7月17日(月)

どうせ光り輝くなら、きみの家の小さな豆電球になりたかった。でも実際は海辺の夜を照らす蛍光灯の光になって、釣り人たちの背中をしゃんしゃんとひからせている。誰もこちらを向いてくれないのが心地いい。わたしがどんな顔をして暗闇の中に立っているかなんてこと、誰にも知られたくなかった。ときどき虫たちが、わたしに強く当たるので、痛くて、でもその瞬間だけはすこし寂しさが凪いだ。暗い海なのでクラゲが淡く光るのがずっと待ち遠しい。釣り人は何も語らず、ただの置き物のよう。テトラポッドのほうがよっぽど愉快で、かれらは家となり、あかりだって灯すことができるのだった。わたしはできるなら誰かの家のあかりになりたい。この海辺にいつか誰かが小さな家を建ててほしい。

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