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夏の近道を駆けあがる

三月四日、五日の櫻坂46三期生おもてなし会。
いつか櫻坂46の歴史を振り返った時、
この二日間は大きな意味を持つのではないか。

初日に現地参戦し、二日目に配信を二度見た私は
興奮と喜びの中でそう感じた。
いや、それよりもっと前、
三期生のVlogとドキュメンタリーを見て
新しい風が軽やかに吹いているのを
感じたのはきっと私だけではないだろう。

おもてなし会の会場で会った
FFさんたちと入場する時、口々に言った
「なんでこんなにワクワクするんだろうね」
という言葉がBuddiesの期待を物語っていた。

初ライブとは思えない堂々としたパフォーマンスに、しばらく大きな箱で声出しをしていなかった
Buddiesの期待はすぐに熱狂に変わった。
三期生のエネルギーと、Buddiesのエネルギーが
渦を巻いて上へ上へと昇っていく。
そんな感覚が確かにあった。
始まりの春から充実の夏に向かって
近道の坂を駆けあがるような、
そんな勢いがあった。

彼女たちの大きな幸運は、
しばらくできなかった声出しOKの
ライブが初戦だったこと、
全員で自分たちのエネルギーに
ぴったりの楽曲をもらえたこと
の二つだろう。
先輩の曲だけでなく、
自分たちの曲をもらえたことで
三期生全員で「私たちの表現」を
最初から構築、追求できたのだ。

ライブの興奮は一向に冷めず、
毎日、夏の近道のMVを見ている。

なぜこんなにも、三期生を見ていると
ワクワクするんだろう。
なぜ彼女たちはこんなに
爆発的なエネルギーを出せるんだろう。

そう思いながら、村井優さんと
山下瞳月さんに焦点を当てた
ドキュメンタリーを見返してみた。

私が最も心掴まれたのは、
完成したMVを三期生みんなで
鑑賞するシーンだ。

誰かが映るたびに
「キャー!」「かわいい!」
と歓声をあげて体を寄せ合う。
マスクをしているのに、
みんなの目が「嬉しい!」
で溢れてキラキラしている。

歳を重ね、経験を重ねると、
体験済みのことの方が増えていく。
とっくに大人になってしまった
私には、初めてに溢れた日々を
すごし、一つひとつに全力で
ぶつかり、そして感動する
彼女たちの感性の瑞々しさが
眩しくて、そこに心が震える。

一人ひとりのポテンシャルがとても高い三期生の、
初々しさとやる気がみなぎる「夏の近道」の
生パフォーマンスには、生きる喜びが溢れていた。

それはまさに、
前キャプテンの菅井友香さんが掲げていた
「櫻坂46では生きる喜びにも寄り添いたい」
という言葉そのものだった。

私は一期生も二期生も大好きだ。
あの怒涛の日々をくぐり抜け、
ファンの気持ちに寄り添い
期待に応え続けるのは
並大抵のことではなかっただろう。

改名後の楽曲の数々は、
改名前のカラーを残しつつ新しいグループとしての
カラーを模索しているように見えた。

改名前のグループでは、
自分を楽曲に明け渡すかのようなパフォーマンスが
多くの人を惹きつけた反面、
メンバーの心身に大きな負荷が
かかっているのではないか…?
と心配になることも多かった。

改名後は楽曲を届けることに注力しながらも、
没頭しすぎないようにしているように見えた。
だからホッとしていた。

その一方で、
メンバーに自責の念を求めるかのような
歌詞の楽曲が繰り返し
彼女たちのもとにやってくる状況に、
私個人としては違和感を覚えていた。

似合わない服を無理やり着せられているような、
タイヤに空気を入れるそばから漏れていくような。
そんな感じ。

プロデュース側としては
彼女たちの心に波風を立て、
対立構造を構築して物語を作ることで
グループを盛り上げようと
しているのだろうなと思った。
これまでも使われてきた手法だ。

けれど、5thにもあった、
自責の念を煽るような楽曲を聴いていて、
これは面白い、と思った。
歌詞のエグさとは裏腹に、
その歌声はどこまでも軽やかなのだ。

プロデュース側がどんなに
そうした方向にレールを敷こうとしても、
彼女たちは軽やかにそのレールを跨いでいく。
私にはそんなふうに感じた。
その先頭にいるのが、
太陽のような光を放つ現キャプテンだ。

まさに君は君らしく、である。

改名前のカラーを全否定せず、
それでも自分を見失わない。
しかし、曲を届けることを大事にする。
それはとても難しいことだろう。

その上、二期生は最初から
先輩たちのポジションに入り、
すでに出来上がっていたグループカラーに
馴染むという難しいことをやり続けていたのだ。
なんという難易度、なんという精神力だろう。

雨風にさらされても倒れず、
軽やかな美しさと、人生の春夏秋冬を
表現してきた櫻坂46。

そんな櫻坂に入りたいと思って集まった
三期生のパフォーマンスは、まさに櫻坂だった。

あの軽やかでエネルギーに溢れた
三期生のパフォーマンスは、
ポジティブな感情を爆発させるかのような
三期生のパフォーマンスは、
櫻坂を作った一期生や二期生の
エネルギーを受け継いでいると
言えるのではないだろうか。

夏の近道のパフォーマンスに、
前のキャプテンが掲げた生きる喜びを
私が感じたのはそういうことだと思う。

三期生の存在は、
一期生や二期生が
コツコツと築いてきた櫻坂46のカラーや方向性を
より明確にしてくれる。
そんな期待でワクワクしている。

私は改名前のグループも大好きだ。
けれど、同じくらい今のグループが好きだ。
歴史と物語があるグループなので、
その歴史や物語抜きに語ることができないが、
それでも、一期生も二期生も、そして三期生も、
櫻坂46のメンバーみんなが
この瞬間に放つエネルギーを
型にはめることなく
そのまま味わいたいと思っている。
秋冬を乗り越えて春夏を迎えるグループに
今からワクワクしている。

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