下集序そもそも詩なる者は、其の根を心地に託し、其の花を詞林にひらき、本来華夷の別無し。然れども辞語通ぜずして、文

      • 誤訳の森 ー 栗原成郎訳『ドイツの歌姫』の刊行に際して

         2023年11月10日、幻戯書房の「ルリユール叢書」シリーズにセルビアの19世紀作家、ラーザ・ラザーレヴィチの作品集が刊行されました。『ドイツの歌姫』他五篇をスラヴ語文献学の博士で東京大学名誉教授、栗原成郎氏が和訳しています。いわゆるマイナー言語であるセルビア語の話者としては非常に嬉しい知らせで、幻戯書房はそのほかにもアンドリッチやニエゴシュなど、セルビア文学の重要な作家を刊行してきました。これからもぜひ応援したいと思います。  セルビアではラザーレヴィチは誰もが知っている

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