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6月22日(木)

単色だった欲求は世界の瞳に怯えるようにその種子を、果実の奥深くへと潜らせていった。やがては土にまで隠れてサイケデリックなはなを咲かすといい。西瓜の種を食べたら西瓜が生えてくるとかいって、それなら思いきり臓物をかき分けて生命の力強さを見せつけてくれたってよかった。それなのに結局はすこしばかりのタンポポがきれいにゆらゆらゆらゆら揺れるだけだ。きれいさを、レトリックに押し付けて満足してる、そのことがどうしたって許せない。きれいになるための殺意なんてないし、殺意はきれいなんかじゃない。なんでもかんでも夏の夜みたいな香りでつつむこと、冷凍パスタみたいにイージーな「感傷」。フィルムカメラの解像度に誤魔化されたあなたの叫びを、わたしは撫でてあげたかった。真空になった叫びだったけれど、あれ、とってもよかったよ。

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