2024年のダイニーのエンジニア組織の変化と、2025年の展望
ダイニーの urahiroshi です。
2023年の12月から Engineering Manager として活動しており、この1年間は特に採用活動を軸とした組織の強化を中心に行ってきました。この記事では、エンジニアリング部門の「組織」「採用・広報」「育成・評価」という項目について、2024年の変化を振り返ったうえで2025年の展望を記載します。
組織
2024年の組織の変化
ダイニーのエンジニア部門はミッションによって “Feature Team”, “Platform Team”, “Data Team”, “Discovery Team” の4チームに分かれています。
プロダクトの機能開発を担っているのが Feature Team ですが、2024年は「ダイニーキャッシュレス」、「ダイニーモバイル決済」、「ダイニー勤怠」といった新しいプロダクトをリリースしました。これに伴い、ダイニーキャッシュレスやダイニーモバイル決済に関連する機能開発や運用を担当する Payment Team、ダイニー勤怠の開発や運用を担当するES (Employee Satisfaction の略) Team をそれぞれ独立した開発チームとして組成しました。既存のモバイルオーダーやPOSを開発するチーム (POS Team) と合わせて、3チームでプロダクトの機能開発を進めています。
2025年の組織の展望
POS Team, Payment Team, ES Team がそれぞれ担当しているプロダクトは “POS事業”, “Finance事業”, “ES事業” として分類できると考えており、今後もそれぞれの事業で更にプロダクトを立ち上げて開発・運用していくことを見込んでいます。そのため、個々の事業部内のプロダクト開発部門の体制をより強化していきたいと考えています。具体的には、以下のような変化を考えています。
各事業部に専属のエンジニアリングマネージャーをアサインし、エンジニアリングマネージャーが中心となって事業部内のエンジニア組織の成長計画を作っていく
各事業部にソフトウェアエンジニア, プロダクトマネージャー, デザイナー, QAリード がアサインされ、職能横断型の開発チーム体制となる
必要に応じて一事業部内に複数の開発チームを組成していく
事業部内のソフトウェアエンジニアは、いわゆるフルスタックエンジニアかつフルサイクルエンジニアとしての活動が求められますが、その際に課題になると考えているのはインシデント対応やインフラの管理といった運用面です。これまでは Platform Team のメンバーが専門性を活かしてPOS事業の運用の改善をリードしてきましたが、事業が多層化していくにあたって、個々の事業部内で運用を改善し続けられる体制を作りたいと考えています。Platform Team の活動は、事業部が開発・運用にオーナーシップをもって取り組めるための認知負荷の低減といった部分に比重が高まり、技術的な認知負荷を低減するための共通基盤構築や、新しい技術やプラクティスの導入により開発・運用プロセスの改善をサポートするような活動が重要になってくるでしょう。
また、複数の事業・プロダクトを提供することによって、個々のプロダクトが集めたデータを組み合わせた課題解決もできるようになっていきます。例えば、 ダイニーPOSで特定の時点の売上データが収集でき、ダイニー勤怠で同じ時点のスタッフ配置が収集でき、これらを組み合わせて比較することで最適なスタッフ配置を導き出すことができます。このような価値を提供するために、Data Team が主導してデータ基盤を提供しようとしており、複数の事業・プロダクトをまたがったデータの連携をスムーズに行えるような体制を整えています。
もう一つの組織の変化におけるテーマは「多様性」です。将来的なプロダクトの海外展開も見据えて、日本以外の国籍を持つエンジニアの採用活動を始めており、既にプロダクト開発チームにおいて複数の海外出身メンバーの入社を予定しています。これまでダイニーのプロダクト開発におけるコミュニケーションは日本語の利用が中心となっていましたが、一部英語を利用したコミュニケーションも生じると考えており、入社時点での言語スキルが大きいハンディキャップにならないワークフローや学習環境を今まさに整備しようとしています。国籍の多様化によって言語だけでなく文化や考え方も多様化していくため、そうした違いを受け入れられる組織的な土壌を作っていくことも重要です。
エンジニアの技術的なバックグラウンドの部分でも多様性を広げ、2025年からはSREなどの専門性を持ったメンバーが加入する予定です。ダイニーのエンジニアカルチャーとして、全エンジニアがフルスタックエンジニアとして活動できるという点があり、そこは変わらず持ち続けながらも、各メンバーが持つ専門性の濃淡によって強みを発揮しながら総合に学び合える組織を目指していきます。
採用・広報
2024年の採用・広報活動の振り返り
2024年1月1日時点でのフルタイムのソフトウェアエンジニア数は11名であり、複数の事業を並行して拡大させるという戦略上、エンジニアの増強は急務となっていました。選考活動を拡大させつつも選考基準のブレを減らすために、まず選考フローの改善を行いました。コーディングテストや構造化面接を導入し、候補者の技術力をより客観的に評価できる仕組みを整えました。(現在の選考フローについては https://diniinote.notion.site/SWE-b7616351b4524928bf5e3c6e34e90cc7 を参照ください)
さらに、これまではフルスタックエンジニアというポジションでのみ採用活動を行っていましたが、事業拡大・組織拡大を見据えて SRE, SET, Platform Engineer, Data Engineer など、より幅広いポジションでの募集を開始したほか、海外出身のエンジニア採用についても開始しました。ダイニーのLinkedInページも改めて整備し、英語での投稿を開始しています。
