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平成最後の夏の祭典から生きて帰ってきた話。

昨日おとといのつぶやきの通り、いわゆる夏コミというところに一般参加していた。
馴染みのない方はもしかすると疑問かもしれませんが、コミックマーケットにおいては来訪者も「一般参加者」であり、参加者の一人であるという自覚を求められる場所です。客でも店でもないです。

さて、夏は暑いから行かない、という単純な理由で常に避けていたコミケだが、お知り合いもたくさん参加なさるし平成最後だし嬉しいお声がけもいただいたので一丁参加してくるか、とはるばる出かけて行ったのである。

以前、一般参加した時は委託をお願いしていたものがあって、閉会後に余った分の回収という目的があったから、のんびりとそれこそ13時くらいに到着するようにした気がする。
その際は特に大きな混雑もなく、スムーズと呼べるレベルで参加し、目的を果たして帰ってきた。

が、今回はどうだ。
まず最寄り駅にあたるりんかい線「国際展示場駅」を出た瞬間、目に飛び込む「最後尾」。

よろしいでしょうか、「会場に実際入場するまで」の「待機列」の「最後尾」が「最寄り駅の駅前」です。
それまでの列の長さはもっと長かったと聞いたので、もっと早く現地に行っていたら大変なことになっていたかもしれない。

ありがたいことに海上保安庁を推していると、訪れる場所はだいたい炎天下で、なにものにも水分の補給を頼れず、しかしながらお手洗いは遠くほぼないと思った方が気が楽で、食料も手に入らず、とにかく事前の準備を整えなければ身の危険が及ぶ完全に自己責任の世界である。
その経験を生かし、ついでに先日晴海にきていた英国海軍「アルビオン」の列に二時間くらい並び、大人気だった若冲展に五時間並び、ミュシャ展にも三時間くらい並んだ経験が加わって、もはや準備は万端であった。

それゆえに特に問題なく行動はできたので、人生を乗り越えるにおいて何か一つそういうゆるい極限を平然と求められるものに打ち込むのは経験上おすすめである。

話が逸れた。
主目的はご参加のお知り合いにお会いすることなのだけれど、コミケの醍醐味とはつまり文字通り「未知との遭遇」である。

何か、何かに対して己の全てをかけて打ち込み、愛し、ほとばしるその情熱を、あらゆる形で発表するというその熱量は、どこをどう切り取っても美しい。

己の、愛を、聞いてくれ。

工夫を凝らし、力の限り叫ぶようにぶつけた熱量の塊が所狭しと並んでいる。その光景は満天の星空にも、晴天の地平線にも、白波を立ててさまよう生き物の航跡にも似ている。美しい。

隅々まで、美しい。

あの熱気に当てられて、半ば夢心地で、足元と自分の荷物の範囲だけはしっかりと感知しながら、財布を握りしめ、目を開き瞬きを減らし、聴覚を研ぎ澄ませていると、ふいに目に飛び込んでくる。

全然電車もわからないのに、ドイツの食堂車の本を手に取り、国境を超えたこともないのに、ロシア旅行記を手に取りした。
ああ、至福である。

これがあるからやめられないのだ。
今冬、年末年始の時期だけれど、お時間に余裕があればお昼過ぎのまったりするであろう時間からでも十分に楽しいので、ルールを守ってゆったりと是非巡ってみていただきたい。

なんとなく、このnoteをお読みいただけている方にはピンとくるものがある、と思う。

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