「24時の|詩《うた》」(マザー・グース「六ペンスの歌」の二次創作:ホラー)

             Sing a song of sixpence,
              A pocket full of rye;
            Four-and-twenty blackbirds
               Baked in a pie! 

                              (一部引用)



 まっしろな服を着たナースが廊下を歩いている
 シュッシュ、シュッシュ、と静かな足音が響く
 何故だか誰も居ない廊下を
 静かに歩いている

 廊下には規則的に四角いドアが並んでいて
 ナースはひとつひとつ 規則的に開いてゆく
 測ったように同じだけの時間を
 部屋で過ごし出てゆく

 ドアは24
 ドアを数える単位は何だっけ
 一枚、二枚?
 じゃあ24枚のドア

 「終わったかね」
 報告に行くと院長は
 背中を向けたまま問うた
 ナースはこどものように頷く
 院長様は忙しい
 毎日毎日金勘定
 院長様は忙しい
 せっせ せっせと吸わせにゃならぬ
 夫人と愛人に甘い汁
 
 さぁさ集まれ お祭りじゃ
 今日の祭りは 弔いじゃ
 黒い棺が にじゅうよん
 行列組んで 蟻のよう
 
「わたし、良いことしてるんですよね?」
「もちろんだよ。苦しみから解放しているのだから」
 院長様は、ナースの鼻をチョンと突く
 
 深夜0時、焼却炉で24の悲鳴が上がった。

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