実は既に来年からベトナムの大学を卒業したメンバーが入社することも決まっており、選考自体は2023年から行っていたのですが、継続的にオンラインでコミュニケーションを取っています。今年の2月には1週間ほど日本に滞在してダイニーに出社いただき、ダイニーを導入している飲食店で一緒に食事をしたりすることで、ダイニーの雰囲気や日本の飲食店についてより理解を深める機会としていただきました。
広報活動も活性化させ、Zenn の Tech Blog を開始したほか、JS Conf 2024への協賛や、技術系のイベントへの登壇も多数行いました。また、飲食店でダイニーのプロダクトを触ってみるイベント「ダイニー体験会」を5月から毎月開催しており、計70名以上の参加者が集まりました。次回も1月14日に開催する予定ですので、プロダクトに関心がある方はぜひご参加ください。
こうした取り組みにより、2025年1月1日時点でのフルタイムのエンジニアの数は25名前後となり、昨年から2倍以上となる見通しになっています。
2025年の採用・広報活動の見通し
2024年で採用活動の型がある程度できたものの、事業拡大も見据えて採用・広報活動はさらに加速させていきます。人数の増加に伴ってダイニーのカルチャーが薄れていくこと、また採用に関わるメンバーの増加によって選考基準にずれが生じることは考えられるリスクのため、カジュアル面談等の過程でダイニーのカルチャーをしっかりと伝えた上で、候補者とダイニーの間で相互にカルチャーマッチが確認できるような選考を設計していきたいと考えています。
また、海外出身のエンジニアを採用するにあたっても、現状だと英語で公開している情報がとても少ないため、各種公開資料やブログ記事などの英語化についても随時行っていきたいと考えています。
育成・評価
2024年の育成・評価に関する活動
まずエンジニアの評価に際しては、https://note.com/urahiroshi/n/n73d92cf1bc51#07a8d2e1-20ab-457c-a369-3bdb7cccbb34 にも記載しましたが、Speciality (=個人としてインパクトを出した部分) と Leadership (チームがインパクトを出すことに貢献した部分) の2つの評価軸をベースとし、より個々人の卓越性に着目した評価観点を定義しました。
また、ダイニーで新しいエンジニアメンバーが入社した際は、オンボーディング用のチェックリストを実施していただくフローとなっているのですが、アカウントの準備や権限の付与、他のメンバーの紹介など、スムーズにオンボーディングを進めるためにはメンターやマネージャーのサポートが欠かせません。そのため、メンター向けに「受け入れチェックリスト」を新たに作成するとともに、マネージャーがオンボーディングのフィードバックを受ける体制を整えました。
特に新メンバーに評判が良かったのはテレフォンショッキング形式の1on1で、個人間のつながりを増やす役目を担っていただけでなく、ビジネスチームのメンバーから開発チームに対する期待を直接聞く機会を得られたなど、開発チームの活動が他のチームにどう見えているか、どうチーム間で協力し合っているかといった視点を得る機会になったようでした。
今年からインターンの受け入れもはじめており、Data Team テックリードの kimujun さんが中心となってインターン期間の学習カリキュラムを作成していただきました。インターン期間の活動については、 https://note.com/kimujun_03/n/nf738c37ef23e に記載していますので、ぜひご覧ください。
2025年の育成・評価の展望
組織面の展望にも記載した通り、「多様性」という観点での大きい変化を見込んでいます。多様性を活かせるかどうかは新規メンバーの育成計画や既存メンバーへの学習機会の提示が大きい役割を担っていると考えており、以下のような活動を計画しています。
日本語話者に対する英語学習のサポート
英語話者に対する日本語学習のサポート
文化的な差異を理解するための啓発活動
技術習得や言語学習における期間とゴールの明示
なお、現時点ではエンジニア組織が英語必須になるということは考えていないものの、英語話者とのコミュニケーションが増えそうなメンバーや、英語学習のモチベーションが高いメンバーを中心に英語学習がサポートできる体制を整えようと考えています。
プロダクト開発の観点では、今後複数の事業が成長していき、プロダクト開発も事業部的な体制が整っていくことが見込まれます。一方で、メンバーがどのチームに、どのような役割でアサインされるかという点も成長の観点で重要なポイントであり、以下のような考えから事業をまたがったチームの異動や役割のローテーションといった活動を今後も積極的に促したいと考えています。
ダイニーのプロダクトはプロダクト間での連携によって顧客により大きい価値を提供することを目指しているため、事業をまたがったチームの異動によってメンバーに複数の事業の観点を養っていただくことは、組織的な価値がある
今後も新規プロダクトの立ち上げは積極的に行っていく見通しであり、組織全体として必要となるチーム・役割は日々変化するため、新しいチームや役割の挑戦機会は多く、特に新規チームの立ち上げにおいてリーダーシップを担えるメンバーは積極的に育成したい
チームや役割の変更がそのメンバーによって成長機会になるのであれば積極的に後押ししたい
もちろん、事業内の活動により深くコミットしていくことでより大きい価値を生み出せるという方もいるため、上記のような異動・ローテーションは個々のメンバーのキャリアや現在地を踏まえた上で提案する形となりますが、成長機会の多さこそダイニーの組織の魅力と言えるのではないかと思っており、メンバーの成長を最大限引き出せる環境であり続けたいと考えています。
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ダイニーでは、「“飲食”をもっと楽しく おもしろく」というミッションに共感し、一緒に飲食業界を変えていくエンジニアメンバーを募集しています。ダイニーのチームやプロダクト、技術などに興味がある方はぜひ一度カジュアルにお話しましょう!